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2018/2/24 7:00

【西田宗千佳連載】社長交代でソニーはどうなるか

「週刊GetNavi」Vol.64-1

 

過去20年来トップの業績で復活を果たした

その発表は突然のことだった。

 

2月2日、ソニーは、4月1日付けで、現社長兼CEO(最高経営責任者)の平井一夫氏が代表権のない会長に、現CFO(最高財務責任者)の吉田憲一郎氏が社長になると発表した。

↑aiboを抱いて発表会の舞台に立つソニーの平井一夫社長
↑新生aiboの発表会に登壇したソニーの平井一夫社長

 

同日には、平井氏・吉田氏同席での記者会見も行われており、4月以降の新しい経営体制についても説明された。

 

こうした企業のトップ交代というと、すぐに「引責」という言葉が思い浮かんでしまうが、今回のケースは決してそういうものではない。むしろ、ソニーの業績はここ20年で最高の状態にあるのだ。2017年度第3四半期(2017年10月~12月)の営業利益は、前年同期比の279.8%増となる3508億円。2017年度通期予測では、売上高が8兆5000億円、営業利益が7200億円となっている。この結果は過去20年来トップの実績であり、苦境を伝えられ続けたソニーの「復活」を印象づけるものだった。

↑PlayStasion 4 Pro(グレイシャー・ホワイト)
↑PlayStasion 4 Pro(グレイシャー・ホワイト)

 

そんな状況でなぜ平井氏が社長を辞めるのか? それは、ひとことで言えばいまが「良い区切り」であるからだ。ソニーの中期経営計画は3年単位で立案される。2017年度は平井ソニーにとって2度目の中期経営計画の最終年にあたり、業績の改善は、中期経営計画の達成を意味する。中期経営計画を節目とするならば、平井氏が次に辞める機会はさらに3年後となる。しかし、「ソニーの体質変化」という責務を実現したいま、経営計画も次の段階に移行する必要がある。だから、平井氏は「いま辞める」と決めたのである。平井氏はあまり自分のポジションに拘泥する人物ではない。社長交代に関する会見でも、「企業にトップが複数いてはいけない。これからのトップは吉田さん」と明確に語り、会長になるも代表権は持たず、経営トップは完全に吉田氏に移譲する考えを示した。

 

ソニーのトップになる吉田氏とは何者か?

新しくソニーのトップになる吉田憲一郎氏は、これまで平井氏の右腕としてソニーの改革を率いてきた人物であり、特に、財務体質の健全化・自己資本比率の見直しといった戦略の中核を担ってきた。以前より、「平井氏が社長を退くのであれば、後を継ぐのは吉田氏」との下馬評はあり、その人事自体に意外性はなかったと言える。吉田氏はソニーに入社以降、主に財務畑を歩いてきたが、2000年以降は「So-net」ことソニーネットワークコミュニケーションズへ出向。ネットワークサービスと新規事業開拓に手腕を振るってきた。財務面での知見とスピード感のある経営、という面ではソニー随一の人材で、平井氏も三顧の礼でソニーネットワークコミュニケーションズから本社に迎え、自らの右腕とした経緯がある。

 

そんなこともあり、吉田氏によるソニーの舵取りは、まずは平井路線の継承であり、さらなる企業体質の強化が主軸になると思われる。

 

では、そんな新しい体制となるソニーから、どんな製品が出てくるのか? 平井ソニーは過去のソニーとどう違っていて、吉田ソニーはそこからさらになにが変わるのか?

 

そのあたりのことは次回のVol.64-2以降で解説する。

 

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