デジタル
2018/7/7 10:00

【西田宗千佳連載】スマホのカメラ機能はなぜ「AI」とセットで語られるのか

「週刊GetNavi」Vol.68-3

筆者は先日、ファーウェイの「P20 Pro」を購入した。カメラの画質に定評があり、非常に挑戦的な製品になっているので、じっくり使わねばならないと思ったからだ。

↑ファーウェイ「P20 Pro」

 

というわけで日々使っているが、確かにこの機種はすごい。シャッターを切ると、驚くほど印象的な写真が撮れる。特に少し暗いシーン、彩りが豊かなシーンでの画質に優れており、満足度も高い。

 

では、P20 Proが高画質な写真を作れる背後にはなにがあるのか? 使ってみると、秘密はすぐわかる。撮影しようとすると、どんなシーンを撮ろうとしているのか、細かく判別しているのだ。ラーメンを撮影しようとすれば「フード」、夕方のビル街なら「日の出/日の入り」、植え込みなら「花」、街角の猫なら「猫」といったように、細かく撮影モードが自動で変更される。こうしたシーンの判別には画像認識技術が使われている。宣伝などで「AI」と言われているのはこの機能だ。

 

なぜ画像認識によるシーン判別が行われているかというと、シーンに合わせて画像処理のパラメータを変えるためだ。デジカメでは、シーンに合わせてシャッタスピードや絞りといったカメラ側のパラメータを変更するだけでなく、同時に画像処理のパラメータも変えたほうが良い結果が得られる。デジカメが非常に多くのシーンモードを備えているのはそのためだ。だが、それらの選択をいちいち人間が行うのは面倒なので、「自動化」するのが基本となっており、オートモードが進化してきた。デジカメで使われているこうしたオートモードとP20 ProのAI処理は、要は同じ考え方に基づいたものなのだ。

 

ただ、これは筆者の推測も含まれるが、P20 Proが調節しているパラメータは、一般的なデジカメよりもずっと多いだろう。スマートフォンはレンズもセンサーも小さい。P20 Proは輝度・彩度で別のセンサーを使っており、両方の情報を合わせて初めて写真になる。だから、より細かく画像調整を加えたほうが画質が上がりやすい。髪の毛の精細さの再現や光沢部分の「白飛び」の防止などは、そうした繊細なパラメータ調整が利いている。一方で、「見栄えの良い写真」にしようとする傾向が強いためか、青空はとにかく澄み切った青になり、夕焼けはとにかくビビッドカラーになる。P20 Proのこうした「派手さ」が好みではない場合、ある程度自分で設定を調整するようにしたほうがいいだろう。

 

どちらしろ、こうした処理には相応の負荷がかかる。ファーウェイは自社のスマホ用CPUにAI処理を軽減する機能を組み込んでおり、それを生かしているのだと推定できる。

 

カメラの画質向上・処理負荷軽減のために専用のハードウエアを使うのは、ハイエンドスマホの定番となっている。iPhoneのプロセッサーにもAI処理を軽減する機構があるし、夏に発売を予定しているソニーモバイルの新フラッグシップ「Xperia XZ2 Premium」も、デュアルカメラの搭載に合わせ、処理をするためのプロセッサーである「AUBE」が搭載されている。残念ながら、Xperia XZ2 Premiumは発売がまだ先で、画質評価をできるタイミングにないが、相応に高い画質になることは間違いないだろう。

 

では、各社のカメラ機能の「違い」「テイスト」はどのような形になっているのか? そこは次回のVol.68-4で触れることにしたい。

 

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