デジタル
2017/1/21 20:00

指紋、自宅住所、在籍校も……! 写真で流出する個人情報に注意

写真に写る時、皆さんはどのようなポーズを取るでしょうか。先日、「SNSでピースして写真に写ると危険」というニュースが話題となりました。今まで気軽にピースして写っていたのを思い出して慌てた人も少なくなかったのではないでしょうか。

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この背景には、カメラの画素数が向上し、指紋を読み取れるようになったこと、生体認証が進んでいることなどがあります。最近は、生体認証の一つ、指紋認証をするシーンが増えてきました。指紋は変更できないため、本人認証として確実とされてきたためです。たとえば、銀行のATMでのお金の引き出し、マンションに入る時、スマートフォンのロック解除などに使われています。

 

■ピース写真で不正ログインも!?

ところが、読み取った指紋は複製できることは既に証明されており、2015年には、ドイツ人ハッカーが写真からウルズラ・フォン・エア・ライデン国防省の指紋複製に成功しています。国立科学研究所の越前功教授らによると、3メートル以内の距離で指を撮影した場合、指紋を読み取ることができるそうです。つまり、指紋認証を使っている人が安易にSNSなどに写真を公開すると、自宅侵入を許したり、銀行口座から預金を引き出されてしまう可能性まであるのです。

 

なお、写真の解像度によっては虹彩(眼球の色がついている部分)も複製することができるため、生体認証の一つであり虹彩認証も破られる可能性があるのです。気軽な自撮りは謹んだ方がいいかもしれません。

 

■写真の写り込みによる個人情報流出に注意

SNSに写真を載せることで起きる個人情報流出には、他にどのようなことが考えられるのでしょうか。

 

「雪が降った」「虹がきれい」などの理由で、自宅の窓から見える景色を写真に撮ってSNS上で公開している人はたくさんいます。しかし、ランドマークが写り込んでいたり、住所が写り込んでいたりすることで、自宅が特定される危険性があるのです。自宅が特定されてしまい、空き巣やストーカー被害に遭った人もいます。自宅の周辺1キロ以内では撮影しないくらいのつもりでいた方がいいでしょう。

 

最近は自撮りが流行しています。この場合も、写り込みによる個人情報流出の危険があります。たとえば卒業アルバムなどが写っていることで出身校が特定できたり、制服が写り込むことで在籍校が分かります。背景に写った書類から、仕事関連の機密情報が漏れて炎上につながったケースもあります。写真を公開する際には必ず映り込みを確認する必要があるでしょう。

 

■タグ付けによる流出、位置情報流出も

他人によって、居場所などを勝手に公開されてしまうこともあります。たとえば、FacebookやInstagramなどでは、写真に写っている人物にタグ付けができます。勝手にタグ付けした写真を公開されてしまい、「仕事だと言っていたのに飲み会に行っていた」などの情報が漏れて問題になることもあります。

 

秘密にしておきたいときは、写真を撮られそうになったら、あらかじめ「今日のことはSNSに投稿しないでね」などと断っておくのがお勧めです。また、自分が写真を公開したり友人をタグ付けする場合も、「この写真、Facebookに公開しても大丈夫?」「タグ付けしてもいい?」などと断っておくのがスマートです。

 

スマートフォンで撮影した写真には、Exif情報という様々な情報が埋め込まれています。これを解析することで、撮影した位置情報などがわかるため、自宅の特定などが可能です。FacebookやTwitter、Instagramなどの大手SNSでは、このような情報はアップロード時に自動的に削除されるようになっています。しかし、ブログなど他のサービスに公開することで流出する可能性があるので、スマートフォンの位置情報や、カメラアプリの位置情報をオフにしておくといいでしょう。

 

【著者プロフィール】

高橋暁子

元小学校教員。Webの編集者などを経て独立、現職。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)など著作多数。SNSやスマホの安心安全利用等をテーマとして、テレビ、雑誌、新聞、ラジオ等のメディア出演経験も多い。