デジタル
2018/12/24 10:00

【2018年年末版】「プロジェクター」か「VR」か? 気軽な映像体験を実現する4機種をプロが辛口評価

面倒な機器の設置はナシに大画面で動画を楽しみたい。そんなときに選ぶべきは、コンパクトなモバイルプロジェクターと、かぶるだけで使えるスタンドアローンVRのどちらでしょうか。専門家が画質や使い勝手など、気になる部分を実際に試して検証し、A/B/Cの3段階で評価しました。

 

【テストした人】

テクニカルライター 湯浅顕人さん

AV機器やPC関連に精通。画質や音質だけでなく、操作感や使い勝手の細かいところまでチェックしました。

 

スマホやタブレットでは物足りない場合の選択肢

定額動画サービスが普及したことで、気軽に動画コンテンツを楽しみたいというニーズが高まっています。こうしたサービスは、スマホやタブレット、パソコンなどで視聴するケースが多いでしょう。しかし、画面サイズに物足りなさを感じる人もいるはず。大画面テレビがあれば、内蔵のAndroid TVを利用したり、セットトップボックスを接続したりすることでコンテンツを楽しむことも可能ですが、テレビの買い替えには大きなコストが必要になります。

 

そこで選択肢として浮かんでくるのが、壁面に大きな映像を投影できるモバイルプロジェクターと、簡単にVR映像を楽しむことができるスタンドアローンVRです。ビジネスシーンで使われるプロジェクターは比較的サイズの大きなものが多く、自宅で利用するには設置場所などの面から少々不便。今回ピックアップしたモバイルプロジェクターは、バッテリーを内蔵しつつ非常にコンパクトで、室内の好きな場所に設置して使いやすい仕様となっています。

 

また、スタンドアローンVRは、PCやゲーム機との接続が不要で、本体をかぶるだけで使える点が魅力。増えつつあるVR映像やゲームを楽しむこともできます。

 

【テスト概要】

1.画質

プロジェクターは壁面に投影。VRはコンテンツを再生し、精細さや明るさを確認。プロジェクターは投影サイズによる画質の違いも、VRは残像や辺縁部の歪みもチェックしました。

2.音&臨場感

動画再生時の音質やボリューム、音の広がり方に加え、ヘッドホンなどの機器との接続のしやすさをチェック。VRについては、動きの滑らかさや視覚的な臨場感も確認しました。

3.使い勝手

プレーヤーなどの外部機器との接続のしやすさや、リモコンやコントローラー、アプリの操作しやすさといった、使いやすさ全般を確認。使い方のわかりやすさもチェックしました。

4.携帯性

屋外や別の場所に持ち運んで使う場合を想定し、サイズや重さの面から見た携帯性をチェック。各製品のテスト写真では、参考としてiPhone Xと並べてサイズを比較しています。

 

バッテリー内蔵で大画面映像をどこでも楽しめるモバイルプロジェクター編>

【その1】Android搭載で配信動画もすぐ見られる!

Anker

Anker Nebula Capsule Pro

4万4800円

350㎖缶サイズの小型プロジェクター。HDMIケーブルで外部機器と接続して使用できるほか、スマホなどの映像を投影するスクリーンキャストにも対応。Androidを搭載し、スマホとの接続なしでYouTubeやNetflixなどを利用することも可能です。

SPEC●OS:Android7.1●解像度:854×480ドット●バッテリー駆動時間:最大4時間●質量:約470g●RAM/ROM:2GB/16GB●充電時間:約2.5時間●最大輝度:150ANSI lm●投影サイズ:20〜100インチ●投写距離:0.58〜3.08m●ランプ寿命:約30000時間●サイズ:直径約68×H120㎜

 

【画質:A】

暗い部屋なら100インチでも鮮明

色が濃く、明るい。部屋を真っ暗にすれば、100インチでもクッキリ投映できます。明るい部屋での使用は厳しいです。

 

【音&臨場感:B】

内蔵スピーカーで大音量を楽しめる

内蔵スピーカーがあるため、本体だけで音声も聴くことができます。音質はそれなりですが、大音量で楽しめました。

 

【使い勝手:A】

快適な操作感のリモコンアプリが便利

専用アプリ「Capsule Control」を用意。マウスを操作する感覚で投影時もメニューの選択ができて快適です。

 

【携帯性:A】

飲料缶サイズで持ち運びも簡単

350㎖缶程度の大きさが◎。付属のソフトバッグのほか、市販の缶飲料用保温ケースを使うこともできます。

 

【その2】シンプルな操作で使える350g軽量モデル

エイサー

C200

実売価格2万6130円

文庫本サイズで350gのコンパクトなプロジェクター。外部機器との接続にはHDMIケーブルを使用します。変換ケーブルを用意すればスマホなどのモバイル機器からの投影も可能。内蔵バッテリーはスマホの充電などに使うこともできます。

SPEC●OS:なし●解像度:854×480ドット●バッテリー駆動時間:3~4.5時間●質量:350g●最大輝度:200ANSI lm●投影サイズ:25〜100インチ●投写距離:0.6〜2.4m●ランプ寿命:約20000時間(標準モード使用)●サイズ:W110×H30×D120㎜

 

【画質:B】

色はやや淡いものの100インチでも楽しめる

色はやや淡め。暗めの照明がついた部屋でも十分使用できますが100インチでの投影時は少し暗さを感じました。

 

【音&臨場感:C】

ヘッドホンやスピーカーは別に接続が必要

スピーカーは内蔵されておらず、背面の端子にスピーカーなどを接続して使用。長めのケーブルが必要になります。

 

【使い勝手:B】

接続は手間だがボタン配置などは明快

ケーブル接続の手間はありますが、ボタン配置はわかりやすいです。三脚(※)の取り付けも可能で設置性は○。※:三脚は付属しません

 

【携帯性:A】

文庫本サイズのコンパクトな本体

厚めの文庫本程度で、上着のポケットにも入るほど小型。長時間利用時は電源アダプターの持ち運びも必要です。

<PCやゲーム機との接続なしでVRを気軽に楽しめる>

スタンドアローンVR

【その3】6軸の動きに対応する「6DoF」でVR空間を堪能できる

レノボ

Lenovo Mirage Solo with Daydream

5万30円

空間内の動きを把握する新技術「WorldSense」を採用。これにより自由度の高い動きに対応する「6DoF」のサポートを実現しました。Googleのプラットフォーム「Daydream」は、250以上のコンテンツを楽しめます。

SPEC●OS:Daydream2.0●解像度:2560×1440●バッテリー駆動時間:約3時間●質量:645g●トラッキング:6DoF●プロセッサー: APQ8098●メモリ:4GB●ストレージ:64GB●インターフェイス:USB Type-C●サイズ:W204.01×H179.86×D269.5㎜

 

【画質:A】

動きの速い映像も快適に視聴できる

高解像度ディスプレイは隅々まで明るく、歪みのないクッキリとした映像。動きの激しい映像でも残像はありません。

 

【音&臨場感】

多方面の動きに対応しリアルな映像を楽しめる

本体にヘッドホンを接続して使用。顔の向きや、前後・左右上下の動きにも対応するため、リアリティは◎。

 

【使い勝手】

コントローラーは少々慣れが必要

コントローラーはポインターの動きがブレがちで、操作にコツがいります。操作に対するレスポンス自体は速かったです。

 

【携帯性:C】

重さは気にならないがサイズの大きさが△

頭を固定するバンドがプラスチックなので折りたためず、持ち運びにくいです。ただし重さ自体は気になりませんでした。

 

【その4】軽量バンド&スピーカー内蔵の手軽なヘッドセット

Oculus

Oculus Go

2万3800円(32GB)〜

視野角が広く、透明度の高いレンズでクリアな映像を楽しめます。本体は通気性に優れた素材で、長時間でも快適に使用可能。タッチセンサーを搭載するコントローラーおよび眼鏡スペーサーが付属します。

SPEC●OS:Android●解像度:2560×1440●バッテリー駆動時間:約1.5~2時間●質量:468g●トラッキング3DoF●プロセッサー: Snapdragon 821●ストレージ:32GB/64GB●インターフェイス:MicroUSB ●サイズ:W190×H105×D115㎜

 

【画質:A】

明るくクッキリした映像を見られる

輪郭がクッキリ。画面は明るく、色合いも濃い。プロジェクターのように、辺縁部の映像が暗くなることもありません。

 

【音&臨場感:A】

スピーカー内蔵でリアルな音を体感できる

内蔵スピーカーの音質がよく、まさに現場で聴いているようなリアルさ。VR映像は頭の向きと同期してくれます。

 

【使い勝手:A】

アプリの追加などはスマホからも可能

コントローラーは意図した場所を確実に指せました。アプリの検索やインストールをスマホからできるのも便利。

 

【携帯性:B】

バンドが柔らかい素材でかさばらない点が◎

小さくはありませんが、スピーカー内蔵なので本体とコントローラーだけ持ち運べば済みます。バンドがゴム製で収納しやすいです。

 

【結論!】

2Dの映像を楽しむならプロジェクターが快適

モバイルプロジェクター陣営はいずれも携帯性が高く、画質も映画などを手軽に楽しむ目的なら十分な結果。一方のVR機器での視聴は、個人差はあるが30分ほどで疲労してしまいます。長時間の視聴ならプロジェクターが快適でしょう。

【イチオシはコレ!】

Anker

Nebula Capsule Pro

色が濃く、100インチでもクッキリ見える精細性もあり、大画面を高画質で楽しめました。スピーカーの内蔵や、スマホやPCの画面をワイヤレスで投映可能な点など、機能的にも魅力大。今後の対応動画サービス増加にも期待したいです。

 

【VRコンテンツを堪能したいならコレもアリ!】

Oculus

Oculus Go

VR対応の動画やゲームを楽しむならコレ。比較的低価格で本体も軽め、さらに臨場感も高いです。スピーカー内蔵なので使うたびにイヤホンを接続する手間がない点も便利。無料のVRコンテンツも増えているので、買ってすぐに楽しめます。