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2018/4/27 17:00

【傑作電卓10選】54年間の電卓開発の歴史で、キヤノンがやってきた結構なチャレンジ

どれだけスマホが進化したとしても、何かを計算する際には、やっぱり電卓が一番。特に計算ミスが許されないお金の計算などでは、電卓はこれ以上にない計算機と言って良いでしょう。現在、日本国内での電卓は主にキヤノン、カシオ、シャープの3社に集約されますが、その歴史はバラバラであり、そして各社とも異なる思いが隠されています。ここではシリーズで電卓の歴史を辿ります。

 

前回に引き続き、キヤノンマーケティングジャパン・濱田真司さんに、当時カメラが主要な商品だったキヤノンの電卓参入の歴史を、うかがいます。

 

↑キヤノンマーケティングジャパン・電卓・ポインタ商品企画課の濱田真司さん。同社製電卓だけでなく、電卓カテゴリーのあらゆる歴史に詳しいお方です

 

 

198年分の曜日がわかる電卓!?

――キヤノンの長い電卓の歴史のなかでは、実験的な商品も数多く登場したようですね。

 

濱田真司さん(以下:濱田) はい。いまあったら売れるんじゃないかと思うような、結構チャレンジしている商品を出していました。1901年~2099年までの198年分の曜日を搭載したオートカレンダー付計算機。そして、ラジオを搭載した計算機。職業別の換算ができる電卓……。

 

――職業別の換算ってどんなことですか?

 

濱田 職種によって用いる単位が違う場合がありますよね。例えば大工さんなら尺や貫などを用いるので、これをメートル法にワンタッチで変換出来るように開発された電卓を出している時期がありました。

また、億、万、千の単位キーを搭載したモデル。これは現在も後継機種が販売されており、弊社の電卓のベストセラーとなっています。

 

【傑作電卓01】オートカレンダー付計算機「QC-1」

↑198年分のカレンダーと曜日がわかる電卓、「QC-1」。ボディのシルバーメタリックと合わせて、当時考えられた近未来的な印象

 

【傑作電卓02】ラジオつき電卓「RQ-1」

↑電卓とラジオと時計が合体した「RQ-1」。「衝撃のデビュー」とありますが、確かに電卓とラジオの融合は当時の市場では衝撃だったに違いありません

 

【傑作電卓03】職業別計算機「FC-4」

↑職業別計算機、「FC-4」。日本古来の尺貫法だけでなく、ヤード・ポンド法のほか、海里まで変換できます

 

【傑作電卓04】億万単位電卓「LC-40U」

↑キー配列に億、万、千を配列することで簡単に億万単位を計算できた「LC-40U」。現在もキヤノンの電卓の代表的な機能です

パソコンからマウス電卓も

――さらに電卓から派生したパソコンもあったようですね。

 

濱田 はい。弊社では一時パソコンを作っていた時期がありますが、これも電卓の技術から派生したものですね。オプションとしてタブレットが商品化されていたり、当時としては先進的だったようです。

 

――電卓そのものでも色々なチャレンジがあったのですか?

 

濱田 パソコンのキーボードの横に置くテンキーに電卓の機能を加えたものや、マウスと電卓が一体になったものも発売しました。テンキー電卓は販売店の要望を商品化したものです。マウス電卓は当時の新入社員のアイデアを採用して商品化したものですが、あまり売れなかったようですね(苦笑)。でも、お客さまはじめ、いろいろな方の声を商品化につなげるという気概はこれからも持ち続けていきたいです。

 

【傑作電卓05】テンキー電卓

↑一見、普通の電卓にも見えますが、これ実はパソコン用のテンキーボードに電卓機能を搭載させたもの

 

 

【傑作電卓06】マウス型電卓

↑普通のマウスかと思ってパカっと開けると、電卓になるというモデル。斬新なアイデアでしたが、支持は得られなかったそうです

 

 

 

日本人が使いやすい「千万単位」電卓

――斬新な開発も数多く行ってきたキヤノンの電卓商品ですが、以降、ヒットとなったり定番化した商品はどんなものですか?

 

濱田 近年、弊社の代表的電卓となっているのが千万単位機能がついた商品ですね。主に経理などビジネスで大きな金額を計算される方に重宝されています。

これは千、万などの大きな単位を一発で入力、表示できるもので、数字の後に単位ボタンを押せば簡単に大きな単位の数字が入力でき、さらにディスプレイに単位を表示して見やすくしたものです。銀行のATMでお馴染みの方式ですが、このタイプの電卓は他社さんではほとんど見かけないものです。

また、アパレルショップや飲食店などでは、抗菌仕様と清潔感あるデザインの抗菌シリーズが人気です。そして、ビジネスシーンで使いやすい機能とデザイン性を両立したビジネス電卓や、シニアの方向けに機能を絞り込んで開発したくっきりはっきり電卓など、様々なタイプの商品があります。

 

【傑作電卓07】千万単位電卓

↑キヤノンの定番電卓であり、千万単位が計算しやすいモデル「HS-1220TUG」。ATMと同じ入力方式ですが、他社にはほぼないものだそうです

 

 

【傑作電卓08】抗菌シリーズ

↑抗菌シリーズ「HS-1201T」。フラットで清潔感あるデザインです

 

 

【傑作電卓09】くっきりはっきり電卓

↑大型液晶を搭載し、数字を読みやすくしたくっきりはっきり電卓「LF-80」。電池交換しやすい単4電池を採用

 

【傑作電卓10】ビジネス電卓

↑スタイリッシュなビジネス電卓「KS-1220TU」。カラーバリエーションは4色

 

 

いまも根強く支持される電卓市場

――どれだけスマホが進化しても電卓は電卓として、絶対に必要だと思っています。やはり、大事な計算には使い慣れているものでないと不安……というのが大きいのだと思うのですが。

 

濱田 そうですね。使い手だけでなく、特に店舗での接遇やビジネスシーンなどでは電卓を使うことが、お客様の安心感や信頼につながると思いますし、そういった意味でも電卓の存在価値はなくならないと思っています。

 

――実際、現在の電卓市場はどうなっているのでしょうか?

 

濱田 電卓市場は一般的に500万台前後と言われていますが、これだけスマートフォンやパソコンが普及している状況と合わせて見ても、奮闘していると考えていますし、この先も電卓の市場が急激に縮小することはないと考えています。

 

一方で、今後電卓の機能が飛躍的に発展することは考えにくい。それよりはこれまで培ってきた経験やお客様の声を、時代のニーズに合わせて少しづつ変化させていくことで、これからもお客さまにご支持をいただける商品を提供し続けていきたいと考えています。

 

 

いつも身近にあり、親しんでいる電卓の裏側ではこんなに深い話があったとは想像できませんでした。これを知って改めて電卓を使ってみると、ちょっと感動ですよ。

 

 

撮影/我妻慶一

 

 

 

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