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2022/10/16 20:15

「白ビールの時代が来た」と断定したい! ヱビスやプレモルなど主要な新作を飲み比べて解説

2022年は、白ビール(ホワイトビール)の当たり年といえます。なぜなら、大手メーカーから白ビールのビッグネームが続々と新発売されたから。なかでも極めつけは、9月13日新発売のキリン「スプリングバレー シルクエール<白>」でしょう。主要なブランドから4種集め、飲み比べるとともに商品特徴を解説します。

↑左から、「ヱビス プレミアムホワイト」(サッポロビール)、「スプリングバレー シルクエール<白>」(キリンビール)、「ザ・プレミアム・モルツ<ホワイトエール>」(サントリー)、「アサヒ ホワイトビール」(アサヒビール)

 

「白ビール」の特徴と名称の由来とは?

まずは白ビールの解説から。これはビアスタイルの一種で、大麦(大麦麦芽)のほかに小麦(小麦麦芽)も使うことが特徴のひとつ。小麦はたんぱく質のグルテンを多く含むため泡もちがよく、さらにほのかな酸味を伴うフルーティーな香味や、まろやかで爽やかな口当たりも生み出します。

 

なお、液色は明るいものの、ホワイトと断言できるほど白いわけではありません。しかしこのビールが世に広まった19世紀ごろまで、世界の主流は濃い褐色のビールだったため、この明るく淡い色のビールを白ビールと呼ぶようになったのです。

↑世界でもっとも有名な白ビールといえば、ベルギー生まれの「ヒューガルデン ホワイト」。1966年にヒューガルデン村出身のピエール・セリス氏が伝統レシピから商品化し、白ビールの存在を世に知らしめました

 

ここから、2022年注目の新作白ビールを紹介していきましょう。

 

●「スプリングバレー シルクエール<白>」
個性と飲みやすさが調和した好バランス

一つ目は、もっとも旬な「スプリングバレー シルクエール<白>」。クラフトビールの市場拡大をけん引する「スプリングバレー 豊潤<496>」に続く同シリーズの第2弾で、9月13日から全国で発売されています。

↑「スプリングバレー シルクエール<白>」。希望小売価格は248円(税抜)で、アルコール度数は5.5%

 

「ヒューガルデン ホワイト」に代表されるベルジャンホワイトと双璧をなすビアスタイルが、ドイツの「ヴァイツェン」や「ヘーフェヴァイツェン」。ヘーフェとは酵母のことで、ヘーフェヴァイツェンは無濾過により酵母を残した、よりまろやかなタッチとにごりのある液色が特徴です。

 

そして「スプリングバレー シルクエール<白>」も無濾過仕上げで、小麦麦芽のきめ細かなふわとろの泡とソフトな口当たりが特徴。またニュージーランド産の希少ホップ「ネルソンソーヴィン」を一部に使用した、華やかな香りも魅力です。

↑素材にコーンを使っている点も見逃せません。コーンは「キリンラガービール」をはじめ定番ビールにも使われており、すっきり飲みやすくするなどの役割をもっています

 

「スプリングバレー シルクエール<白>」は白ビールらしい上品な甘みや酸味があり、まろやかな飲み口もお見事。ボディは豊かでいて後味は爽快、余韻にはレモンや白ぶどうを思わせる甘やかな香りが残り、バランスのよさがピカイチです。個性があるのに飲みやすい、スプリングバレーらしいフレンドリーさをあらためて実感しました。

 

●「ヱビス プレミアムホワイト」
上質な香りと豊かなコクが美しく調和

お次はブランドのいちポートフォリオとして白ビールを進化させ続ける、ヱビスの「ヱビス プレミアムホワイト」。過去には「ヱビス 華みやび」などもありましたが、2022年は春に発売した「ヱビス プレミアムホワイト」が最新版です。

↑「ヱビス プレミアムホワイト」。オープン価格で、アルコール度数は5.5%

 

こちらもホップの一部に「ネルソンソーヴィン」を加え、白ワイン(ソーヴィニヨン・ブラン)を想起させる華やかな香りをプラス。また、柑橘のような爽やかな香りの「ミストラルホップ」も使用し、爽やかで上質な香りとコクが楽しめる味わいに。

↑味わいの芯にヱビスイズムを感じさせる、しなやかな爽快感が絶妙です

 

白ビールの魅力を感じさせつつ、プレミアムピルスナービールの雄である「ヱビス」らしい、堂々としたたくましさも感じます。苦味は今回のなかではビター感が特に豊かで、フルーティーな香りとの調和もナイス。説得力のあるおいしさです。

 

●「ザ・プレミアム・モルツ<ホワイトエール>」
豊かなボディの上で華やぐフルーティーなアロマ

次は“神泡”でもおなじみの「ザ・プレミアム・モルツ」。これまで季節などに応じて数々の限定フレーバーをリリースしていますが、実は白ビールは初。それが初夏に発売された「ザ・プレミアム・モルツ<ホワイトエール>」です。

↑「ザ・プレミアム・モルツ<ホワイトエール>」。オープン価格で、アルコール度数は6%

 

同商品はチェコやその周辺国で収穫、製麦された「ダイヤモンド麦芽」を一部に使い、天然水で醸造するなど、原材料や製法のベースはブランドの基本を踏襲。そのうえで小麦麦芽を一部使用し、エール(上面発酵)酵母で醸造しているのが特徴です。

↑液色は今回レビューした4商品中、もっとも濃いめ。アルコール度数も6%と高めです

 

どっしりとしたコクは、さすが「ザ・プレミアム・モルツ」。その土台の上で、洋なしやマスカット的な酸味のあるフルーティーなアロマが華やぎます。前述ヱビスでも感じましたが、ブランドのファンが飲んでも違和感を抱かせないであろう絶妙なチューニングがお見事。飲み応えも豊かでイイ!

 

●「アサヒ ホワイトビール」
フルーティーでハーバルなやさしい味わい

ラストは、アサヒビールが販路限定でリリースした「アサヒ ホワイトビール」。若者をコアターゲットに、エモーショナルな味「#エモ味」を表現したプロダクトからしてユニークです。

↑「アサヒ ホワイトビール」はアルコール度数5%。Amazonで販売(12本3158円)しているほか、東京都と神奈川県の一部「セブン-イレブン」でも限定発売しています

 

小麦麦芽を用いるほか、副原料にオレンジピールとコリアンダーシードを使ったベルジャンホワイトのビアスタイルになっていることも特徴。つまり「ヒューガルデン ホワイト」と近しい味わいであることがうかがえます。

↑製造工場は、実はアサヒビールではなく、クラフトビールの作り手「軽井沢ブルワリー」の醸造所

 

ふんわりとした華やかさと、やわらかな飲み心地が印象的。ベルジャンホワイト特有のバナナ香をふわりと感じる、フルーティーでハーバルな味わいです。奥ではシャープなドライさを感じつつも、ホップの苦みやコリアンダーシードのスパイシーさは抑えめで、若者にも刺さりそうなやさしい味わいだと思いました。

 

白ビールの豊作によるクラフトビールの盛り上がりに期待

あらためて白ビール、イイですね。苦味が控えめな一方でフルーティーな香りはしっかりしているので、ビールのエントリー層に刺さりやすく個性も伝わりやすいと思います。

↑各液色の比較。「スプリングバレー シルクエール<白>」と「アサヒ ホワイトビール」が、より淡いようです

 

「スプリングバレー 豊潤<496>」がクラフトビールの市場拡大をけん引したと語りましたが、「スプリングバレー シルクエール<白>」も注目されており、さらに今夏はオリオンビールが「75BEER-ベルジャンホワイト」を限定発売したうえ、「ヒューガルデン ホワイト」のノンアル版「ヒューガルデン ゼロ」も先日日本デビューしました(こちらは後日レポート予定)。ということで、白ビールきっかけからのクラフトビールの盛り上がりにいっそう期待したいところです。