デジタル
2019/7/24 19:00

ちょっと待った! 「5G」に対する欧米メディアの少し意外な反応

アメリカ、韓国、欧州諸国などで次々と5G通信サービスが始まっています。対応スマートフォンの発表だけでなく、対応地域の拡大など、連日のように5G関連のニュースがメディアを賑わせています。

北米では、AT&TとVerizonという通信大手2社が5Gキャリアのトップランナーとなりましたが、どちらのサービスもまだ全国に展開されていません。前者は本稿執筆時でフロリダのオーランド、サンフランシスコ、サンディエゴといった19都市で、後者は最近発表されたミネソタ州セントポールを加えた5つの都市でそれぞれサービスを展開していきます。

 

地元メディアは、サムスンのGalaxy S10 5G phoneといった数少ない5G対応スマホを使って、各都市で5Gがどれくらいの速度なのか検証。例えば、AT&Tの5Gは「1.6~1.7ギガビット/秒で、自宅のインターネットより6倍も速い」と報じられています。

 

この速度はかなり驚異的。というのも、北米に10年以上住む筆者ですが、ニューヨークでもカナダのトロントでも、自宅用のネット回線の平均的な速度は100メガビット程度ですから。「PUBGモバイル版(1.96GB)をわずか27秒でダウンロードできた」と伝える記事もあり、ダウンロードを待つという行為が近い将来なくなるのではないかとも考えてしまいます。

 

もちろん、すべてが完ぺきというわけではなく、5G対応都市として発表されている場所でも通信塔からの距離によってはサービスに違いが生じていたり、デバイスがかなり熱くなったりといった報道もあります。

 

一方の欧州でも、イギリスやイタリア、スペインといった国々の一部都市で5Gサービスが展開されているようですが、アメリカと比べてスピードが少し落ちるようです。モバイルネットワークの分析会社・Opensignalが公開しているスピード・テスト結果では、これらの国々におけるダウンロードの速度が600メガビット前後。この結果は最新の4G通信とそれほど変わりません。これを受けて、地元メディアも「4Gの速度と変わらないなら、5Gを契約する意義は何なのか?」「欧州の5Gまでの長い道のり」と述べています。

 

さらに、欧州の5G議論は、中国のファーウェイ機器に対するアメリカの強硬的な姿勢といった地政学的な要素にも頻繁に言及。5Gネットワークに一部でも関わるベンダーは膨大なデータを扱うことになり、それは国家安全に関わるという問題意識があります。

 

ロボットも得する

1ギガビットのレベルは4Gでも実現できるため、北米でも欧州においても「5Gにすぐ飛び乗れ!」というメディアの論調は見られませんが、5Gが今後のスタンダードになることは確実な模様。また5Gはただ高速なだけでなく、多数同時接続や超低遅延といった特徴もあり、これらはミリ秒単位でやり取りをする自動運転車のマスマーケットでの普及を考えると非常に重要なんですね。例えば、トヨタが開発してきた遠隔操作ロボットT-HR3は、5G通信技術を搭載したことで10km離れたところからでもロボットの遠隔操作ができるようになりました。

上記のAT&Tを含め、多くのキャリアが2020年を目処に各国での全国サービス展開を計画しているようです。国や地域によって5Gの発展は異なりますが、いろいろな期待や課題を抱えつつ、5Gは普及に向けて準備が進められています。

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