グルメ
お酒
2022/9/17 22:00

0.0009%以下の希少性はホンモノでした。53年の熟成を経た古酒「あまてらす」の美しさ、美味しさよ

長期的かつグローバルなフードトレンドのひとつに「高級SAKE」があります。これは1本2~3万円(もしくはそれ以上)クラスの日本酒カテゴリーのことで、素材や製法を徹底追求した贅沢な味わいであることも特徴。なかには数年以上寝かせて深みをもたせる熟成酒もあり、今回紹介するのはその一本。もうすぐ創業300年を迎える千葉県御宿の老舗、岩瀬酒造の「あまてらす」です。

↑岩瀬酒造の銘柄・岩の井の「あまてらす」。テレビ東京のクラウドファンディングサイト「ナナ福神」で2万5000円です

 

本稿では高級SAKEのトレンドや同商品の特徴解説のほか、飲み比べて味わいをレポート。好相性なペアリングも紹介します。

 

10年以上の熟成日本酒は0.0009%しか存在しない

高級SAKEトレンドの背景には、日本酒の新価値創造と海外ニーズの掘り起こしが深く関係しています。

 

日本酒は海外で「ライスワイン」と称されますが、ぶどうのワインに比べて高級な銘柄はそこまで多くありません。また、高級銘柄といってもその多くは既存ブランドの最上位品といった位置付けでした。その状況下で近年増えているのが、ラグジュアリー日本酒「SAKE HUNDRED」など、高級SAKEの専門ブランドです。

 

一方、世界では和食の人気が年々高まっていて、やはりそこに合うお酒といえば日本酒=SAKE。希少かつ贅沢な味とラグジュアリーな世界観で、国内外の富裕層を中心に高級SAKEが支持されているのです。

 

高級SAKEの味わい特徴は高精白(極限までお米を磨く)で超フルーティだったり、貴醸酒(水ではなくお酒で仕込む)のように凝縮感のある甘みがあったりと、いくつかの方向性がありますが、そのひとつが長期熟成。熟成酒自体は珍しくありませんが、10年以上寝かせるなどして圧倒的なまろやかさや奥深い香りをもった長期熟成日本酒が、高級SAKEのいちカテゴリーとして存在します。

↑特に10年以上の熟成酒は超希少。全国の日本酒生産量のうち0.0009%しか存在しないと言われています

 

日本屈指の超硬水で醸される濃醇な熟成酒

今回紹介する「あまてらす」は、昭和44(1969)年度製の古酒を使っているのが大きなポイント。10年以上でも珍しいのに、53年も熟成され続けたとはきわめてレアです。しかもこの古酒は、大吟醸酒をベースとした贅沢品。

 

そして、そもそも造り手の岩瀬酒造は享保八(1723)年創業の老舗であり、2018年の「ブリュッセル国際コンクール」熟成酒部門に出品した「秘蔵古酒20年」がプラチナ賞に輝いた、熟成酒の名手です

↑恵まれた自然環境であることもポイント。それが、軟水国の日本では非常に珍しい超硬水が沸いていること

 

岩の井で知られる岩瀬酒造が芳醇な熟成酒を造れる背景には、技術だけでなく水も関係しています。それは、仕込みに使われる房総半島の貝殻層を通った、硬度約240度という国内屈指の超硬水。そのため、岩の井ならではの力強い味わいと豊富なミネラル感を実現でき、そんな日本酒が熟成を経ることによって、さらに濃醇な味わいへと深化するのです。

 

昭和30年代より古酒の貯蔵を始めていた岩瀬酒造では、こうした熟成酒を大切に貯蔵しており、「あまてらす」では前述の53年もののほかにうまみの豊かな7種類の古酒をブレンド。では、その味わいはいかなるものなのでしょうか。

↑緊張しつつ箱から出してお猪口へ。円熟感のある琥珀色は、まさに熟成酒ならではの美しさです

 

  1. 1
  2. 2
全文表示