デジタル
2018/5/4 17:30

とうとう完成してしまった “リアルトランスフォーマー” 乗り込んで操縦&変形できる人型ロボ「J-deite RIDE」を見てきた

AIとロボットが花ざかりの2018年。SFやアニメの世界が現実に……と言われることも多いですが、これまで意外にも「トランスフォーマーっぽい」巨大変形ロボって実現できてなかったんですよね。あ、トランスフォーマーを知らない人に一応説明すると、アニメや実写映画化もされている「乗り物や動物の姿から人型ロボットに変形する」というアレです。

 

実際に人が乗り込んで変形できる巨大ロボット

 

「ロボットといえば、人が乗り込んで操縦できたり変形したりするものだ!」というクリエイターの熱い思いとともに、このたび試作機として公開されたのが「J-deite RIDE」(ジェイダイト・ライド)なる一体です。

 

「J-deite RIDE」は、二足歩行で移動可能な人型(ロボットモード)から、車輪走行で移動可能なクルマ型(ビークルモード)に変形できるという全高約4メートルのロボット。

 

↑これが…

 

↑こうなります。大人の身長の2倍以上というデカさ!

 

かつて、ホビー商品を中心にさまざまな変形ロボットが世に生み出されてきましたが……これはひと味違うスゴさがある。何がスゴイって、この大きさで、クルマとして走る・人型で歩くことが前提の変形システムがあり、かつ運転席に人が乗り込んで操縦ができること。

 

今回は、「J-deite RIDE」に人が乗り込み変形させる様子をカメラに収めることができました。

 

 

ビークルモードからロボットモードに変形させるときには、「ジャッキ・アップ!」というかけ声を入れるのがお約束だそうです。変形の最後には頭部が立ち上がり、胸部が閉じて目がピカッ!と光る。このあたりも、なんというか、“憧れの変形ロボらしさ”があってすばらしいですね。

 

自律思考するAIとかはないし、動きもまだモッサリしているけれど、「人が作りだした本物のトランスフォーマー第1号」という意味では大変なものが作られてしまった感じです。

 

↑顔がかなりアニメのヒーローロボ寄りにデザインされているのがポイント

 

↑ビークルモード

 

↑2人乗りのコックピット。乗り込んだときの右側席に、二足歩行ロボとして&自動車としての操作系があり、ここに座って歩行や走行、さらに変形の操作もできるようになっている

 

<「J-deite RIDE」のおもな仕様 (2018年4月時点)>

サイズ(W×D×H)ロボットモード時:4.2×2.5×3.7(m)、ビークルモード時:1.9×4.0×1.4(m)

車輪最高速度(ビークルモード):60km/h(理論値)

歩行速度(ロボットモード)100m/h(足上げ高さ 80mm)

本体重量:1,695kg

乗車定員:2人

操縦方法:内部コックピットからの有人操縦 または無線・有線による無人遠隔操縦

フレーム材質:アルミニウム合金など

外装材質:FRPなど

動力源:リチウム系バッテリー

関節数:49(腰 1、脚 4×2、腕 4×2、手先 8×2、頭 3、その他 13)

あの大河原邦男もデザインに協力。ガンダム…というか、“勇者”なロボ

「J-deite RIDE」プロジェクトには、自動変形ロボットの開発・製造を専門に行う株式会社BRAVE ROBOTICS、ソフトバンクグループでロボット・ソフトウエア事業を行うアスラテック株式会社、そこに加わったパートナーである三精テクノロジーズ株式会社の3社が参加しました。

 

その上で特筆すべきは、メカニックデザイナーとして、「タイムボカン」シリーズや「機動戦士ガンダム」を筆頭に、日本で愛され続けるアニメロボットを数多くデザインしてきた大河原邦男さんが参加していること。

 

↑大河原邦男氏によるデザインイメージ(ロボットモード)

 

↑同じく大河原氏によるデザインイメージ(ビークルモード)

 

大河原デザイン…ということもあり、その風貌はトランスフォーマーというよりは、大河原氏デザインによる1990年代のTVアニメ “勇者シリーズ”(「勇者エクスカイザー」、「太陽の勇者ファイバード」など)のロボに近い印象になっています。

 

↑「J-deite RIDE」のロゴ。こちらも“ロボットアニメっぽい”感じがたまらない

 

操縦・変形の次は「合体と飛行をやりたい」

「J-deite RIDE」の変形デモが行われたのは、東京近郊某所にある秘密工場。ここに集まった記者たちに対し、クリエイターたちがコンセプトや開発経緯を紹介しました。

 

↑「J-deite RIDE」の設計・開発を手がけたBRAVE ROBOTICS 代表取締役の石田賢司さん

 

↑「J-deite RIDE」の制御用ソフトウエアを手がけたアスラテック チーフロボットクリエイターの吉崎航さん

 

今回、「J-deite RIDE」試作機がお披露目になりましたが、実はこれに先がけて数年前に作られていたのが全高約1.3メートルの「J-deite Quarter」(ジェイダイト・クォーター)。このときには、トランスフォーマーのおもちゃメーカーであるタカラトミーもプロジェクトに参画していました。

 

そして、クルマ型から人型に変形するコンセプト、“勇者”感のあるデザインなどは継承しつつ、さらに人が乗り込める4メートルものサイズに進化させたのが「J-deite RIDE」というわけです。プロジェクトの中心人物であるBRAVE ROBOTICS 石田さんの作りたいモノ、コンセプトのブレなさはまさに称賛に値するレベル。

 

またBRAVE ROBOTICSでは、「ロボットといえば人が乗って変形・合体・飛行をするもの。自動車から人型への変形を土台に、今後は合体と飛行を模索します」とさらなる目標も掲げており、彼らの夢とロマンはとどまることを知りません。

 

 

 

 

アミューズメントパークでの事業化に向け開発が進行中!

ロボ好きの夢とロマンの塊である「J-deite RIDE」。しかし当面はもちろん一般ユーザーの手に渡るようなシロモノではないので、このコンセプトをどう実用化するのかについても語られました。

 

プロジェクトに参加しているもうひとつの企業・三精テクノロジーズは、遊園地の乗り物、劇場などの動く舞台などを手がけている会社。同社では「J-deite RIDE」の開発で培ったロボット変形テクノロジーを活用し、「今後はアミューズメントパーク向けに変形ロボット型遊戯機械の事業化に向けた開発を進めていく」という構想を明らかにしています。

 

↑三精テクノロジーズ 代表取締役副社長の大志万公博さん

 

↑アミューズメントパーク向けの量産展開イメージ(変形するゴーカート)

 

↑アミューズメントパーク向けの量産展開イメージ(パレードでの変形デモンストレーション)

 

「J-deite RIDE」は、ツインリンクもてぎ(栃木県茂木町)で現在開催中のイベント「ゴールデンウィーク ドキドキフェスタ ~働くクルマ大集合~」にて、5月5日(土・祝)に世界初の一般公開を予定(デモンストレーションは11:00~/13:00~の2回)。ひと目見てみたい!という方はぜひこの機会をチェックしてみてください。