本・書籍
2016/7/3 12:00

「国産ワイン」と「日本ワイン」の違い、知ってる?

国内で売られているワインには、実は「国産ワイン」と「日本ワイン」の2種類がある。「日本ワイン」は2015年より定義された新しいカテゴリーで、国産ブドウのみの原料で国内で製造された果実酒にのみ付けることができるものだ。

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だとしたら「国産ワイン」とは一体何かというと、原料が輸入ブドウなのである。国産ブドウでなくても日本国内で製造したものには「国産ワイン」と名乗ることが許されていたのだ。輸入ワインと国内ワインの比率は70%と30%。国内ワインのうち「国産ワイン」と「日本ワイン」の比率は80%と20%だという。つまり全ワインの中で「日本ワイン」というラベルが貼られているものは、僅か6%しかない。

 

安くて美味な山梨ワイン

山梨出身の私は、ブドウ園でアルバイトをしたことがある。真夏にブドウを選別して箱に詰めていたあの頃、辺りに来る観光客はブドウ狩り目当ての家族連れが多かった。それがここ数年は、少しオシャレな大人のカップルが、ワイナリー巡りをする姿が目立つ。山梨は日本有数のワインの産地で、ワイナリーだけでも80以上ある。日本の全ワイナリーのうち、4割以上が山梨に集中しているのだ。

 

今まで20年以上、いろんな国のいろんなワインを飲んできたけれど、私は山梨産のワインが世界一美味しいと思っている。とにかく鮮度が違う。口にした瞬間の爽やかさが他のワインとは比較にならない。水が美味しいエリアで育ったからかもしれない。山梨ワインの多くは甲州という大きな粒のブドウで作られているけれど、それが甘すぎず辛すぎず、本当に何にでも合うし、どんどん飲める。しかも安い。1本1000円くらいからあるのだ。今まで周囲に一体何本配ったことだろう。今までなぜ皆、山梨のワインに気づいてくれないのかしら、と悔しい思いをしてきたけれど、最近やっとこの味が世界に認められてきたようなので、本当に嬉しい。

 

日本初の世界コンクール金賞

『甲州・信州のちいさなワイナリーめぐり』(一般社団法人ワインツーリズム・著/G.B.・刊)は、山梨と長野のワイナリーガイドで、山梨のワイナリーだけでも50以上掲載しているので、かなりの情報量だ。ワインというと勝沼と思う人が多いだろうけれど、2012年に世界最大級のワインコンクール「デカンタ・ワールド・ワイン・アワーズ」で日本ワイン初の金賞を得たのは明野町の「ミサワワイナリー」のワインである。山梨の明野といえばひまわり畑でも有名な、日照時間日本一の記録を持つのどかな田園地帯だ。

 

山梨ワインは、2013年、日本ワインとして初めて国税庁長官から地理的表示「山梨」の指定を受けた。一定の基準を満たしていなければその産地名を名乗ることができないという保護を受けたのだ。これにより、フランスのボルドーやシャンパーニュのようなブランド産地となったのだからすごいことである(産地を名乗るわけだから、お米に例えると魚沼産コシヒカリのようなものかもしれない)。

 

成人式に20年もののワインを

多くのワイナリーは試飲も購入もできるし、カフェも併設されている。県庁所在地の甲府にもワイナリーはあるので、急ぎ旅の人は駅から歩いてすぐの「サドヤワイナリー」で楽しむのもいいだろう。ここはチャペルもあり、まるで外国の街並みのようで雰囲気がいい。面白いと思ったのは成人した子どもに、生まれた年のワインを贈ることができるという試み。勝沼のワイナリー「まるき葡萄酒」には20年ものの甲州ワインも揃っているという。私の息子も20歳なので、取り寄せて乾杯してみようかなと考えている。

 

ワインは好き、という人でも、チリワインが、とか、スペインワインは、などと海外のワインのことにばかり詳しい人がいる。日本ワインが近年、各種コンクールで評価されていることも知って、ぜひ試していただきたい。ワイナリーに行く時間がないというかたも、最近はデパートのワインショップなどにも山梨のワインが入荷されるようになったということなので、「日本ワイン」の美味しさを味わってみてはどうだろう。(文・内藤みか)

 

【URL】

サドヤワイナリー http://www.sadoya.co.jp/

まるき葡萄酒 http://www.marukiwine.co.jp/

 

【参考文献】

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甲州・信州のちいさなワイナリーめぐり

著者: 一般社団法人ワインツーリズム
出版社名:G.B.

昨今のワインブームもあり、今やワイナリーを訪れる方が激増しています。そんなブームの中、ワインの本は数あれど、ワイナリーそのものを紹介する本はそれほど多くありませんでした。同書はワイナリーそのものに焦点をあてて、山梨・長野両県にあるワイナリーのうち、一般の方が立ち寄れる全80か所を網羅し紹介。そこで作られるワインの魅力はもちろんのこと、併設されるレストランやショップ情報、そしてアクセスまで、オールカラーで詳細に記載しました。これを持って是非あなたもワイナリー巡りを楽しんでください。

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