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2016/9/25 15:00

いま流行りの「オーセンティック・バー」でお酒を愉しむ――ビギナーにとってのBAR選びのポイント

「BAR」というサインボードを見かけると手当たり次第、ドアをノックしてしまうBAR評論家からすると、首をかしげるしかないが、「BARに行きたいのですが、どの店に行けばよいでしょうか」と訊ねられるケースも多々。これからBARに足を運びたいというビギナー向けに、お店選びのポイントを考察してみた。

 

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「BAR」という文字列を見つけても最近、いささか見極めが難しい。世間的に「BAR(バル)」が大流行りで紛らわしいし、中には昔ながら、キャバクラやカラオケスナックを「BAR」と表記している場合さえある。「おお、こんなところに素敵なBARが…」と扉を開くと、バーテンダーではない黒服の男性に迎えられ「普通のBARですか?」と訊ねると「まずシステムを説明差し上げます。席料が5000円となりまして、ボトルを入れて頂きます…」。そこで彼の言葉を遮り、「あ、ではけっこうです。失礼します」と表に出る。こんな難儀な場合もある。

 

ここで定義するBARとは、ガールズバーでもダーツバーでもない、「オーセンティック・バー」だ。カクテルやウイスキーなどお酒だけをバーテンダーとの会話とともに愉しむお店に限定する。もちろん、少々カジュアルな店でも構わないが、お酒が愉しめてこそ、大人の呑み方だ。

 

以下にお店選びのポイントを列挙する。特に初めて足を運ぶビギナーは、事前調査をお勧めする。

 

■ポイント1「信頼できるBAR好きと同伴する」

もっとも簡単で、もっとも信頼度が高い。大学や職場の先輩、もしくは上司…BARに通い慣れた人生の先達を見つけよう。これには間違いない、いくつかの利点がある。

 

・BAR好きなら、何軒かの行きつけがある。

・その中から特にお気に入りをリクエストしてみる。

・または、中でも廉価な一軒を教えてもらう。

・常連ならバーテンダーを紹介してもらえる。

・そして、オーダーの仕方も学べる。

 

キリがないほどの利点が挙げられる。もちろん、会計は割り勘で。先達の気分次第では、ご馳走になれるかもしれない。同行してもらえなくとも、自分に合うBARを何が呑みたいか、予算を伝え、お店だけを紹介してもらうこともできるだろう。まずはチャレンジしてみたい。ただし、キャバクラ好きの先輩や小言の多い上司は、タイプの異なるBARに連れて行かれることもありえるので、あらかじめ人選にはご留意を。

 

■ポイント2「書籍、雑誌の活用を! ネット情報は不正確な場合も…」

もしどこを探してもアドバイザーが見つからない…という場合は、まず書籍や雑誌を覗き、店舗情報を参考にしよう。都内なら大手タウンガイド誌が年に一度ほど、BAR特集をリリースしているので、ネットショップなどでバックナンバーを買い求めても良いだろう。我田引水ながら、弊著『【東京】ゆとりを愉しむ至福のBAR』(東京書籍)も参考になるはずだ。活用シーン、テーマごとに店をリストしている。その他都市圏であれば、各地のタウンガイドを参照されたし。地方都市でも、BAR業界がBARをまとめたフリーペーパーや冊子を発行しているケースも多い。ぜひ手に取ってもらいたい。

 

ネットにも情報が溢れているのだが、掲載されている情報の真偽のほどが不明。特に「食べログ」の星付はかなりアテにならない。食事メニューを中心にアルゴリズムを組んでいるようで、名店BARでも3.0程度だったりする。逆に「パスタが美味い」など酒がからっきしなダイニングバーの点数がやたら高くなる傾向にある。ましてや、大して酒好きでもないレビュアーが「カクテルが高かった」などと書き込み、3000円呑み放題の居酒屋と勘違いしたコメントも散見されるので、よくよく吟味が必要だろう。

 

酒類メーカーが掲出しているネットのBAR情報は、住所、電話番号などが正確なので、少々参考にしたい。サントリーのBAR NAVIは、情報量も豊富。どんなタイプのBARかがチェックできる点も魅力だ。オールラウンドに対応できるBARはもっとも多いが、スコッチ専門店、テキーラ専門、ラムのお店などを見極めることもできる。初めての際は、無難なオーセンティックBARを選びたいもの。

 

■ポイント3「事前に価格チェック!」

やはり、自身の懐から支払うのだから大事なポイント。まずはチャージの有無。日本のBARには、チャージがあることで知られている。500円程度の席料と考えてもらえば好いだろう。これによりチャームと呼ばれる凝ったおつまみが付くことが多い。これはこれで愉しみだ。

 

全体的な価格は、書籍、雑誌はもちろん、ネットでもある程度の目安が出ているので必ず目を通しておこう。特に「初めてのBARはぜひ銀座で!」という挑戦者は、しっかり事前に確認しておくことを勧める。銀座の名BARは1万円ぐらいは懐に入れておくべき。銀座など都心の繁華街以外は、チャージを含め3杯呑んで5000円前後が目安だろうか。BARは居酒屋ではない。量を呑む店ではない。最初は、3杯ぐらいに留め、身体にも懐にも優しいところで、お暇して欲しい。気に入ったら再訪すれば良いだけだ。

 

■ポイント4「事前に架電、店を判断」

店を訪れる前には電話を入れよう。これは私が今でも使う確認方法だ。東京在住の私にとって都内の店なら、馴染みのバーテンダーから情報を仕入れることができる。しかし、地方となるとそうもいかない。冊子やBAR NAVIで確認し、電話を入れている。それでも今の時代は幸せだ。昔のように飛び込みで、失敗することも少なくなった。

 

開店の1時間前、30分前、開店直後などが電話に適した時間帯だろう。ひとりで営業している店が多いので、宴たけなわの時間に電話するのは控えたい。もちろん、電話口で「オレ、オレー」的口調は論外。礼儀正しく訊ねたい。

 

電話の際は以下の点を確認しよう。まずは電話の応対。もちろんゾンザイではないかどうかが最大のポイント。電話での応対が悪いのに、実際の接客は素晴らしい…などということはない。しっかり、初めて伺う旨と、できれば予約まで入れてしまいたい。予約を受け付けないBARも多いので、その際は「○時頃、伺います」とだけ伝えておこう。もしどうしても気になるようなら、その際に予算などを訊ねても差し支えない。それであまりも対応が悪いような、別の店を選んでも問題ない。じっくり吟味し気持ち良いBARで過ごしたい。

 

■ポイント5「その日の一番乗りを狙う」

名店、人気BARは開店と同時に客が押し寄せることもあるが、可能ならその日一番乗り、他に客がいない時を狙おう。接客側も他に客がいなければ、対応が楽だ。それに他に客がなければ、何かを訊ね少々の恥をかいたとしても、気が楽だ。

 

オーダーするドリンクは決めておいたほうが楽だろう。ビールでも構わない。ジントニックなどどこにでもあるカクテルが無難だ。一杯目が気に入ったなら、お勧めを訊ねてみよう。「初めてです」と正直に相談すれば、目が飛び出るようなレア・モルトなどを勧められることもない。モルトやオールドボトルを勧められた際、私は「どれぐらい(の価格)ですか」とはっきり訊ねる。何も恥ずかしいことではない。バーテンダーは敵ではない。BARの指南役なのだ。

 

こうしたハードルを乗り越え、ぜひ素敵なBARの世界を愉しんで欲しい。

 

【著者プロフィール】

たまさぶろ

週刊誌、音楽雑誌編集者などを経て渡米。ニューヨーク大学などにてジャーナリズム、創作を学ぶ。CNN本社にてChief Director of Sportsを務める。帰国後、毎日新聞とマイクロソフトの協業ニュースサイト「MSN毎日インタラクティブ」をプロデュースし、日本で初めて既存メディアとウェブメディアの融合を成功させる。元MSNスポーツ・プロデューサー。東京マラソン広報ディレクターを務めるなど各種団体との交流によりスポーツ業界の裏事情に精通。著書『麗しきバーテンダーたち』がベストセラーに。米同時多発テロ事件以前のニューヨークを題材としたエッセイ『My Lost New York』が好評。

至福のBAR、時々スポーツ、のち戯言:http://bylines.news.yahoo.co.jp/tamasaburau/