デジタル
2017/1/29 19:40

Amazonの「空中倉庫」&「ドローン配達」でネット通販の未来はどうなるか?

ボタンを押すだけで商品が届く「Dash Button」や支払不要のコンビニ「Amazon Go」など、次々と革新的な新しいサービスを発表しているAmazonですが、昨年アメリカで空飛ぶ飛行船型倉庫の特許を取得していたことが明らかになり、話題になっています。この「空中倉庫」が実現するとネット通販はどう変わるのでしょうか。

 

■Amazonがアメリカで特許を取った「空中倉庫」って?

これまでにも色々なサービスでネット通販の常識を変えてきたAmazonですが、さらに型破りな新しいアイデアで特許を取得していたことが分かりました。そのアイデアとは、Amazonの倉庫自体を飛行船にして空に飛ばしてしまう「空中倉庫」。このAirborne Fulfillment Centers(AFC;空中フルフィルメントセンター)と呼ばれるアイデアは、上空4.5万フィート(約14キロメートル)に大きな飛行船を浮かべて、そこに需要の高い商品の在庫を完備。注文が入ったら指定の日時に空中倉庫から商品を持ったドローンを飛ばして利用者に届けるという仕組みです。考え方としては、現状の地上にある倉庫が上空に浮かび、車での配達がドローンに置き換えられるというイメージですね。

 

■注文後、数分で商品が届くようになる?

昨年末から「Prime Air」として利用者へのドローン宅配の実証実験を開始しているAmazonですが、今回の空中倉庫はその発展型だと言えるでしょう。ドローン宅配の実用化に向けては、現状の平均飛行時間が20分程度と電池の消耗が早いことが課題に挙げられていますが、この空中倉庫のアイデアでは配送先のすぐ上空まで倉庫ごと移動することで、ドローンの稼働にかかる電力が最小限で済むことがメリットのようです。配達を終えたドローンは自力で飛行船に戻れないため、ドローン回収用のシャトルと呼ばれる小型飛行船も必要になるとのこと。

 

特許文書には、例示としてアメフトなどの試合があるときに競技場の上空で空中倉庫が待機し、グッズや食べ物などをドローンで届ける、といった使い方ができると書かれています。これによって、在庫があれば注文してから数分で商品を受け取れるようになり、生鮮食品や調理済みの食事なども配達可能になるとされています。現在のAmazon Prime Now(プライムナウ)では、2500円以上で注文可能で1時間以内に届く便には890円の配送料がかかりますが、この空中倉庫からの配達では送料がいくらになるのか気になるところです。

 

■配送の課題解決だけでなく大規模災害時の活躍も期待

この空中倉庫が実現されれば、ネット通販の配送スピードが今よりさらに早くなるとともに、配送にかかる人手やコストが大幅に削減されるのではないかと考えられます。ネット通販の貨物量が増加し、疲弊する配送業者が問題になるなか、Amazonは独自路線で物流の改革を進めていますが、この空中倉庫がAmazonだけでなく他の配送会社にも応用されるようになれば、ドライバー不足や配送トラックの路上駐車など、配送業者が抱える課題解決にもつながるのではないでしょうか。

 

さらに、自由に場所を移動できる空中倉庫は、大規模災害時などにも活躍が期待できそうです。筆者が住んでいる東京でも、東日本大震災が起きたときには道路が寸断されて流通が麻痺し、お店から商品がなくなってしまったことは記憶に新しいですが、このAmazonの空中倉庫があれば、大規模災害が発生したらすぐに必要な物資を積んで被災地上空に移動し、人が入れないような危険地域にもドローンで物資を配達することができるようになるでしょう。

 

これまでにも次々と「ありえない」アイデアを実現してきたAmazonなので、今回もSF映画のようだと笑ってはいられないかもしれません。数年後には、郵便や宅配便を乗せた飛行船が上空を飛び回り、飛行船からドローンで各家庭に配達されるようになっているかもしれないですね。

 

【著者プロフィール】

遠藤奈美子

ネットショップの運営に携わり、自身でも日常生活のほぼ全ての買い物をオンラインで行っていることから、ユーザー目線かつ運営者としての厳しい視点で情報を発信。EC事業者と消費者の橋渡し役を目指す。