デジタル
2018/3/10 8:00

【西田宗千佳連載】「PS4」「イメージセンサー」がなければソニー復活はあり得なかった

「週刊GetNavi」Vol.64-3

ソニーの業績を見ると、収益には大きな柱が3つあるのがわかる。「ゲーム」と「半導体」と「金融」だ。2017年度業績見通しでは、これら3部門が揃って、収益で1500億円を超えている。トップはゲームの1800億円、次が金融の1750億円、さらに半導体の1550億円と続く。また、音楽も1100億円の利益を生んでいる。

 

これらがソニーの柱であるため、「ソニーはもう家電の会社ではない」と言われることもあったのだが、それはちょっとうがった見方だろうと思う。ゲーム機というハードは立派にエレクトロニクスの所産だし、半導体事業のほとんどを占めるイメージセンサーは、スマートフォンやデジタルカメラといった、エレクトロニクス製品の中核パーツである。また、AV関連機器とデジタルカメラなどイメージング機器もそれぞれ、800億円・720億円の利益を生む予定で、合算すればやはり1500億円規模の利益となる。実際のところ、まさに「エレクトロニクスの復権」がソニーの復活を支えているのだ。

 

一方で、テレビやデジカメがまだ苦しい時期にソニーを支えたのが「ゲーム」と「イメージセンサー」の好調であったのは事実。イメージセンサーについては、長期的な投資に基づく高性能センサーの開発が、スマートフォンのカメラ機能の高性能化と急速な普及の時期にマッチしたことが大きかった。今も高付加価値型スマホ向けカメラはソニーの独壇場で、このことが収益に与える影響は大きい。

 

ゲームについては、いうまでもなく、PlayStation 4(PS4)が世界的にヒットしたことが挙げられる。PS4が発売された2013年当時には、「今後はスマートフォン向けゲームが主流になり、家庭用ゲーム機はもう大きなトレンドにはならない」との観測もあった。それなりに売れても、過去のような大ヒットにはならないのでは……と思われていたのだ。だが、実際に発売されると結果は真逆。スマホでは満足できないゲームファン、特に欧米の人々を中心に記録的なヒットになっている。また、今世代からネットワークサービスである「PlayStation Network」を実質有料化しており、そこからの安定的な収益もゲーム事業の拡大に寄与している。

↑PS4 Pro(グレイシャー・ホワイト)

 

とはいえ、うまくいっていない事業もある。平井一夫氏が社長就任当時、業績の一つの柱として期待されていた「モバイル」だ。今も売り上げは2700億円規模と大きいものの、利益は50億円しかない。スマートフォン向けのカメラで収益を得るソニーが、自社のスマートフォンでは収益を得られない構造であることが、今のソニーの難しさでもある。

 

次期社長の吉田憲一郎氏がどんな舵取りをするのかにも、モバイルに関連する事業は大きく関わる。次回Vol.64-4ではその点を分析してみたい。

 

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