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お酒
2019/12/13 20:00

「日本酒安すぎる問題」をぶっこわす! 「15万円の日本酒」を飲んだら「神々の遊び」という結論に

 

コンセプトに応じた「ここしかない!」という蔵元を指名して造る

スペックはシンプルに伝えているとはいえ、商品作りには徹底的にこだわっています。それは「100点を取って当たり前の世界だから」と生駒さん。おいしさやデザインはもちろん、カスタマーサポートやSNSにおける発信、自身の発言を含め、すべてにおいて100点でないと、ラグジュアリーになりえないからだと言います。

↑「百光 -byakko-」は、世界最大規模のワイン品評会「IWC2019」でゴールドメダルを受賞したほか、仏ソムリエら約100名が選ぶ「Kura Master 2019」でプラチナ賞を獲得。さらには2019年開催の「G20関連カンファレンス」の乾杯酒に採択されました

 

「『深豊 -shinho-』は数馬酒造、『百光 -byakko-』は楯の川酒造と、それぞれ蔵元がバラバラであることがひとつの例です。これは商品の企画段階で、目指す味わいの究極をつくりたいから。『百光 -byakko-』であれば、『”上質”を極めた、至高の1本』というコンセプトがあって、上質といえば純米大吟醸の華やかな香りだと。となると、楯の川酒造しかありえないんです。ここは日本で唯一の純米大吟醸酒(精米歩合50%以下が純米大吟醸)だけを造る蔵元ですし、1%まで米を磨いた酒を造った経験もありますから」(生駒さん)

 

取材などを通じて培った信頼関係をもとに、「あなたでしかこのコンセプトのお酒は造れないんです!」と熱烈にアタック。すると蔵元側も、「うん、それなら造るのは私たちだよね」と納得してくれるとか。

 

精米歩合18%の純米大吟醸「百光」は「いつまでも飲んでられるヤツ」

こうして造られた「究極の日本酒」とは、いったいどんな味なのか…?  大いに期待が高まったところで、いよいよ試飲!  味についてはGetNavi webの編集者で利き酒師の資格を持つ小林史於がコメント。まずは山形県・楯の川酒造の「百光 -byakko-」からレポートしていきましょう。

↑有機栽培米を精米歩合18%まで磨き上げている(米の82%を削っている)のが最大の特徴。一切の雑味がない滑らかでクリアな味わいと、美しく伸びる余韻を実現しています

 

↑真剣な表情でテイスティングに臨むGetNavi web編集者の小林史於。和食居酒屋で日本酒の仕入れを担当したこともあって、日本酒には一家言あり

 

「なんだろう、この透明感……。ボディはクリアでふくよか。ヘタな大吟醸だと、最初にイヤミな甘さが来たりするんですが、そんなあざとさは皆無です。そして、梨を思わせる一瞬の香りがまた絶妙で、清涼感を際立たせていますね。最後に上品で淡~い酸味が口の中でたなびいて……日本酒の喜びをじんわりと感じられる味わい。ああ、やばい、これいつまでも飲んでられるヤツだ!」(小林)

 

「深豊」の鮮烈な味わいに「いますぐ家に持って帰りたい!」

2本目は、石川県・数馬酒造が手掛けた「深豊 -shinho-」を試飲します。こちらは、地域再興の想いのもと、耕作放棄地を開墾して育てられた酒米を使用。精米歩合は70%とあえて米を磨きすぎないことで、米本来の強い甘味と旨味を引き出したとのこと。

↑米のうまみを最大限に引き出すため、「生酛(きもと)造り」と呼ばれる伝統的な製法を採用。なおかつ搾りたてのフレッシュさが楽しめるよう、直汲みの無濾過生原酒に仕上げています

 

「ウマイっ!  味は濃いのに、何でこんなに鮮烈なんだ!  ちなみに、『生酛造りの無濾過生原酒』とは、ラーメンでいうと『アブラ多めニンニクマシマシ』みたいなもので、もっとも味の濃い組み合わせ。ともすると重苦しい味わいになることもあるのですが、これは脳天にカーンと高く響くような……。雑味や重さやベタつきはなく、日本酒の良いところだけを凝縮したイメージです。これは好き! いますぐ家に持って帰りたい!」(小林)

 

まるで天上界の花の蜜――「天彩」はナイトキャップで楽しみたい

3本目は、奈良の美吉野醸造と開発した「天彩 -amairo-」。奈良県吉野の湿潤な気候がもたらす力強い発酵を生かした、濃密な甘みが特徴のデザートSAKEです。

↑「天彩 -amairo-」は500mlで7300円。山廃をベースとした累乗酒(日本酒を仕込み水の代わりに用い、それを二度三度と繰り返して醸造したもの)で、蜜のように濃厚でとろけるような甘み、それを際立たせる酸味と深く長い余韻が特徴です

 

「日本古来の仕込みでうまいお酒を醸すと、近年評判の蔵元さんですよね。期待通りのデキ。天上界の花の蜜をなめたとしたら、きっとこんな味なのでしょう……。甘みが濃密でリッチです。かといってのどにモタつかないしキレもいい。あとは、梅酒を思わせるイメージもあるし、奈良の酒蔵だけに、少しだけ奈良漬けを思わせる要素もあるかと。スイーツと合わせて食後酒として楽しむのもいいですし、ナイトキャップ(寝酒)として一日を振り返りつつ、ナッツなんかをつまみながら飲めたら幸せですね」(小林)

 

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