グルメ
2019/10/10 11:00

農林水産省で鯨に舌鼓!一般開放された社食&学食の意外なこだわり

社食や学食といえば、そこで働く人や学生のための施設ですが、なかには関係者でなくても利用できる食堂があります。さらには、その企業や学校の特徴をメニューに取り入れているケースも。有名どころを挙げれば、健康器具を扱うタニタの「タニタ食堂」(本社は一般利用不可)や、ロート製薬の「旬穀旬菜カフェ」、「赤門ラーメン」というメニューがある東京大学など。

 

今回は、そういった魅力が光る社食と学食をご紹介。グルメな秋、いつもとはちょっと違う観点で、食べ歩きに出かけてみませんか。

 

1. 名物はクジラのステーキ!“食料自給率”を学べる農水省の人気店

省庁は営利目的の企業ではありませんが、職員が働く機関として食堂が併設されています。なかでも特徴的なのが、日本の食と密接なつながりをもつ農林水産省内の「手しごと屋 咲くら」。注目すべきポイントは大きくふたつ。提供しているメニューに食料自給率が記載されていること、そしてクジラ料理が食べられることです。

 

↑注文する料理の自給率がわかるというのは、たしかに農林水産省ならでは。南高梅や生たまごは100%、一方でツナサラダは21%と低いものもありました

 

食料自給率を表記している取り組みやメニュー構成などについて、同店で総料理長を務める伊藤誉志さんに聞いてみました。

 

「当店では、カレー、丼、御膳といったセットメニューのほか、小鉢や主菜などを自由に選んで組み合わせるカフェテリアメニューもあります。大切にしていることは、国産の旬の食材を使うことですね。たとえば、春は山菜、夏場はトマトやキュウリといったみずみずしい野菜、秋はキノコ類、冬は根菜といったものを積極的に使います。和食がそうであるように、季節感を出すことが、自然と国産食材の料理になりますから。職員の方はもちろん、一般のお客様にも多くご利用いただくので、食料自給率を意識するきっかけになれたら、という思いで表記をしています」(伊藤総料理長)

↑伊藤誉志総料理長。「魚でいえば、この秋冬はカレイの王様といわれるナメタカレイを使った煮つけがオススメです。10月中旬になればカキも入ってきますよ」

 

ランチは平均140人程度が来店し、その半数が一般利用というから驚き。そして特に人気なのが、もうひとつの注目ポイントであるクジラ料理。これは伝統的にクジラを食べてきた日本ならではといえるでしょう。取材日には「イワシ鯨ステーキ膳」(1000円・税込)と「イワシ鯨竜田カレー」(850円・税込)があり、前者をオーダーしてみました。

↑「イワシ鯨ステーキ膳」1000円(税込)。御膳類にはサラダ、白飯、みそ汁が付いてきます

 

その特徴はいくつも。フレンチのコンフィ同様に低温の油で約1時間、じっくりと調理。それを薄めにカットしてソテーした野菜の上に盛り付け、フュメドポワソン(魚のダシ)、コンソメ、ナンプラーなど様々な素材を駆使した特製ソースをかけています。その味は、まるでローストビーフ。赤身のパワフルなうまみが、しっかりとした味わいのソースと相まって絶品です。

 

ちなみに、「イワシ鯨」というのはクジラの種類のひとつ。伊藤総料理長曰く、身が柔らかくてしっとりとした食感が特徴とのことです。

 

↑取材時点のセットメニュー。一覧には690円(税込)の「野菜天丼」「鶏竜田 餡かけ丼」から1380円(税込)の「牛タン炙り焼き御膳」まで価格もさまざまに、約20種類の料理がズラリ

 

バラエティ豊富で、ほかのメニューも気になる! ということで、カレーのなかでも人気が高い「季節野菜カレー」も注文してみました。

↑「季節野菜カレー」750円(税込)。この日はナス、小松菜、インゲン、パプリカ、玉ネギ、シメジ、そしてキュウリと玉ネギの酢漬けを刻んだピクルスがオン。約6~7種類の野菜を使うそうです

 

野菜はカレーのソースにも大量に溶けていて、その甘みと肉のうまみが調和したコク深い味わい。辛さはマイルドで食べやすく、彩り豊かな野菜とライス、ともにボリュームがあって満足度も十分。なお、カレーはもともと余った野菜と肉を使った“まかない”だったそうで、食堂スタッフのなかで好評だったことからメニュー化されたのだとか。

 

↑カフェテリアメニューの小鉢のコーナー。ほかに肉や魚を使った主菜がそれぞれ8品、フライが4品、その他の惣菜が3品程度並びます

 

さすがは、日本の食をつかさどる機関の食堂。ここならではの取り組みや料理だけでなく、味のクオリティも抜群でした。場所は東京メトロ丸の内線「霞ヶ関駅」A5またはB3a口からすぐ、農林水産省の「北別館」と呼ばれる建物内にあります。アクセス至便なので、ぜひ行ってみてはいかがでしょうか。

 

【Information】

農林水産省「手しごと屋 咲くら」

住所:東京都千代田区霞が関1-2-1 農林水産省 北別館 1F
営業時間:11:30~14:30(8:30~10:00と18:00~20:00は省庁内の職員用に営業)
定休日:土日祝、閉庁日(12月29日~1月3日)
http://liberty-j.com/shopinfo/#maff

 

 

2. 農業機械メーカーらしい生産者と消費者をつなぐ食堂

農業機械をはじめ、建設機械や発電機などさまざまな製品とサービスを扱うヤンマー。同社が、食の恵みをより身近に感じることができるサービスとして立ち上げたのが、「YANMAR Premium Marché」です。

 

ブランド牡蠣「くにさきOYSTER」や、お米でできた「ライスジュレ」を開発、販売するなど内容は多岐にわたりますが、2017年2月からスタートして人気を博しているのが社員食堂の一般開放。「Premium Marché OSAKA」(プレマルオーサカ)です。

↑場所は、大阪府の梅田駅が最寄りのヤンマー本社ビル(YANMAR FLYING-Y BUILDING)最上階。毎週土日のランチに一般開放されています

 

メニューは、生産者の顔が見える安心な食材を使った、一汁三菜プレートとカレー。プレートはメインを肉 or 魚から選べ、カレーにはサラダがセットに。これらに使われている新鮮な野菜や米、そのほかライスジュレやオリジナルドレッシング、ハチミツなどの食材は併設の「プレマルショップ」で買うことができます。

↑一汁三菜のプレミアムマルシェ ランチは、フリードリンク付きで1100円(税込)

 

↑プレミアムマルシェ カレーは、サラダとフリードリンク付きで1000円(税込)。屋上で採れた希少な生はちみつをかけて食べるカレーは、スパイシーさの中にコク深さを感じられるおいしさです

 

特徴的な空間も魅力です。ビル内には養蜂場があり、この食堂はビルの吹き抜けにある養蜂場を取り囲む形。そんな自然とのつながりを感じながら、ゆったりとくつろぎの時間を過ごせます。

↑開放的な空間で、居心地も抜群

 

なお、社員食堂としてはこちらのみですが、東京では東京駅の八重洲口正面広場で「THE FARM TOKYO」というビアテラス&ベーカリーカフェが期間限定(2019年10月31日まで)出店されています。関東の人は、このチャンスに訪ねてみてはいかがでしょうか。

 

【Information】

ヤンマー「Premium Marché OSAKA」

住所:大阪市北区茶屋町1-32 ヤンマー本社ビル「YANMAR FLYING-Y BUILDING」12F
営業時間:11:00~15:00(L.O.14:30) ※売切れ次第終了
定休日:土日のみ営業
https://premiummarche.com/food/premium-marche-osaka.html

 

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3. オープンカフェのような学食で身体にやさしいイタリアンを満喫

一般的に学食といえば、すっきりとした素朴な空間で、ボリューミーな定食や丼ものが提供されるイメージでしょう。ただ、なかにはセンスあふれるデザインや、ひとつのコンセプトでメニュー展開をしている食堂もあります。特におしゃれさで有名なのが、武蔵野大学の「ロハスカフェARIAKE」。最寄りはゆりかもめの「東京ビッグサイト駅」。同大学の有明キャンパスにあります。

↑間伐材を使ったメインテーブルやストロー素材を活かしたテーブルを配置。大きく開口する窓から、暖かな太陽の日差しと爽やかな風が入り、オープンカフェのような空間になっています

 

メニューのコンセプトは「身体にやさしいイタリアン」。有機豆乳や玄米、オーガニック野菜などを使用し、健康を意識した欧風料理を提供しています。メインとなるのは10種のライスプレートと8種のパスタで、それぞれに一皿ずつ週替わりのセットも。

↑「オムハヤシカレー」800円(税込)と「蒸し鶏トフレッシュトマトのジェノベーゼ」900円(税込)

 

ご飯にはヘルシーな16穀米、麺にはもっちりした食感の生パスタを採用。デザートが充実しているのも魅力で、濃厚な口どけの「ニューヨークチーズケーキ」(450円・税込)、バター不使用の「オーガニックチョコブラウニー」(350円・税込)、ヘルシーな「豆乳クレームブリュレ」(400円・税込)など多種多彩。

 

多くのメニューはテイクアウトができ、パーティプランも用意されています。革新的な学食として、要チェックといえるでしょう。

 

【Information】

武蔵野大学「ロハスカフェARIAKE」

住所:東京都江東区有明3-3-3 武蔵野大学有明キャンパス低層棟3号館 2F
営業時間:月~金10:00~19:00、土日祝11:00~19:00(各L.O.30分前)
定休日:年末年始
https://www.lohascafe-ariake.net/

 

 

4. 青山のキャンパスでリーズナブルな和洋中の学食を

お洒落なイメージ、といえば青山学院大学でしょう。その青山キャンパスはトレンド発信地である表参道~渋谷にあり、青山通りに面しているのでアクセスも至便。学食もきわめて同校らしい内容になっています。構内には「17号館食堂」(通称イチナナ)と、「7号館食堂」(通称チカナナ)があり、今回は2012年に新設された前者を紹介しましょう。

↑「17号館食堂」はオレンジを基調にモノトーンの家具を配した、明るく落ち着きのある空間。席数は1000弱あるらしく、広々としています

 

メニューは定食にプレート、麺類と豊富で、ジャンルも和洋中と多彩。なお、17号館と7号館でメニューが重複しないように配慮されており、しかも前者は「ヘルシー&ベジタブル」、後者は「スタンダード&ノスタルジック」がテーマ。毎日通う学生や職員が飽きないための工夫がされているのもポイントです。

 

そんなイチナナの定番メニューのひとつが「油淋鶏」(ユーリンチー)。1日約300食提供されている人気の一皿です。

↑「油淋鶏」500円(税込)。大きな鶏肉を揚げ、酸味の効いた特製ブレンドのソースがかけられています

 

そして、一番人気はいわゆる日替わりランチ的な存在の「表参道」。ユニークなネーミングもさることながら、数種の料理が盛られた定食を、実にリーズナブルな価格で味わえるのが人気の秘訣です。なお、日替わりメニューには「THEフィッシュ」という魚がメインの定食も。また、2~3日周期で内容が変わる「青山物語」というメニューも好評です。

↑「表参道」420円(税込)。毎日内容が変わり、写真は中華飯、春巻き、木須肉(ムースーローという、豚肉のキクラゲ玉子炒め)

 

↑「青山物語」500円(税込)。写真は漬けマグロの山かけ丼、揚げ出し豆腐、茶そば
↑「青山物語」500円(税込)。写真は漬けマグロの山かけ丼、揚げ出し豆腐、茶そば

 

ほかにも、7号館には2017年にオープンしたお洒落なブックストア併設型の「AGU BookCafé」があるなど、見どころは満載。表参道エリアにはさまざまな飲食店がありますが、同校の学食は屈指のコストパフォーマンスを誇っています。ショッピングなどで訪れる際、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

 

【Information】

青山学院大学「17号館食堂」

住所:東京都渋谷区渋谷4-4-25 青山学院大学 青山キャンパス 大学17号館 1F
営業時間:月~土8:30~20:00(L.O.19:45)
定休日:日祝、夏期・冬期・春季休業期間(ただし授業日は営業)
https://www.aogaku-kobaikai.com/ShopCafe/cafe-aoyama.php#cafe-aoyama-17

 

※価格はすべて、消費税10%込です。

 

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