グルメ
ラーメン
2018/9/14 19:00

クールな顔して味はワイルド! 東中野の熱き異端ラーメン「かしわぎ」——サニーデイ・サービス田中貴とRockなRamen

高級食材は使わずに一流の味を安価で提供

「かしわぎ」はサイドメニューにも独特な一品がある。それは今田店主がいる昼(夜は視察や味の研究などに勤しんでいる)限定の、その名も「お昼のご飯」。「今日のおかず」が日によって替わり、ベーシックなものは埼玉県産のブランド卵を使うTKG(卵かけご飯)だが、運のいい日はカレーをはじめとする贅沢な丼にありつける。

↑TKGやカレー以外にも、「今日のおかず」は様々なバリエーションがある

 

この日はラッキーデーで、「インドのチキンカレー」を食べることが叶った。サイドメニューといっても、その味は専門店顔負けの本格派である。シナモン、カルダモン、クローブはホール(実のまま)で用意し、クミン、ターメリック、コリアンダーなどはパウダーで使用。多彩なスパイスで魅惑的な味わいに仕上げている。

↑「インドのチキンカレー」120円。スパイスのほかトマトの酸味と玉ネギのうまみが生きており、隠し味にはあんずやマンゴージャムの甘みが光る。後引く辛さもたまらない

 

今田さんは「最近はカレーの研究に没頭しており、とにかく楽しいんです! ラーメンのことはほどほどでいいんで、カレーのことをしっかり書いてくださいね」と冗談めいたことを言う。ただ、きっとそれは真剣勝負であり大黒柱のラーメンがしっかりできているからこそ、副業的なカレー作りを楽しめているせいなのだろう。田中さんが音楽活動のかたわら、楽しくラーメン活動をしていることに通じるものがある。

 

同業者もマニアも唸るような、アイデアと技術を駆使したスゴいラーメンを作りながら、それをひけらかす事もしない。鳥の淡麗が全盛の時代に、あえて豚の清湯へのチャレンジする『人と同じ事はやりたくない』という、ちょっとひねくれたセンス。銘柄鶏などの素材を使い、それを高らかにアピールする高級ラーメン店が多いなか、普通の素材を丁寧に時間をかけて調理し、旨味を最大限に引き出し安価に提供する。今のラーメン界においてトップレベルの実力を持ちながらも、目指すのは『小さな商店街で評判のラーメン屋』だという。実際、世界的に評価されてもおかしくないラーメンを、近所の人たちがビールを一杯やりながら気軽に食べてる光景は痛快ですよ。自分のやりたいことがはっきり見えていて、周りや流行に左右されることなく我が道を進む今田さん。こりゃもうRockですよ」(田中さん)

 

↑かつては寿司屋、パーティ系のバルだった空間。寿司屋のカウンターはそのままに、ファミリー用にテーブル席も備えているうえ、ベビーカーが気軽に入れるようにスペースは広くとっている

 

ちなみに「かしわぎ」という店名の由来は、人ではない。JR「東中野駅」は明治時代、甲武鉄道の「柏木駅」として開業した歴史があり、今田さんの「地元の人に長く愛されたい」という熱い想いが込められている。やはりRockだから、LOVE&PEACEがあるのだ!

 

【店舗情報】

かしわぎ

・住所:東京都中野区東中野1-36-7
・電話番号:非公開
・営業時間:日曜・月曜11:30~15:00、水〜土曜11:30~15:00/18:00~21:00
・定休日:火曜
・アクセス:JR総武線「東中野駅」東口徒歩4分

 

撮影/三木匡宏

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