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2019/5/13 20:00

“ギガ”が減らない! 音楽や動画が楽しめる格安SIMの「カウントフリー」がアツい!【ナックルの挑戦状】

毎月の利用料金が安いことで人気の格安SIMですが、ここ最近は毎月のプランに応じた転送量を消費しない「カウントフリー」サービスを各社が独自に展開しています。もし、日常的に音楽やSNSに偏ったスマホの使い方をしているのであれば、このカウントフリー次第では、かなりお得になることは間違いありません。というわけで、今回は主要MVNOの各社カウントフリーについて迫ってみたいと思います。

 

カウントフリーってナニ?

ここでいうカウントフリーとは、文字通り「カウントされない」ということ。つまり、いくら通信しても通信量としてカウントされない、イコール「ギガが減らない」ということで、安心してジャンジャンバリバリと通信してもOKです。ただし、ギガが減らないのは、対象のサービスを指定の使い方で使用した場合のみなので、何をしてもいいというワケではありません。

 

例えば、Aという音楽配信サービスをいくら利用してもギガは減りませんが、Bは対象外なので聴いているだけでドンドンとギガが減っていくことになります。また、対象の音楽配信サービスであっても、専用アプリを使った場合のみ有効で、ブラウザやデザリング経由はカウントフリーにならないなど、条件が設定されていることもあるため注意が必要です。

 

また、格安SIMのプランやオプションサービス料金とは別に、音楽配信などの対象サービスの独自料金は別途発生します。例えば、Apple Musicであれば格安SIM会社への支払いとは別に、Apple Musicへの支払いが月額980円かかることになります。

 

カウントフリー狙いでの格安SIMの選び方

カウントフリーサービスは大きく、音楽系、動画系、SNS系、その他系に分けられます。それぞれに特化したサービスや重複した「合わせ技」を特徴としているモノまで様々。最も重要なのは、自分がよく使うサービスがカウントフリーの対象となっているかどうかと、利用料金がコスパ的に妥当かどうかを検討することです。

 

また、カウントフリーの対象となるサービスは、加えられたり廃止されたりと、頻繁に行われるので、余程のことがない限り、通話プランのメイン回線をカウントフリーの内容次第で変更するのはオススメできません。筆者的には、あくまでも音楽を聴くため、インスタに投稿しまくるため、といった具合で、目的に特化してSIMを選ぶのが最適解だと考えています。

 

カウントフリーサービスを展開しているMVNO主要6社の比較

では、代表的なカウントフリーサービスを展開してるMVNO主要6社の比較表をご覧頂きましょう。ごちゃごちゃしている様に見えますが、基本プラン料金+カウントフリー料金というのが月額料金となります。なかには、OCNのようにカウントフリーは無料だったり、当初から基本プランにカウントフリー料金が含まれている場合もあります。

【料金体系】

 

【カウントフリー対応リスト】

 

音楽配信系ならこの2サービス

表を見て頂ければお解り頂けるとおり、メジャーどころの音楽配信サービスを網羅しているのは「OCNモバイルONE」と「BIGLOBEモバイル」の2サービス。網羅しているサービス数は同等ですが、BIGLOBEモバイルにはOCNモバイルONEでサポートされない「Apple Music」と「radiko」がカウントフリーの対象になっています。特に「Apple Music」はユーザーも多く、人気も高いため両社の選択のポイントとなることは間違いないでしょう。

↑OCNモバイルONE

 

↑BIGLOBEモバイル

 

その他、BIGLOBEモバイルにはYouTubeやAbema TVなどの動画系サービスもカウントフリー対象内。オマケにFacebook Messengerも付属するので、普段使用しているサービスがピタリと一致している人には使い勝手が良いかも。ただし、この「エンタメフリー・オプション」というカウントフリーサービスを契約するには、月額980円かかるので、無料で利用できるOCNとの選択は月額料金も考慮した方が良さそうです。

 

もう1つ、注意して欲しいのは、多才な対象サービスを誇るBIGLOBEモバイルですが、サービスの公式アプリを使用せず、ブラウザなどを経由したり、テザリングを使用したり、コンテンツをアップロードするなどの行為はカウントフリーの対象外になるなど、細かく規約が決められていること。契約を検討している人は、契約前に自分が行おうとしているシチュエーションをサポートに問い合わせて確認するのがベストです。

 

動画系ならBIGLOBE一択

動画の配信サービスが対象になっているカウントフリーは少ないのですが、唯一BIGLOBEモバイルが「YouTube」「Abema TV」「U-NEXT」「YouTube Kids」をラインアップしています。特にYouTubeのヘビーユーザーは候補に挙げる価値はあると思います。その他、DIT SIMもYouTubeが対象になっていますが、その他は非対象ですし、毎月の最小転送量が7GBなのでメインの通信&通話用SIMとして使うならばアリといったところでしょうか。

 

人によっては強力すぎるSNS特化型の対象サービス

SNS系は「DMM Moblie」と「LINE Mobile」が対象サービスが充実しており、基本的には2強といってよいでしょう。「Facebook」「LINE」「Twitter」「Instagaram」と、日本だけではなく世界でもトップシェアを獲得しているサービスばかりが、対象となっています。特に、FacebookやInstagramは、画像や動画の投稿でギガを使いがちなので、カウントフリーとなると、映え投稿に心強い味方になることは間違いないでしょう。

↑DMM mobile

 

↑LINE MOBILE

 

また、この2つのSIMは、料金の安価さにも定評があります。DMM MobileはSNSがカウントフリーになる他に1GBの転送量がついて月額730円から、LINE MobileはLINEだけしか使わない連絡用でよければ月額500円。仮に上記のSNSを全てやる人でも月額1100円で運用可能という破格さは、コミュニケーションを重視するリア充の人にとっては神サービスでしかありません。

 

ただし、注意して欲しいのはFacebook Messengerは対象外なので、ビデオトークしていると当然ギガが減っていきますし、Twitterのタイムライン動画は、Twitter上に投稿されたものであればセーフですが、Youtubeへのリンクから再生されたものは対象外なので注意が必要です。

 

また、LINEは「MUSIC+」というワンランク上のサービスに申し込むことによって、上記のSNSサービス以外に「LINE MUSIC+」もカウントフリーの対象になり、LINE MUSICの月額料金も優遇されるようなので、一考の価値はあります。

 

他にはない「就職」や「転職」に特化した対象サービス

最後にその他系。まずは「DIT SIM」には「YouTube」と「Twitter」に加えて、「マイナビサイト」がカウントフリーになるサービスがオプションとして選択可能。音声通話プラン、データ専用プラン、ルーターセットプランが用意されていますが、転送量はすべて7GB固定ですので、基本的には就職や転職でマイナビのサイトを活用しまくる学生やビジネスパーソンのメインSIMという位置づけになると思います。

↑DTI SIM

 

ゲームとSNSの通信が90%以上カウントフリーという不思議なパターン

最後は、他とは明らかに毛色が違うゲームとの連携に特化した「Links Mate」というMVNOです。主な特徴は、対象のゲームやコンテンツ、SNSの通信量の90%以上がカウントフリーになるということ。完全カウントフリーにならないというところがユルくて、このサービスの面白いところでもありますね。カウントフリーがパーセンテージなので、基本プランの転送量が多いほど、カウントフリーになる転送量も多くなるところが秘訣です。SIMには音声通話かSMSが必須となり、最安で1GBが月額500円から。この場合、対象のサービスに接続した場合、約900MBがカウントフリーになるということ。プランは1GBから30GBまでラインナップされており、すべてSMS付き。月額600円で音声付きプランも選択可能です。

↑Links Mate

 

また、「ゲーム特典」というサービスも用意されており、対象のゲームと連携して、特別なアイテム屋キャラクターがゲーム内でもらえてしまうとのこと。詳細は公式サイト内で確認してほしいのですが、かなり人気のタイトルもラインナップされているため、そのゲームにハマっている人はオススメですね。

 

筆者はカウントフリーをこう使っている!

筆者は、カウントフリーとは無関係に通話用にはドコモ回線、そしてノマドの通信専用にOCNを運用しています。OCNモバイルONEは、MVNOの中では速度も品質も安定していて、さすが屈指のユーザー数を誇るだけあり長年愛用しています。通常はスマホ、タブレット、モバイルルーターにそれぞれSIMを挿して使用しており、10GBプランもあればノマド作業は十分なのですが、長期出張や入院生活を余儀なくされると、30GBでもちと心許ないところ。

 

そんなOCNが昨年、「MUSICカウントフリー」なるサービスを正式にスタートさせました。それも無料で。もともとOCNユーザーなら飛びつかない理由もないサービス内容で、普段あまり音楽を聴かない筆者も早速サービスを利用開始してみることに。Amazon MusicとSpotifyを課金し、さらにはメイン回線であるドコモと区別するためにHUAWEIの格安スマホを音楽専用端末として、MUSICカウントフリー三昧を満喫していました。

 

ギガを気にせず音楽がどこでも聴き放題。「ローカルで楽曲ファイルを持ち歩けばSIMとかサービスとか不要では?」という意見もありますが、この手の音楽配信のサービスには、オススメのプレイリストやヒットチャートなる楽曲の再生候補がAIによって提案されるため、自分で持ちだした音楽を予定調和的に聴くのとは違い、新しい音楽やアーティストとの出会いが楽しいものなのです。というワケで筆者もOCNモバイルONEのMUSICカウントフリーで十分に満足して音楽ライフを楽しんでいました。

 

ところが、MUSICカウントフリーにはいつくか欠点がありまして、そこをどう解決、および許容するかによって、サービスの選択肢が代わってきます。MUSICカウントフリーのデメリットは下記の3つ。

●Apple Music非対応
●radiko非対応
●対象が音楽配信のみ

 

正直、モバイルで動画は観ないし音楽はAmazon MusicとSpotifyで事足りてるよ、という人にはまったく問題にならないデメリットです。しかし、Apple Musicといえば、定額課金制の音楽配信サービスを普及させた先駆者的サービスです。いまでもAppleユーザーを中心に利用者は多いはずなので、Apple Musicがサービス対象外というだけで、OCNモバイルONEは選択肢から除外するという人も少なくないはず。筆者的には、どちらかというと、SpotifyのAIがレコメンドしてくるプレイリストが好みに合っているので、音楽配信サービスを1つだけ課金するとしたらSpotifyが最有力候補です。Amazon MusicはあくまでもPrimeのオマケという感じでしょうか。

 

そこで、浮上したのがAM/FMラジオをほぼリアルタイムでネット配信してくれる「radiko」です。radikoはOCNのMUSICカウントフリーのサービス対象外なので、OCN回線を使用して聴こうものなら、ギガをグングンと消費してしまいます。radikoの通信量がどれくらいかかるかというと、1日1時間聴いたとして、1ヶ月で900MB~1GBも消費するといわれています。筆者の場合、OCNは通常のデータ通信にも使っているので、radikoを聴き過ぎたおかげでギガが足りなくなり、原稿や画像の納品ができなくなっては本末転倒です。

 

じゃあ、「サービス対象外のradikoをそこまで聴かなきゃいいでしょ?」と思われるかもしれませんが、音楽ストリーミングやポッドキャスト的な「録音済み」のナニかを聴いていても、筆者のようなフリー稼業をしているとリアルタイムに動いている外の社会との断絶感をどうしても感じてしまう事情があったりするのです。そんなとき、ラジオのような生放送を聴きながら作業をすることで、「他の人と同じようにいまを生きている」感が味わえるのです!

↑どうしてもこの組み合わせでエンドレスにradikoを聴きながら作業がしたかったのです!

 

さて、前置きが長くなりましたが、筆者的にはギガを気にせずradikoが聴きたくなり、急遽OCNモバイルONEとは別にBIGLOBE SIMとエンタメフリー・オプションを契約することにしました。諸経費は下記の通り。

・SIM(データSIM購入費用) 3240円
・データSIM 3ギガプラン 900円
・エンタメフリー・オプション 980円
合計5176円

 

↑思い立ったら吉日。ヨドバシ.comで注文したらその日のうちに届いたのでそのままネットで契約

 

radikoを1か月聴くだけのために5000円オーバーはかなり高いと思います。フツーにネット通販ででステレオのポータブルラジオが買えちゃう金額です。ただ、どうしてもスマホ+ソニー「WH-1000XM3」の組み合わせでスタイリッシュにradiko生活を送りたかったことをお察しください。

↑カウントフリー専用端末と化した筆者のHUAWEI P20 Lite

 

約2日間、日中はradikoを流しっぱなしにした結果がこちら。「データ残量」が少し減っているのは、radiko以外のアプリの同期などによるものです。

↑アプリの更新で少し減ったものの、radikoの通信料はカウントされていません

 

で、所感としてはBIGLOBE SIMの実力としてはradikoを始め、音楽系のカウントフリーはホント便利。音声をストリーミングしている分には回線品質もほぼ問題なし。ただし、YouTubeなどの映像系は電波状況にもよると思いますが、HD再生は諦めた方が無難でしょう。720pで再生しようとすると、再生がストップしてバッファリングの待ち時間が発生してしまいました。これは動画視聴においてかなりのストレスです。

↑深夜帯にもかかわらず720pでYoutubeを視聴しようとすると、バッファリングが頻発

 

これはBIGLOBE SIMに限ったことではなく、帯域を絞って格安通信を提供しているMVNOにとっては普通にあることですし、ましてやカウントフリー対象サービスともなると、フルHDや4Kでじゃんじゃんと視聴されてしまい、回線が逼迫しても誰も得しないというのが現状でしょう。ということで、特に動画系のカウントフリーは、確かにギガは消費しませんが、画質や再生品質に期待をしないのが無難です。

 

対象サービスを見定めることが重要

自分がよく使うサービスが対象だからといって、カウントフリーに飛びつくのはいいのですが、どうしても帯域が絞られていて遅かったり、無料通話や他サイトへのリンクがカウントフリー対象外ということを考慮すると、パーフェクト超人なカウントフリーサービスは存在しません。もし、対象サービスにつられて、イマイチ気に入らないサービスに加入してしまったときのことを考えると、少なくとも契約期間の「縛り」があるサービスは避け、短期間で解約するのが好手な気がします。つまり、通話用の電話番号とは別にカウントフリー用のSIMや端末を運用するのが現状ではオススメ。自分がよく使うサービスは何なのか、よく考慮した上で最適なMVNOを選んでみて下さい。