デジタル
2017/10/30 6:00

サムスンの新AIアシスタント「Bixby 2.0」はSiriやCortana、Alexaとどこが違うのか?

じわじわと日本にも入りつつある音声アシスタントデバイス。Siriの登場から6年ほど経った今、もはやAIアシスタントは「音声で操れる便利なインターフェース」以上の存在へと進化しつつあります。AmazonのAlexa、GoogleのGoogleホームはスマートホーム関連の様々なIoTデバイスをつなげることで、消費者のインフラストラクチャの座を虎視眈々と狙っています。

 

サムスンもこの市場に食い込もうとしています。10月中旬、同社は、今年3月に発表したAIアシスタント「Bixby」を大幅にアップデートした「Bixby 2.0」を発表しました。当然ながら、狙いはただの音声アシスタントではありません。

20171026_kubo19
Photo: Samsung

 

家電メーカーの強みを活かした戦略

サムスンの発表によるとBixby 2.0は家電を含めた多くのIoTデバイスをつなげ、簡単に操作、管理するためのハブとして位置づけられているとのこと。

上記の初期Bixbyのデモ動画でもよく分かるように、Bixbyは写真の送信やアラームの設定、予定の入力とあくまでも「スマートフォン用のインターフェース」という位置づけでした。

 

それが自宅の空調や照明、コーヒーメーカーや音響システム、テレビといった様々なデバイスをコントロールしてくれるスマートホームのAIアシスタントと進化するわけですね。これはまさにAmazonやGoogleがエコーやGoogleホームでやろうとしていることです。

 

2.0になり自然言語の認識も向上され、サムスンが今後発売する家電もどんどんとBixby 2.0に対応していくとのこと。先日の発表でも来年から発売されるテレビはBixby2.0対応のものが登場すると述べられています。サムスンは多くの家電を提供しているので、AmazonやGoogleと比べてこの点が同社の強みですね。

 

そう考えると、家電メーカーでもあるサムスンがスマートホームをまとめるAIアシスタントに取り組むのは理に適っています。現状、最も近いライバルは、SiriやCortanaといったアシスタントというより、巨大なエコシステムを作るべく奮闘しているAmazonのAlexaになりますね。

 

サムスンはディベロッパーのためのアプリ開発キットも公開する予定とのこと。サードパーティによるアプリも取り込んで「Bixbyエコシステム」を拡大させていきたいという狙いが見えます。

20171026_kubo20
Photo: Samsung

 

AmazonとGoogleは各アシスタントを独立したスピーカーとして普及させようとしているのに対して、サムソンは既にユーザーが持っているスマートフォンを活用しようとしています。この違いも興味深いのですが、今後Bixby専用のスピーカーが登場するのか注目です。

 

立ちはだかるネットの巨人

狙いは野心的なBixby2.0ですが、海外メディアは割と冷めた目で見ているようです。Bixby誕生の際も、Galaxy S8の発売時点では英語に対応しておらず、わざわざボタンが存在しているのに使えないという状況が生まれてしまっています。

 

また、サムスンのスマートフォンユーザーの多くは既にGoogleアシスタントの利用者であるので、英語に対応したとしても、わざわざBixbyに乗り換えるほどの利便性があるのかどうか疑問が残ります。「データという面ではGoogleの方が有利だ」とBBCは指摘しています。

(出典:”Take two for Samsung’s troubled Bixby assistant”, BBC, October 19 2017, http://www.bbc.com/news/technology-41677366

 

The Vergeも「誰もサムソンに提供して欲しいとは思っていないサービスが、使えない状態で装着された状態である」と酷評。もちろん、ユーザー数が増え、対応デバイスが増え、ディベロッパーたちが参加するにつれて利便性が大幅に改善される可能性はありますが、今すぐユーザーたちの興奮を呼ぶプラットフォームにはなっていないというのが現状のようです。

(出典:“Samsung announces Bixby 2.0 six months after launching Bixby 1.0”, The Verge, October 18 2017, https://www.theverge.com/2017/10/18/16498120/samsung-bixby-digital-voice-assistant-second-generation-release )

 

IoTやショッピングなど、あらゆる場面のエコシステムの中心になっていくと見られている音声アシスタント。Bixby2.0からは、長期的な視野でインフラ側に回りたいというサムスンの野心が見えてきます。強力なライバルを前にして課題は多そうですが、家電メーカーとしての強みを活かせるのか今後に期待です。

 

TAG
SHARE ON