デジタル
2018/5/4 8:00

【西田宗千佳連載】ハイエンドAVでファンを掴んだ「OPPO」、突然の撤退

「週刊GetNavi」Vol.66-2

4月はじめ、OPPOが、AV機器の開発と製造から撤退すると発表したことは、コアなAVファンをひどく驚かせた。だが一方で、コアなAVファンでない人々には、「スマホメーカーのOPPOがAV機器を作っていたの?!」という驚きがあるのではないだろうか。まあそもそも、OPPOが日本のスマホ市場に参入してからでさえ、さほど時間が経っておらず、スマホメーカーとしてもまだ「知る人ぞ知る」レベル。そんなメーカーがAV機器から撤退……といわれても、まったくピンと来ないかも知れない。

 

ともあれ、ことハイエンドなAVの世界でいえば、OPPOが一時代を築いた特異なメーカーであったのは事実なのだ。

 

OPPOの創業は2003年。元々は中国の大手電子機器メーカーである歩歩高電子工業(BBK)の子会社として登場した。当時は中国市場向けの携帯電話とデジタルAV機器を手がけていたが、ブレイクしたのは2005年にアメリカでAV機器専門メーカーである「OPPO Digital」を創業した後である。特に評価を高めたのは、2010年代に入って、Blu-rayディスクプレイヤーやAVアンプなどを製造するようになってからだ。

↑「UDP-205」

 

多くの人は、「ディスクプレイヤーとは、ソニーやパナソニックなどの大手メーカーが売っているもの」というイメージを持っているのではないだろうか。実際、全体でのシェアでいえば、それらの企業が圧倒的に多く、OPPOの販売数は微々たるものだ。しかしこれが、数十万円のプロジェクターを買ったり、ホームシアターを構築したりするような「ハイエンドAVファン向け」ということになると話は別になる。

 

一般の人にとってはあまり気にならないが、ホームシアターを作り込んで楽しむAVファンには気になる……という要素は多数ある。微細な音質・画質もあるが、設定項目の細かさや端子配置の使いやすさなどがその代表だ。大手メーカーはどうしても「マス」を相手にするビジネスが中心で、AVファン向けの要素が弱くなる傾向にある。特に2010年代は、大手家電メーカーが財務的に弱っていた時期にあたり、単価は高いが数が出ないハイエンド向けより、数多く売れて販売効率に優れるモデルに注力していた。

 

そこでOPPOは、ハイエンドファンにターゲットを絞り、彼らの支持を得られる製品を作ることで業績を上げてきた。特に支持されたのは、ソフトウエアアップデートによる機能改善のスピードだ。品質の良いものが、自分たちのニーズに合う形で進化していくのだから、人気が出るのも頷ける。結果的に、事業撤退直前には、日本のハイエンドプレイヤーでシェア1位になった、とOPPO Digitalは主張している。

 

では、どうやって彼らはトップを取るに至ったのか? そして、それがなぜ急に事業撤退となってしまったのか? 実は、これらの理由は同じ事情に基づいている。その事情がなにかは、次回のVol.66-3で解説しよう。

 

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