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2019/11/5 21:30

いま買いなのは「Pixel 4」と「Pixel 3a」どっち!? Pixel 4の進化点を使い倒しながら考えた

GoogleがAndroid 10を搭載する純正スマートフォン「Pixel 4」「Pixel 4 XL」を10月24日に発売しました。かつて筆者は「Pixel 3a」シリーズを使い込み比較したこともあり、今回もPixel 4を使い込んでみたところ「買いな理由」が次々に見えてきました。

 

【Pixel 3比較記事】

【Pixel比較】3aの「4万8600円」が持つ誘惑を抑え、Pixel 3a XLを選びたくなったワケ

 

 

↑Pixel 4(左)は5.7インチ、Pixel 4 XL(右)は6.3インチ。どちらのモデルにもホワイト/ブラック/オレンジのカラーバリエーションと64GB/128GBの2種ストレージサイズ(ブラックとホワイトのみ)があります

 

奇をてらわないナチュラルなデザイン。手洗いできる純正ケースもいい

Pixel 4シリーズはどちらもシンプルなストレートフォルムで、背面の左上、四角いボックス形のユニットにデュアルレンズカメラとスペクトルセンサー、LEDフラッシュライトをまとめ込んでいます。ユニットは背面パネルに対して少し出っ張っていますが、2つのレンズにギョロッとにらまれている感じもしないので、カメラを向けられた被写体の人物にもリラックスしてもらえそうです。

 

↑背面にデュアルレンズカメラなどを搭載するボックスユニットを搭載。レンズの形状を目立たないように、かつスタイリッシュなデザインに工夫して配置しています

 

フロント側もディスプレイの占有率を可能な限り広げながら、上部にはしっかり広めなベゼルを設けて、フロントカメラや顔認証用のIRカメラ、各種センサーにスピーカーなどを配置しました。フロント側のほぼ全面をディスプレイが占めて、カメラやセンサーの部分にノッチ(切り欠き)を作るデザインは現在の大画面スマホの主流になっています。Pixel 4シリーズを使うと、全画面表示で動画や写真を再生した時に、見切れる部分ができる落ち着かなさから解放された気分が味わえます。

 

本体のカラバリにはJust BlackとClearly Whiteのほかに、限定カラーとされているOh So Orangeの3色があります。側面フレームと背面カメラのボックスユニットのブラックが全体の色合いを引き締めて、電源ボタンのワンポイントがチャームになっています。

 

純正のPixel 4専用ケースはぜひ手に入れたいアイテムです。表側は編み込みのファブリック。周辺の背が少し高くなっている切り欠きがカメラユニットをしっかり保護します。

 

↑専用ケースはPixel 4/4 XL用ともにコーラル/ブラック/ブルー/グレーの4色が揃っています

 

スマホの背面に当たる側は柔らかなマイクロファイバー素材としているので、傷が付きにくいのが特徴。そして汚れてきたら水と洗剤で手洗いもできます。外観をきれいに保ちながら長く使えそうです。なおケースを付けたままでもPixel Standをはじめ、Qi対応のワイヤレス充電器によるチャージができます。

 

↑内側を柔らかなマイクロファイバー素材としています

 

↑ワイヤレス充電スタンド「Pixel Stand」がPixel 4シリーズでも利用できます

 

【進化点01】機能が複雑すぎない「高画質カメラ」

カメラは人物のポートレート、風景のスナップショットがとても安定しています。夜景など暗所の撮影は昨年発売されたPixel 3シリーズから得意とするところですが、新しく「天体写真機能」が追加され、真っ暗闇の中でも美しい星空が撮れるそうです。筆者はまだ本機を携えるようになってから、満天の星が輝く大自然に出かけていないため、いずれ機会をみて試したいと思っていますが、ふつうの夜景も目で見ている情景よりも明るく、色鮮やかな写真に記録できるので驚きです。例えば“夜空に浮かぶ雲のカタチ”など、日常は意識していない情景美がPixel 4のカメラで切り取れる楽しさがあります。

 

↑Pixel 3 XLはフロント側にデュアルレンズカメラを搭載。超広角撮影に対応していました

 

メインカメラのデュアルレンズは「標準+望遠」というコンビネーションです。望遠側レンズは標準から1.8倍という中途半端に感じられる倍率になっています。これはふたつのイメージセンサーで取り込んだ画像を瞬時にAIエンジンの「Pixel Neural Core」で合成して、最大8倍まで対応するデジタルズーム写真を高精細に残せる「超解像ズーム」を実現するために最適な組み合わせになっているのだと考えられます。

 

↑超解像ズームは8倍デジタルズーム時にもディティールの情報が正確に捉えられます

 

↑通常のカメラモードによる撮影(写真左)とPixelシリーズのカメラが特徴とする「夜景モード」での撮影(写真右)を比較。まるで昼間のように夜空に浮かぶ雲の形がはっきりとわかります

 

ただし、フロント側のカメラがシングルレンズになってしまったため、Pixel 3シリーズで活用していた超広角セルフィ撮影ができなくなったことが残念です。筆者は仕事がら、ヘッドホンやイヤホンを身に着けてテストしている様子を写真に撮ってお伝えする機会がよくあるからです。

 

Pixel 4シリーズのカメラには色んな先進的な機能が組み込まれているのですが、基本的にはカメラを被写体に向けて、シャッターアイコンをタップするだけで望んだ通りの写真が撮れる「手軽さ」が最大の魅力であると実感しています。バッグからカメラを取り出して、電源を入れて撮影モードを決めて…、なんてやっているうちに被写体の人物が気構えてしまい、自然な雰囲気のポートレートが撮れないなんてこともよくあるものです。Pixel 4シリーズのカメラならシャッター音も小さめなので、友だちや家族、恋人のリラックスした表情を気軽に写真や動画に残せます。撮影した写真の明るさや色合いは「フォト」アプリでも後から簡易な調整ができるので心配ありません。

 

↑「フォト」アプリから撮影後の写真の明るさや色味を簡易に調整できます

 

そして動画撮影は最高4K/30fpsの高画質設定が可能です。カメラアプリを起動してから、画面トップの矢印を下向きにドラッグすると、設定メニューへの入口になる歯車アイコンが表示されます。タップしてから「動画」の「超高解像度動画(4K)」をオンにしましょう。このままだと動画ファイルのサイズがやたらと大きくなってしまうので、さらにカメラの「詳細設定」から、「動画の保存容量を節約」をオンにするとH.265/HEVC形式でファイルをコンパクトに生成してくれます。

 

【進化点02】HDR対応のOLED、ステレオスピーカーなどAV性能も充実

Pixel 4シリーズはともにHDRコンテンツの表示に対応するディスプレイを搭載しています。最近はスマホで楽しめるHDR対応の動画コンテンツが続々と増えているので、各メーカーのプレミアムクラスのスマホは当たり前のようにHDR対応の有機ELディスプレイを搭載しはじめています。

 

Netflixにはスマホで楽しめるHDRコンテンツが多く揃っています。例えば映画「ローマ」はモノクロ映像の作品なので、人物の肌を照らす光が作り出す陰影感のリアリティがとてもストレートに伝わってきます。ドラマ「ストレンジャー・シングス」も豊かな色彩の自然な再現性を評価する際に最適なコンテンツです。Pixel 4シリーズのディスプレイは派手さを抑えたナチュラルな色合いとコントラスト再現を特徴としています。

 

↑Pixel 4シリーズはHDR対応の有機ELディスプレイを採用。Netflixなど動画配信サービスに増えつつあるHDR映像コンテンツの高品位な再生に対応します

 

なお、本体設定の「ディスプレイ」に入り、詳細設定を選択すると「カラー」に並ぶ3つの色調整のパターンを好みで選択できます。アダプティブに向かうほど彩度が高くなります。ほかにも新機能の「スムーズディスプレイ」をオンにすると、1秒間に画面表示を書き換える速度が上がり、アクション系ゲームコンテンツなど動きの激しい動画が滑らかに表示されます。

 

↑ディスプレイの色合いは好みから3つのモードが選択できます

 

Pixel 4シリーズはステレオスピーカーを内蔵しています。「ストレンジャー・シングス」を再生してみると、効果音の広がりがとても豊かに感じられました。ダイアローグの定位感は少しふわっとしていますが、ダイナミックな効果音を多く含むアクション系の映画やドラマ、アニメなどのコンテンツ再生にはとてもよくマッチして、楽しく鑑賞できるサウンドにチューニングされていると思います。

 

Pixel 3シリーズは商品パッケージにPixel USB-Cイヤホンのほか、USB-Cから3.5mmアナログヘッドホンジャックへの変換アダプターが付属していました。Pixel 4シリーズにはこれらのアクセサリーが付属していないため、購入後すぐにエンターテインメントコンテンツをアウトドアで楽しみたい場合は、別途ワイヤレスイヤホンや変換アダプターを揃える必要があることも覚えておくと良いと思います。

 

【進化点03】生体認証が顔認証に!

ほかにも最新のPixel 4シリーズには、毎日スマホを簡単便利に使うためにある機能が揃っています。バッテリーの容量はPixel 3シリーズから大きく変わっていません。18W急速充電対応や、Pixel 3シリーズと同時に発売されたワイヤレス充電用アクセサリーの「Pixel Stand」は新しいPixel 4シリーズにも対応しています。もちろんサードパーティー製のQi対応ワイヤレス充電器によるチャージも可能です。

 

本体設定の「電池」を開くと、フル充電までに必要な時間が分数まで詳細にわかります。使用頻度の低いアプリへの電力供給を制限して、端末としてのバッテリーの減りを緩やかにする「自動調整バッテリー」をオンにしておくと電池が少し長持ちします。ユーザーがPixelを使い込むほど、アプリの使用状況を把握していくGoogleならではの機械学習アルゴリズムがこの機能のベースになっています。

 

↑自動調整バッテリーを選択すると使用頻度の低いアプリへの電力供給を制限して、端末としてのバッテリーの減りを緩やかにしてくれます

 

生体認証はPixel 3シリーズの背面指紋センサーからフロントカメラによる顔認証に変更されました。認証スピードはとても速いのですが、寒い冬や花粉症が猛威をふるう春にマスクをする期間が長い日本人にとっては、指紋認証によるデバイスのセキュリティ管理は残しておいて欲しかったと思います。

 

↑Pixel 4シリーズは顔認証による生体認証に対応しました。認証はとても高速です

 

【進化点04】購入後もアップデートで最先端機能が追加されるお得感

これほどまでにスマホに関わるイノベーティブな機能を詰め込んだ高性能なPixel 4シリーズですが、2020年に向けてさらに先進的な機能の追加を予定しています。

 

ひとつは本体のフロント側に内蔵したレーダーセンサーにより、スマホに手をかざすだけで顔認証を起動したり、手のジェスチャー操作で再生中の音楽の曲送りや、アラームやタイマーを止めるなどの操作ができるようになる「Motion Sense」です。日本での提供開始は2020年春を予定しています。ゲームなどエンターテインメント用途にも広がりが生まれそうですね。

 

↑スマホに手を触れることなく画面が操作できるMotion Senseは2020年春に登場予定

 

Googleアシスタントも2020年春に向けて機能アップデートの準備が進められています。いまでも十分に速く賢いAIアシスタントだと思うのですが、アップデート後にはクラウドを介さずに、スマホ上でより複雑なタスクがこなせるようになるため、さらにスピーディーに、そしてスマートになるそうです。どんなことができるようになるのか詳報を待ちましょう。

 

もうひとつの特徴は、ボイスレコーダーアプリの自動音声文字変換機能の日本語対応です。こちらはどちらかと言えば会議の議事録やインタビューなどの文字起こしの手間が大幅に軽減できるという意味で、ビジネスパーソンが喜ぶアップデートと言えるかもしれませんが、実力はどの程度なのか対応後にぜひ試してみたいと筆者も期待しています。

 

Googleの自動音声変換の優秀さは、英語のスピーチのリアルタイム字幕化機能を体験してみるとよくわかります。本体設定の「音」の中にある「自動字幕起こし」は現在のところ英語のみに対応していますが、機能をオンにしてYouTubeで海外アーティストのインタビュー動画やニュースを再生すると、ほぼリアルタイムに会話の内容にまあまあ正確な字幕を付けてくれます。筆者も早速英語の勉強に大活用しています。

 

↑自動文字起こしは本稿を執筆している2019年10月末時点では英語にのみ対応しています。YouTube動画の字幕が簡単に付けられるので、英語の学習にも最適です

 

革新的な機能の数々を誰でもシンプルに使えるように磨き抜いたPixel 4シリーズは、いま最も楽しくて役にも立つ、買って高い満足度が得られるスマホのひとつと言えます。天体写真機能を含む夜景モードは今後Pixel 3シリーズ、Pixel 3aシリーズでもPixel 4シリーズの品質に近いバージョンがアップデートにより利用できるようになるそうです。でもカメラ機能以外にも満載されるMotion Senseをはじめとする、“Googleらしい新機能”をサクサクと快適に楽しみたいなら、やはり最先端のPixel 4シリーズが「いま買い」だと思います。

 

【フォトギャラリー】※GetNavi web本サイトでのみ閲覧できます