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2020/2/13 18:00

バレンタイン前日に改めて学ぶ「チョコレート」の起源と「ガーナ」の歴史

実は高級チョコレートとガーナは遜色がない!?

ーーチョコレートの製造工程はどういった手順になりますか?

米岡 製造工程はメーカーごとにこだわりを持っていると思います。弊社の場合はとにかく丁寧に、時間をかけてチョコレートを作り上げている点が挙げられます。自社工場にカカオ豆を入れるところから始め、豆を焙煎してカカオマスを作ります。そこにミルクや砂糖を練り込んで商品にしている訳ですが、豆の大きさによって焙煎時間などを変えたり、チョコレートの粒子を細かくしたり、長い時間チョコレートを練り上げたり、随所に弊社ならではのこだわりがあります。実はカカオ豆からチョコレートまで一貫して製造しているメーカーは多くはありません。弊社の場合、イチからチョコレートを作り上げているため、弊社ならではのチョコレートができるわけですから、強みとして自負しています。

ただ、弊社の場合は、様々な国からカカオ豆を入れるところから始め、自社工場で豆を挽いて、焙煎して粉々にして、チョコレートのスイートを作ります。そこにミルクや砂糖を塗り込んで商品にしています。前述のようなチョコレートだけを買ってきて、形を変えるだけなら1日などで終わる作業だと思いますが、弊社の場合は、これだけの工程を踏まえていますから、約10日はかかります。しかし、この大変な作業を経てこそ、弊社ならではのチョコレートができるわけです。

↑ 仕入れたカカオ豆を挽くために機械に投入する様子

 

↑ カカオ豆を焙煎した後、粉々にしてチョコレートを作る様子

 

↑ カカオマスのスイートにミルクや砂糖と合わせて滑らかに

 

↑ 板状に成形し、完成したガーナミルクチョコレート

 

ーーところで、バレンタインデー時期には、様々なチョコレートが店頭に並びますが、中には1粒1000円以上もする外国製のものもあります。こういったチョコレートは、なぜそんなに高いのでしょうか。

米岡 さすがに1粒1000円のチョコレートですと、豆や工程に特別なことがあるかもしれません。ただ、価格に大きく影響しているのは関税や物流費、製造効率だと思います。原料をたくさん買い取り、機械で大量生産しているのか、少ない原料を買い取り、手作業で作っているかによって当然、価格は大幅に変わります。また日本では高級なチョコレートでも、海外ではそこまで高価でないことはよくあります。ガーナミルクチョコレートはとてもお手頃な価格ですが、原料と製法にこだわった本格的ミルクチョコレートです。外国製の高級チョコレートだけでなく、ぜひともこの味を堪能してもらいたい。実は高級チョコレートと大差がない、それくらいの自信を持っている商品です。

↑ 現在のガーナミルク。なめらかな口どけと奥深い味で、今なおロッテのチョコレート商品の代表格

 

↑「 ガーナピンクチョコレート」。ピンク色のパッケージもかわいらしい苺味。今年、ロッテでは、「ピンクバレンタイン」をテーマに、こういったかわいらしい商品展開もされています

 

ガーナの技術から派生した数々のチョコレート商品

ーー話をロッテのガーナミルクに戻すと、1964年に発売されて以来、今日に至るまで50年以上も続いています。また、このガーナをきっかけに、様々なチョコレート商品にも派生しています。この経緯も教えてください。

米岡 ガーナが発売されてから、洋酒チョコの「バッカス」、「ラミー」といった商品を発表した後、1974年にモルトパフ入りの「クランキー」を開発しました。続く1979年の「パイの実」、1984年の「コアラのマーチ」は独自のコンセプトで開発した商品でした。

↑ 1974年の発売以来、ロッテの主力チョコレート商品の一つになったクランキー。サクサクのモルトパフがぎっしり詰まっています

 

例えばパイの実でいうと、「木々に美しいパイがなっていたら、なんか幸せだろうな」というもの。また、コアラのマーチでいうと、「コアラって、あまり動かない動物だけど、もっとかわいくしたらどうか」と考えて、マーチングバンドの設定にしました。

 

↑ 1979年に発売されたパイの実。チョコレートの楽しさをさらに広げた商品です

 

↑ 1984年発売のコアラのマーチ。発売時のコアラブームに合わせながら、ロッテならではの楽しさも加えた商品開発によって、こちらも今日まで親しまれています

 

また、1994年に出した「トッポ」は、外側にプレッツェル、内側にチョコレートを入れれば、夏場でもチョコが溶けて手がベタベタすることなく、最後まで美味しく食べられると考えた商品です。

↑ 1994年に発売されたトッポ。お客様視点の発想で開発し、こちらもヒット商品に

 

ここまで多くの派生商品が生まれ、世の中にも広がっていったことを考えてみても、やはり1964年のガーナは弊社にとってチョコレートの基盤開発上、とても重要な商品だったと言えます。

 

近年の菓子消費量の1位はチョコレート!

ーーこれまでお聞きしたチョコレートの起源や歴史、そしてロッテ製チョコレート商品の変遷も合わせて顧みて、これからの未来にどのようなチョコレートを開発されていきたいとお考えですか?

米岡 2013年以降、チョコレートの消費量、消費金額は増加傾向が続いています。戦後からこの頃までに売れていたお菓子は和生菓子、洋生菓子がメインだったわけですが、現在はチョコレートが菓子市場のトップになっています。「じゃあ、ヨーロッパはどうか」と見てみると、各国の菓子市場において、日本以上に圧倒的な存在。

 

その理由を考えてみると、おそらく「ここまで複雑なお菓子はない」からだと私は思っています。甘くもあり、苦くもあり、酸っぱい香りもある。そして、近年は「カカオがスーパーフードである」といった声もよく耳にしますし、美味しくて、1つ口にしただけで気分も変えられるという、他にはないお菓子だと思います。

 

今後も口にしてハッピーな気持ちになるようなチョコレート商品を、一つでも多く世に出していきたい。味はもちろんですが、チョコレートそのものの魅力も、ガーナを始めとしたブランドを通して世の中にお伝えしていけたらいいなと思っています。

↑ ロッテのチョコレート商品は、大きく分けて20ブランドが存在。それぞれのパッケージにフレーバー違いなどがあります。米岡さんは、これらの商品群をもって、「チョコレートの魅力を世の中に伝えていきたい」とおっしゃっていました!

 

チョコレートの奥深い歴史と工程、さらにロッテ商品の変遷までを辿ることができ、感慨ひとしおの筆者でした。バレンタインでもらうチョコレートを味わいつつ、お礼代わりにこのチョコレートのウンチクを、プレゼントしてくれた女性に伝えれば、より関係が深まるかもしれませんよ!

 

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