本・書籍
2018/12/5 21:45

「何だ、これは!」アウトサイドで生きる人たちが本当にかっこいい!!

初めて『アウトサイド・ジャパン』(櫛野展正・著/イーストプレス・刊)』を手にした時、笑いが止まりませんでした。読んでいて楽しくて楽しくて仕方なかったのです。

 

アウトサイドと聞くと、「なんかやばい人たちのこと?」と危険なイメージが湧いてきますが、とってもほのぼのとしていて、平和で楽しくて、幸せな気分にさせてくれる一冊でした。

 

この『アウトサイド・ジャパン』では、日本で唯一のアウトサイダー・キュレーターである櫛野展正さんが全国から発掘した135名のアウトサイダーたちが紹介されています。アウトサイダーとは? どんな人たちがいるの? をちょこっとご紹介させていただきます!

 

 

 「アウトサイダー・アート」ってなに?

どんなものか想像がつかないかもしれませんので、まずは本書で紹介されている「アウトサイダー・アート」について紹介させていただきます。

 

「アウトサイダー・アート」とは、「アール・ブリュット」に対応する英米語として、1972年にイギリス人の美術評論家ロジャー・カーディナルがコリン・ウィルソンの著書『アウトサイダー』から考案した造語であり、「インサイダー」自体の境界が曖昧になっている昨今においては、その言葉が指し示す範疇は拡張し続けている。しかし、美術批評家の椹木野衣が『アウトサイダー・アート入門』(幻冬社新書)で指摘しているように、国家で進んで公認していこうとしている「アール・ブリュット」の言葉には「純粋」「無垢」などの側面が重視され、「悪」「異端」などの負の側面が抜け落とされている傾向がある。そこで、本書ではあえて負の痕跡を語の内に残す「アウトサイダー・アート」の言葉を使用している。

(『アウトサイド・ジャパン』より引用)

 

ちょっと長いですが、簡単に言ってしまうと、美術館に飾られているみんなが知っているアートではありません。「いつも会うあのおじさん変な格好しているよね」とか「よくわからないけど、いつも家を改造している」とか「美容室なのかギャラリーなのかカフェなのかよくわからない店」とかそういう作品をアウトサイダー・アートと呼んでいるようなのです。文章だけでは本当に伝えにくくて申し訳ないのですが(笑)、なるべくわかりやすくお伝えさせていただきます!

日本のおじいちゃん・おばあちゃんアウトサイダーたちが元気すぎる

『アウトサイダー・ジャパン』には、

・憧れ
・異形
・描く
・過剰装飾
・家族
・老人芸術
・セルフビルド
・廃材
・楽園
・ヘアサロン

の10項目にわけられた全国135名のアウトサイダーが紹介されています。

 

これまで描いてきた1000人以上の有名人の似顔絵を自身が運営するコインランドリーに飾っている1936年生まれの菅野さん、牛乳パックでなんでもつくっちゃう1941年生まれの椿さん、福岡県で通称「カラフルおじさん」と呼ばれている1945年生まれの富松さん、72歳で初めてカメラを手にし「自撮りばあちゃん」として人気者になった1928年生まれの西本さんなど、本当にすごい方ばかり。

 

西本さんは、2017年からインスタグラムも始められていて、フォトショップで加工した写真なども掲載されています。フォロワーも20万人ほどいて、もはやアウトサイダーの域を超えているのでは? なんて思っちゃいますが、インスタグラムを眺めているだけでもとても幸せな気持ちになれます。

 

https://www.instagram.com/kimiko_nishimoto/

 

 

 

架空のお笑い芸人を考える「けうけげん」さん

先日、M-1グランプリが開催され、霜降り明星が史上最年少でグランプリを獲得しましたが、『アウトサイド・ジャパン』のなかには、架空芸人だけでM-1グランプリを開催している方もいるんです。

 

「最初は、雑誌とかで見た芸人さんの名前をメモしていたんですが、それだけでは飽き足りなくなって、13歳ごろから架空のお笑い芸人や番組を考えるようになりました。最初はノートの隅などに書いていたんですが、やがて広告の裏やメモ用紙に書くようになりましたね」

(『アウトサイド・ジャパン』より引用)

 

本書では、このけうけげんさんが作った。架空のお笑い芸人たちがイラスト付きで紹介されているのですが、「ニュースリース」「路地裏アジト」「はだしのきせつ」など思わず「いそう!!」と思ってしまうほどに、芸風からプロフィールまで細かく決められています。けうけげんさんは、ネタ番組などで投稿が採用されるなどの実力もあるので、もしかしたら「ん? なんか聞いたことある名前だな」と思った方もいるかもしれません。

 

誰もが気軽に発信できる時代だからこそ全力で

この本を読んでいると「まだまだ日本も面白いな」と思えると同時に、自分も何か表現してみたい! という気持ちも出てきます。

 

SNSで気軽に発信できるような時代になった今、誰もが表現者になれる時代ではありますが、流行に乗っかったような表現ではなく「本当に自分がやりたいこと」を見つけ出し、全力で取り組んでいる人たちは心の底からかっこいいと思えました。誰かの真似でもいいけど、なんとなくで表現しないで全力で取り組むことが大切なんだと思います。気になった方はぜひ『アウトサイド・ジャパン』を読んで、表現の楽しさを再発見してもらえればと思います。

 

 

【書籍紹介】

アウトサイド・ジャパン

著者:櫛野展正
発行:イースト・プレス

ウトサイダー・アートとは、一般的には美術の教育を受けていない人々の創作のことを指す。しかしいま、アウトサイダー・アートといえば障害のある人たちの表現活動ばかりにスポットが当たりがちである。日本初のアウトサイダー・キュレーターである櫛野展正氏は、障害のあるなしにかかわらず、表現せずには生きられない、表現者と呼ぶにふさわしい隠れた芸術家たちを多く発掘してきた。本書では、日本全国津々浦々、135人の表現者たちを10のテーマ別に一挙に紹介。アウトサイダー・アーティストを網羅した日本で初めての試みである。

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