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2016/6/14 8:00

【西田宗千佳連載】結果的に「タブレット市場は崩壊するが、なくならない」

「週刊GetNavi」Vol.43-4

 

タブレットというハードウエアが曲がり角に差し掛かっているのは間違いない。だが、タブレットという製品が不要になっているわけではなく、需要は間違いなくある。では、市場はどうなるのか? 筆者の目から予想してみたいと思う。

 

第一のトレンドは「二極化」だ。タブレットは「あれば便利だがなくてもなんとかなる」ものだ。とすると、とにかく購入のハードを下げるべく安いものを作るか、他のニーズと「合わせ技」で買ってもらえるものを作るか、というパターンしかありえない。そうすると、「性能も価格もそこそこ」な製品の居場所はなくなる。

 

第二のトレンドは「高機能化」だ。合わせ技の対象となる市場は、PCしかあり得ない。データを作る道具としてのPCは、市場規模の低下は否めないものの、今後も底堅い。もはやハードウェアの差は減ってきており、いわゆる「2-in-1」を作るのは難しくない。ペンのニーズも高くなっているので、ペン対応の2-in-1 PCがさらに増える。これを「タブレットとして使う」割合が高まるだろう。ここにはiPadも含まれるが、Appleには、よりPC的なニーズを満たせるよう、iOSの機能アップが求められる。この記事が掲載される頃には開催されているだろう開発者会議「WWDC」での方向性に注目だ。

↑Ipad Pro(12.9インチ)
↑Ipad Pro(12.9インチ)

 

第三のトレンドは「専用化」だ。特に低価格モデルでは、完全に汎用のタブレットは難しくなっていくだろう。低性能のタブレットであれば、大画面・高性能のスマホとの競合が避けられないからだ。しかし、家電量販店や通販事業者が、自社のサービスを使ってもらうための専用機として設計した低価格なタブレットであれば、価格の安さと販路から、それなりの地位を確保することもできるだろう。Amazonの「Kindle Fireシリーズ」や、ヤマダ電機・コジマ電気が展開する自社専用タブレットなどがこれにあたる。

 

といった3点を加味すると、
・タブレットは、数千円から1万円台だが低性能な「特定店専用タブレット」
・PCのニーズも満たせて高性能な、6万円から10万円以上の「クリエイティブタブレット」
に別れ、下位はAndroidのカスタマイズ版、上位はWindowsとiOS、という風にすみ分けるのではないか、と予測できる。過去にタブレットの中心価格帯と言われた3万円から5万円のラインは、過去のモデルが残るのみで、あまり新機種が投入されないゾーンになっていく……と予想している。

 

当面、タブレットの市場予測は下向きだろう。PCとの融合によりじわじわと単価が上がり、結果、モバイルPCとは2-in-1のことを指し、タブレット市場と分けて考えるのが難しいものになる、というのが筆者の読みだ。結局「タブレット市場は崩壊した」といえるのかもしれないが、むしろ、「スマホに突き上げられ、PCとタブレットが融合して新しい市場になる」と考えるべきかもしれない。そうなることに技術的な無理がなくなったのが、いまの変化といえそうだ。

 

●Vol.44-1は「ゲットナビ」8月号(6/24発売)に掲載予定です。

 

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