AV
2017/1/1 15:00

完全ワイヤレスイヤホンって本当に使いやすいの? 定番2モデルをプロとAV担当が徹底検証

最近電車に乗っていると、Air Podsをはじめ、一切ケーブルなしの耳栓型イヤホンで音楽を楽しむ人を見かけるようになってきて、気になる人も多いのでは? ところが実際に買ってみようにも、まだまだ情報が少なく選ぶのは簡単ではありません。そこで今回は、これら最先端の完全ワイヤレスイヤホンの性能を専門家とGetNaviオーディオ担当がチェックしました!

 

音もデザインも洗練された完全ワイヤレスの元祖モデル

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SPEC●型式:バランスド・アーマチュア型●再生周波数帯域:20Hz~20kHz●再生時間:最大3時間(ステレオ)●充電時間:70分●コーデック:AAC、aptX、SBC●インピーダンス:25Ω●音圧感度:105dB SPL±2dB●通話応答:非対応●防水:非対応●充電・収納用カプセルサイズ/質量:φ21.0×H95mm/42g

EARIN

EARIN M-1

実売価格1万9690円

スウェーデンのスタートアップ企業が、クラウドファンディングを経て2015年に発売した完全ワイヤレスイヤホンの元祖。通話機能は搭載せず、音楽再生に特化したぶん操作はシンプルです。サイズもコンパクトに仕上がっています。サイズはφ14.5×H20mm、質量3.5g。

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↑ケースはシルバーに加え、新色のブラックの2色。最近になって価格が大幅に値下がりしました

 

全方位インプレッション

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【操作性】

ケースから出してすぐ音楽再生可能

最初にプレーヤーとのペアリングを済ませておけば、ケースから取り出してすぐに音楽再生が楽しめます。電源のオン/オフも不要で、操作すること自体がほぼありません。

 

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↑ケース内に一列で収納して充電できます。ケースが満充電の状態ならイヤホンを3回完電できます

 

【装着感】

コンパクトで女性も着けやすい

筐体はコンパクトなので耳穴の小さい女性などにもオススメ。取り外しできる付属のシリコン製スタビライザーを使えば、より装着感が安定します。

 

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↑イヤピースは3種付属します。シリコン製がひとつと、よりフィット感の高いコンプライ製がサイズ違いでふたつ

 

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↑スタビライザーが1セット付属します。装着した際の安定性が高まり、いつの間にか耳から抜けるということもありません

 

【機能】

音楽再生に特化したシンプル機

Bluetoothオーディオの高音質コーデックであるaptX/AACをサポートします。マイクは搭載せず、ハンズフリー通話も非対応と、音楽再生に特化した仕様。

 

【音質】

バランスの良いオールラウンダー

バランスド・アーマチュア型のシングルドライバーによる、高精細なサウンドが特徴。いい意味で派手さがなく、あらゆる音楽ジャンルとフィットします。

 

【総評】

元祖モデルながらクオリティが洗練されている

最も早くに登場した完全ワイヤレスイヤホンとは思えないほど、音質や操作性、デザインが非常に洗練されています。低音のバランスを調節できる専用のアプリを用意するのも面白いですね。

 

 

老舗オーディオブランドらしく音と装着感のクオリティは抜群

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SPEC●型式:ダイナミック型●再生周波数帯域:6Hz~22kHz●再生時間:最大3時間●充電時間:90分●コーデック:SBC●スピーカー口径:8.6●最大入力:30mW●インピーダンス:16Ω●音圧感度:107dB●通話応答:対応●防水:非対応●充電・収納用カプセル質量:98g

オンキヨー

W800BT

実売価格3万2180円

創業70年のオーディオブランド、オンキヨーが完全ワイヤレスイヤホンに参入。他モデルに比べてサイズは大きめですが、そのぶん装着感は一般的なイヤホンと変わらないほど安定しています。音のチューニングも巧み。サイズは非公表ながら質量7.5g。

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ケースをフル充電すればイヤホンを5回充電可能。カバーは半透性で、閉じた状態でもバッテリー残量を確認できます。

 

【全方位インプレッション】

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【操作性】

本体のボタンで正確な操作が可能

音楽再生とハンズフリーコールの操作切り替えは、本体のボタンから行えます。耳元にしっかり固定されるため、コントロールミスが少ないです。

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↑筐体の中心の黒い部分がボタン。音楽再生中に電話がかかってきたら、ここを押してすぐ通話に切り替えられます

 

【装着感】

大柄の筐体ながら抜群の安定感

やや大柄な筐体ながら軽量で、装着したときの安定感は抜群。専用のイヤピースと固定式スタビライザーの合わせ技で、耳穴にしっかりと収まります。

 

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↑シリコン製のイヤピースはS、M、Lの3セット。今回紹介するモデルで唯一コンプライ製イヤピースが付属しません

 

【機能】

ケースは大きいが携帯性が高い

充電器を兼ねるケースも少し大きめですが、固定式のUSBケーブルを巻きつけて収納できるのがポイント。持ち出す際もストレスをさほど感じません。

 

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↑収納ケースは化粧品コンパクトのようなデザインを採用。充電用のUSBケーブルは、ケースの周囲に巻きつけて収められます

 

【音質】

生楽器の音色が映えるサウンド

雑味のないクリアな中高域と、深く沈み込むような迫力の低域が特徴。音の鮮度が高く、ジャズやクラシックの生楽器の音色もくっきりと映えます。

 

【総評】

長年培われたオーディオのノウハウを感じる

様々なジャンルの音楽にフィットするサウンド、安定した装着感など、オンキヨーが長年培ってきたオーディオ開発のノウハウが随所に感じられます。通話音質がクリアなのも好印象。

 

※各モデルの「再生時間」はイヤホン本体がフル充電の状態で連続使用した場合の時間。「充電時間」は、イヤホンをケースに入れて満充電となるまでの時間

 

【AVライターとGetNaviオーディオ担当が徹底討論】

“完全ワイヤレス”は本当に必要か?

AVライター 山本 敦さん…初代EARINをゲットしてからというもの、完全ワイヤレスイヤホンにドハマり。日常的に愛用しています。

GetNaviオーディオ担当 川内一史…有線イヤホンとハイレゾプレーヤーを愛用。ワイヤレス機は持っていませんが、AirPodsに興味。

 

 

山本:最近は街なかでワイヤレスのヘッドホンやイヤホンを使っている人をよく見かけますね。川内さんも使っていますか?

 

川内:実はまだ持っていないんです。音質や通信面での性能に不安があったため少し出遅れてしまいました。実際に聴いてみると、音質は有線モデルと大差ないですね。

 

山本:確かに、欧米と比べて日本ではまだワイヤレスオーディオへの信頼がいまひとつです。しかし、川内さんの言うように音質面ではケーブル接続と比べて引けを取らないし、ペアリングも簡単。連続で音楽を聴いてもバッテリーが20時間以上持つ製品も増えています。

 

川内:イヤホンジャックを搭載しないiPhone 7の登場で、日本でも注目され始めましたね。また、一切のケーブルを排した完全ワイヤレスイヤホンも話題です。

 

山本:元々は欧米のスタートアップ企業が商品化したのがはじまりですが、国内の老舗オンキヨーが参入したことで市場が拡大しています。ついにAppleも参入するということで、2017年はさらに大ブレイクの予感がします。

 

安定した装着感が得られ移動やスポーツ時にも使える

川内:「ケーブルがない」ということは、解放感と同時に不安を感じるものですが、どのモデルも思いのほか安定していますね。

 

山本:装着感は、まさに完全ワイヤレスのキモ。耳にしっかりとフィットするイヤピースやスタビライザーを採用するなど、各社が独自の工夫を凝らしています。

 

川内:コンプライ製の低反発イヤピースを同梱するモデルが多いですね。スタビライザーもしっかりしているので、これならエクササイズ時にも使えます。

 

山本:私は主に移動中に使用していますが、通信の安定性やスタミナにも不便を感じたことはほぼないですね。多くのモデルは本体だけで約2~3時間連続して音楽が聴けますし、使わないときは充電器を兼ねるケースに入れておけばチャージ可能。トータルで10時間以上のスタミナ性能があるので、出張や旅行にも持っていけます。

 

川内:へッドホンと比べて遮音性が高いので、満員電車のような人混みでも安心して使えるのもいいですね。いま完全ワイヤレスイヤホンの購入を考えている人は、今回のモデルの比較を、ぜひ参考にしてほしいです。