グルメ
2018/4/26 11:30

管理栄養士に聞く、栄養たっぷりみずみずしい春野菜のオイシイ食べ方

春は食材が豊富な季節。山菜や葉野菜のほかに、土の中で育つ野菜でも「新じゃが」「新玉ねぎ」「新ごぼう」などと書かれた“新物”が見られるようになります。

 

通常、じゃがいもや玉ねぎ、ごぼうは収穫してから乾燥させ、日持ちする状態になったものが店先に並ぶのですが、この時期には収穫してからすぐに出荷されたものが出回ります。新物は廉価で手に取りやすく、柔らかいので時短調理にぴったり。

 

今回は、新じゃが、新玉ねぎ、新ごぼうの新物ならではのおいしい食べ方を、管理栄養士の加藤さおり先生に教えてもらいました。

 

新じゃがをおいしく食べるコツ

・皮つきのままで調理する

じゃがいもはビタミンC、葉酸、カリウムなどを豊富に含み、栄養価の高い食材です。なかでも新じゃがはその栄養を余すことなく摂れるメリットがあります。

「新じゃがには水分が多いので、香りが高く、皮まで柔らかいのが特徴です。栄養は、実と皮の間に多く含まれると言われていますから、皮をむかずにまるごと栄養を摂取できる新じゃがは、一物全体をおいしく食べられるお得な食材だと言えるでしょう」(加藤先生・以下同)

 

・おすすめの調理法

新じゃがは火の通りがよく、加熱時間が短くてすみます。表面が緑色のものや芽がたくさん出ているものは避け、小さな芽もしっかりと取り除きます。皮をむかないで使うので、表面をたわしなどで洗ってから調理しましょう。

 

栄養士直伝! おすすめ新じゃがレシピ

さっと焼くだけでほくほく香ばしい「ベイクド新じゃが」

「柔らかくて火の通りがよいので、あっという間にできあがり、おやつやおつまみにもぴったりです。オリーブオイルが全体にまわるようにして、カリッと仕上げましょう」

 

【材料(約4人分)】
新じゃが…大1個(200g)
オリーブオイル…大さじ1
塩・黒こしょう…適量

 

【作り方】
1. たわしでよく洗った新じゃがを縦1/2に切り、さらに1センチ幅に切る。

2. フライパンにオリーブ油を入れて全体に油を広げる。切ったジャガ芋を並べて中火にかけ焼き色がついたら蓋をして弱火で3分加熱。裏返して中火にして焼き色がついたら蓋をして弱火にしてさらに3分程度加熱する。

3. 竹串で刺してスッととおったら、強火にして両面をさらに焼き、塩こしょうで仕上げる。

 

マスタードのつぶつぶ食感と酸味でさっぱり「新じゃがサラダ」

「新じゃがは水分が多いので、マヨネーズであえなくてもしっとりして食べやすいサラダに仕上がり、新じゃがの香りを十分に楽しめます」

 

【材料(約4人分)】
新じゃが…大1個(200g)
ほうれん草な菜の花などの青菜…60g
粒マスタード…大さじ1/2
バルサミコ酢…大さじ1/2
塩…小さじ1/3
こしょう…適量

 

【作り方】
1. たわしでよく洗った新じゃがを2センチ角ほどのサイコロ状に切り、一度水にさらし、水を切る。青菜はさっと茹でて、一口大に切っておく。

2. 新じゃががかぶるくらいの水を入れ、竹串がすっととおるまで煮る。ザルにあげてお湯を切ったら再び鍋に戻して、ヘラでさっと混ぜながら中火で水分をとばす。

3. ボウルに2を移して、塩こしょうをし、さっと混ぜてから粒マスタードとバルサミコ酢、水を絞った青菜を入れて、混ぜる。

 

新玉ねぎをおいしく食べるコツ

・生食で食べる

新玉ねぎは、じゃがいもと同じく収穫してからすぐ出荷したもので、柔らかくてみずみずしいのが特徴です。

「新玉ねぎは辛味が少ないので生でも食べられますから、栄養素を壊すことなく体内に取りこむことができます。辛味が気になる場合は、下処理の仕方を参照してください。ただし、通常の玉ねぎと違って保存にはむいていないので、早めに食べることがおすすめです」(加藤先生・以下同)

【新玉ねぎの下処理の方法】
1 繊維に逆らって、スライサーでスライスする。

2 ボウルに入れて小さじ1/4の塩を入れ、10回ほど揉んだら水でさっと洗い、ザルにあげる。布巾に包んで、水を張ったボウルの中で白いぬめりがなくなるまでもむ。さっと新しい水で流して水気を切る。

 

・おすすめの調理法

「生でおいしく食べるために、下処理をしっかりとしましょう。その手間をかけることでシャキシャキとした食感を楽しむことができます。また、弱火でゆっくり加熱すると甘みが出てきますので、トロッとした食感も楽しめます」

 

栄養士直伝! 新玉ねぎレシピ

やさしい味の新玉ねぎがみずみずしい「新玉ねぎとおあげさんの簡単和え」

「油揚げを先にしっかり焼いておくことで、新玉ねぎの柔らかさと油揚げのカリっとした食感を楽しめます。しっかり味が馴染んだ後もおいしいので、常備菜にも向いています」

 

【材料(約4人分)】
新玉ねぎ…1個(300g)
塩…小さじ1/4
油揚げ…1枚
薄口しょうゆ…小さじ1
塩…4つまみ
きび酢(他の酢でも代用可)…小さじ2

 

【作り方】
1. フライパンを強火にかけ、油揚げをこんがりと両面焼く。焼けたら冷まして、薄く千切りにしておく。新玉ねぎは下処理の仕方を参照して処理しておく。

2. ボウルの中で薄口しょうゆときび酢を合わせ、油揚げと新玉ねぎと入れて、さっと合わせる。味をみながら塩を4つまみ程度入れて味を整える。

 

とろけるチーズの塩気で新玉ねぎの甘さが引き立つ「新玉ねぎのとろ〜りソテー・チーズ風味」

「新玉ねぎの甘みがしっかり感じられる一品です。さっと焼いた牛肉や豚肉のソース代わりにしたり、バケットに載せてもおいしくいただけて、副菜にも添え物にもなります。水を加えてオニオンスープにも変身させられますよ」

 

【材料(約4人分)】
新玉ネねぎ…1個(300g)
溶けるスライスチーズ…2枚
オリーブオイル…大さじ1
塩こしょう…適量

 

【作り方】
1. 新玉ネギは繊維に逆らって、1cm幅に切る。

2. フライパンにオリーブオイルを入れ、全体に油を広げる。1を並べて蓋をし、中火にかけてジュウジュウと音がしてきたら弱火にして3分ほど加熱する。裏返して弱火にしたら、さらに3分程度加熱する。

3. 甘い香りがしてきたら、塩をふって混ぜて火を止める。すぐにちぎったスライスチーズを入れて予熱でさっと混ぜ合わせる。仕上げに黒こしょうをふる。

 

新ごぼうをおいしく食べるコツ

・新ごぼうは生でも食べられる

「新ごぼうは、まだ完全に成長しきっていないので柔らかく、普通のごぼうに比べて風味があり、上品でやさしい味わいです。新じゃが同様に皮が柔らかいので、そのまま食べることができ、豊富な栄養素を摂取することができます。甘くやさしい香りが消えてしまわないよう、加熱時間は短くしましょう」(加藤先生・以下同)

 

・おすすめの調理法

「新ごぼうの独特の香りや栄養があるので、皮はむかずに使います。長時間水にさらしてしまうと香りが逃げてしまいますので、茹でるときはあらかじめ茹でるお湯を準備しながら、ささがきなどの作業に入りましょう。また、切ったそばから水にはなしていくことが、アクを出さないのがポイントです」

 

シャキシャキ! 新ごぼうの繊維たっぷり「新ごぼうと新人参のサラダ」

「ごぼうは大量に食べるとお腹が張る方もいるので、添え物として適量いただけるレシピです。ピーラーやスライサーで仕込むと美しく繊細な仕上がりに、包丁でささがきにすると、しっかりとした食感を楽しめますので、お好みでどうぞ」

 

【材料(約4人分)】
新ごぼう…1本(100g)
新人参…30g
菜種油…大さじ1/2
しょうゆ…小さじ1
塩…適宜

 

作り方
1. 鍋でお湯を沸かしておく。人参を千切りにしておく。

2. 新ごぼうをピーラーなどでひいていき、切ったそばから水にさらしてからザルにあげておく。新ごぼうを1分ほどさっと茹でたあと、人参を入れてさらに30秒ほど茹でたら、ザルにあげる。

3. 温かいうちにキッチンペーパーで水分を拭き取り、ボウルに入れてごま油を全体にあえて、しょうゆと塩を加える。

 

時短調理で新ごぼうの栄養素を丸ごといただく「新ごぼうの味噌たまごとじ」

「短い時間の加熱でしっかり火が通るので、栄養素を壊さず取り込めます。お肉を加えるとボリュームアップします。味噌を使い善玉菌をとりこみましょう。仕上げに青のりを振ってもおいしいです」

 

【材料(約4人分)】
新ごぼう…1本(100g)
たまご…3個
水…100cc
味噌…小さじ1
しょうゆ…小さじ1
塩…2つまみ

 

【作り方】
1. 水を張ったボウルを用意し、新ごぼうをささがきにして、切ったそばから水にさらしておく。そのあと水を切る。

2. 鍋かフライパンに、ごぼうと水100ccを入れて蓋をし、沸騰したら弱火で2分加熱する。味噌、しょうゆ、塩を入れて味を整える。

3. たまごを溶き、強火にかけた2に回しかけながら入れ、ふつふつとなってきたら蓋をして、弱火にして2分加熱する。

どれも手軽にできるレシピばかり。柔らかくて香り高い新物を上手に使って、旬の献立で食卓を整えてみましょう。

 

【プロフィール】


管理栄養士/加藤さおりさん

1976年東京生まれ。医療法人佐野産婦人科医院 管理栄養士・産業カウンセラー・国際薬膳師。そのほか、日本糖尿病・妊娠学会会員、日本糖質制限医療推進協会会員、NPO法人母子栄養懇話会役員、こころをサポートCOCOハート︎会員を務める。「食とココロは密接である」と気づき産業カウンセラーに、また薬が使えない妊婦さんのカラダに優しい食養生をと国際薬膳師を取得。産婦人科の管理栄養士として約20年間、妊娠・授乳期の食事や栄養相談に関わる。個人栄養指導年間述べ500件超の相談実績があり、近年では低糖質食事療法への取り組みや、離乳食おはなし会も開催。わかりやすく日常ですぐにつかえる内容と実践しやすいレクチャーに定評がある。

何気ない日常を、大切な毎日に変えるウェブメディア「@Living(アットリビング)」

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