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2018/9/25 22:39

【2018年版】Xperia XZ2シリーズ、XZ2とCompactとPremiumは何が違う? 比べてわかった3モデルの「ディスプレイ&スピーカー」の意外な差

ソニーの2018年主力スマートフォン「Xperia XZ2 Premium」「Xperia XZ2」「Xperia XZ2 Compact」が発売されました。今回は各製品の「ディスプレイ」と「サウンド」の機能をチェックしていきたいと思います。

 

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↑シリーズ3機種の画質・音質をチェックしてみた。最上位モデルのXZ2 Premiumは4K/HDR動画が「撮れる・見られる」

 

3モデルすべてにHDR対応ディスプレイを搭載

3機種とも前機種である「Xperia XZ Premium」「Xperia XZ1」「Xperia XZ1 Compact」に比べてディスプレイサイズが大きくなっています。XZ2 Premiumは現時点で発売されているスマホの中でも唯一となる4K/HDR対応のディスプレイを搭載。モバイル向けの4K/HDRコンテンツ配信はまだ多くはありませんが、XZ2 Premiumなら4K/HDR動画を端末単体で「撮って・見る」ことができます。コンテンツ不足はある程度解消されたと言えるのではないでしょうか。

 

↑動画再生時の高画質処理をオンにすると、SDRの映像が自動的にHDRライクにアップコンバートされて、より高精細な映像が楽しめます

 

XZ2は画面のアスペクト比が18対9の縦長ディスプレイ。XZ1と比べてディスプレイ面積が約13%拡大していながら、端末の横幅サイズは1mm狭くなっています。FHD+(2160×1080画素)/HDR対応の独自高画質化技術「X-Reality for mobile」や「トリルミナスディスプレイ for mobile」を搭載することで、高品位な映像再生を実現。

 

↑約5.8インチのスクリーン、本体横幅約80mmのXperia XZ2 Premiumはさすがに片手持ちでの操作に持て余すことも。ソフトウェアキーボードを表示してから文字エリアを左右にスワイプすると、画面エリアが小さくなる「片手モード」が使いこなせるようになると便利です

 

XZ2 CompactはXperiaのコンパクト機としては初めて720HD画質を超えるFHD+/HDR対応を実現しました。サイズも約4.6インチから約5.0インチに大きくなっています。画面のアスペクト比を18対9としたことで手に心地よく馴染むハンドリング感が特長。

 

 

静止画表示を見比べてみる

3つの端末を並べて、別途デジタルカメラで撮った静止画を表示、比較してみます。画質は端末の画面設定から「色域とコントラスト」の項目を「スタンダードモード」に統一して、「ホワイトバランス」はデフォルト設定のまま比較を行っています。

 

↑最近のXperiaシリーズは3つの映像モードを搭載しています。今回は「スタンダードモード」にして、「ホワイトバランス」はデフォルトのままで画質を比較

 

↑上からXperia XZ2 Compact、Xperia XZ2、Xperia XZ2 Premium。どのモデルもただ高精細なHDR対応のパネルを積んだというだけでなく、豊かな情報量と自然な色合いにファインチューニングされているところはさすがシリーズ最新モデル

 

4K/HDR対応のXZ2 Premiumは陰影の繊細な再現力に長けていることがわかります。特に明部の情報量が豊富で、青空に浮かぶ雲の模様や形が正確に描けています。吸い込まれるような奥行き感とリアリティはさすがフラグシップモデル。色合いも全体にナチュラルなバランスなので、木の葉の緑色にも妙な強調感はありません。XZ2 Compactはディスプレイの画素数がXZ2 Premiumよりも低くなりますが、丁寧なディテール表現、ナチュラルな色再現など映像チューニングの傾向はXZ2 Premiumにとても近く感じました。

 

2つのモデルに比べると、XZ2はやや明暗のコントラスト感が強くメリハリが効いています。前機種のXZ1と並べて比較してみると、人物の肌色のトーンはやや濃厚な色合いで、輪郭もXZ1に比べて力強い線に感じました。

 

↑上がXZ1、下がXZ2。XZ2はコントラスト感がやや強めでメリハリの効いた画質にチューニングされているように感じました

 

3つのモデルが共通して搭載する、SDR映像をHDRライクな映像に高画質化するアップコンバージョン機能は、デフォルトで設定オンになっています。ディスプレイの設定メニューから、「動画再生時の高画質処理」をオフにもできますが、基本的にはYouTubeなどに公開されているようなSDR画質の動画なども輪郭にキレ味が加わるので、オンにしたままの方がメリットは大きいです。

 

XZ2 Premiumは家庭用の大画面テレビで普及しつつある4K/HDRを、モバイル環境でも先取りしながら楽しめる先進的なスマホです。ただそのインパクトは5~6インチ前後のディスプレイでは、やや薄いようにも思います。スマホの大画面化競争が一段落して、今はスリム化や全画面化にシフトしつつあります。しばらくは各社上位モデルでは、FHD+前後の解像度でHDR対応ディスプレイが主流になりそうなことを考えると、モバイル向けの4Kコンテンツが一気に増えることはあまり考えにくいかもしれません。

 

一方でHDRについてはiPhoneも対応しており、今後も各社ハイミドルクラスの端末が搭載してくると予想されるので、ぜひ今後スマホを買い換える際にはHDR対応を意識しておきたいところです。HDR対応のコンテンツは配信系を中心に増えていますが、HDRライクな映像へのアップコンバート機能があると、HDR以外のコンテンツも楽しめるのでお得のように思います。

 

あえてXZ2シリーズの中で、ディスプレイの画質や操作感、コスパを含めてトータルでお買い得なモデルを選ぶとしたら、筆者はXperia XZ2を選びます。

 

スマホが「振動する」迫力のサウンド機能を追加

音まわりの機能についてはXZ2 PremiumとXZ2に新設された「ダイナミックバイブレーションシステム」の機能から紹介しましょう。

 

↑音量キーをクリックすると、ボリュームスライダーの下にダイナミックバイブレーションのレベル調整が現れます。アプリごとに設定を決められるのが特徴

 

本体に内蔵した大型バイブレーションアクチュエーター(振動デバイス)を、着信の通知だけでなくエンタメにも活用した機能です。映画や音楽を内蔵スピーカーで再生している時に、出力される音の振動パターンを解析しながらバイブレーションを発生させます。

 

この機能は、映画や音楽を再生するメディアプレイヤーアプリを中心に有効化され、NetflixやAmazonプライム・ビデオなどサードパーティーのアプリでも使えます。イヤホン再生時には無効になります。

 

バイブレーションの強弱は3段階で調整ができます。「強」に設定するとかなりハッキリと震えます。音量キーを押すと、その直下に表示されるメニューで強さが変えられるほか、設定アプリの音設定でオン・オフ切り替えが可能。音楽再生時にはボーカルが多少声を張り上げると震えたりしますが、やはり効果的に感じるシーンはアクション映画などを観る時でしょうか。

 

↑ダイナミックバイブレーションのオン・オフは音設定から切り替えます

 

XZ2シリーズはそれぞれの前機種からデザインが大きく変更されていますが、筐体内部の設計も見直しを図っています。その結果、XZ2とXZ2 Compactは前のモデルから約20%、XZ2 PremiumはXZ Premiumよりも約30%も最大音量の向上を実現。

 

独自の立体音響技術「S-Force Front Surround」も搭載しているので、内蔵スピーカーだけでも力強く広がりの豊かなサウンドが楽しめます。特にXperiaシリーズは左右の音量がバランス良く揃っていることが大きな魅力。映画などの人物の発声がセンター位置に定位して、とても聴きやすいのです。効果音やサウンドトラックとの分離も鮮明なので、映画やドラマのストーリーに入り込みやすい。XZ2 Compactも十分にパワフルで明瞭なサウンドで、内蔵スピーカーの音質に関しては他の追随を許さない優秀なコンパクト機です。

 

↑本体のフロント側にスピーカーを内蔵。開口部のサイズが違うのに、左右の音の聴こえ方のバランスが均等になるよう巧みに調整されている

 

イヤホンのUSB接続一本化にはやはり対策が必要

シリーズで初めて、アナログイヤホンジャックを取り払ったXZ2シリーズ。イヤホンによるリスニングもUSB Type-Cによるデジタル接続に一本化されてしまいました。今まで使っていた有線接続のイヤホンはスマホのパッケージに同梱されるUSB/3.5mmアナログイヤホンジャックの変換アダプターを使えば従来通り使えるのですが、アダプターを持ち歩く手間や紛失してしまうリスクを考えるとBluetoothイヤホン・ヘッドホンに乗り換えてしまいたくなります。

 

↑XZ2シリーズからイヤホンリスニングも、USBデジタル接続に一本化

 

ただ、Bluetoothペアリングの手間やバッテリー切れのケアに翻弄されることの方がストレスに感じるという方は、シュアのUSB Type-C直結のリケーブル「RMCE-USB」などのアクセサリーを活用する方法もありです。

 

↑シュアのUSB Type-C対応デジタル接続用リケーブル「RMCE-USB」。ハイレゾ対応のDACとアンプを積んでいるので、Xperiaに付属する変換アダプターよりも力強く立体的なサウンドが楽しめる

 

↑本体のパッケージにUSB/3.5mmアナログイヤホンジャックの変換アダプターが付属

 

USB接続になったことで、XZ1まで搭載されてきた特定のソニー製イヤホンと組み合わせて使う、ノイズキャンセリング機能が使えなくなりました。ただ、今ではノイズキャンセリング対応のイヤホンやヘッドホンが、色んなブランドから発売されているので、無くなったことで特に痛みを感じるほどではないと思います。

 

↑左がXZ1の本体トップ。右がXZ2。イヤホンジャックの代わりにSIMカードスロットがあります

 

むしろ筆者のようにハイレゾの楽曲を入れたmicroSDカードをXperiaに頻繁に抜き差しするユーザーにとっては、XZ2シリーズでまたSIMカードとSDカードのトレイが一体化してしまったことが残念でなりません。SDカードを外す際に毎度本体を再起動する手間が発生するうえ、SIMカードに傷が付いて接触不良が起きる可能性もあるからです。

 

↑上のXZ1はSIMカードスロットを開けてもSDカードのトレイとSIMカードのトレイが別々だったので、再起動の手間がなくSIMカードを傷つける心配がなかった。しかし、XZ2シリーズはまた元の一体型トレイに戻ってしまった

 

イヤホン・ヘッドホンによるポータブルリスニングについては、本音を言うとアナログイヤホンジャックも使えるXZ1/XZ Premiumの方が何かと便利で快適だったようにも思います。でも一方でスマホで動画コンテンツを楽しむユーザーが増えつつあるいま、内蔵スピーカーを強化したり、バイブレーション機能を追加したソニーモバイルの判断も正当性があると思います。最新XZ2シリーズの魅力は、ディスプレイとサウンドの進化を合わせながら旧モデルと比べたときにいっそう際立ってくるのではないでしょうか。