デジタル
2020/2/18 18:25

2020年加速する「ヘルステック」、実際どんなことができるようになるの?

近年、医療・健康問題をテクノロジーで解決する「ヘルステック」の注目度が増しており、様々な企業からコンセプトモデルや新しいソリューションが登場しています。1月にラスベガスで開催された、世界最大級の電子機器の見本市「CES 2020」でも多くのヘルステック機器が出展されていました。

 

筆者はモバイル・ガジェットを守備範囲とするライターで、ヘルステックに詳しいわけではありません。ですが、昨年、循環器系の病を患って以来、日々の健康状態が気になるようになりました。55歳ですからね。あちこちガタが来ます。本記事ではそんな筆者が、CES 2020の現地取材で気になったヘルステックアイテムを紹介します。

 

心電と血圧を同時に検査できる「Complete」

オムロン ヘルスケアは、心電計付き血圧計「Complete」を出展していました。血圧は、一般的な家庭用の血圧計と同じように、腕にカフを巻いて計測する仕組み。心電図は両手の指で「Complete」の正面にある電極に触れて検査する仕組みです。両者を一体化することで、血圧と心電を同期させたデータを計測でき、計測結果は「Omron Connect」というスマホアプリで管理できます。

↑ 心電と血圧を計測し、スマホアプリで分析結果を確認できる

 

筆者自身がそうですが、循環器の病気を経験した人は、血圧だけでなく、心電図が気になる人も多いでしょう。この「Complete」は、アメリカでは医療機器としての認可を受けて、すでに発売されていて、価格は199.99ドル。日本での発売も視野に入れているようなので、期待しましょう。

 

なお、オムロン ヘルスケアのブースには、ウエアラブル血圧計「HeartGuide」も出展されていました。腕時計のように手首に装着して、いつでもどこでも気軽に血圧が測定できるというもの。昨年のCES 2019に出展されて注目を集めていた製品で、日本でも昨年12月から発売されています。

↑ 腕時計型の血圧計「HeartGuide」の日本での価格は7万9800円(税別)

 

いびきを止める枕「Motion Pillow」

いびきに悩んでいる人におすすめしたいのが「Motion Pillow」という枕。いびきが感知されると、枕の中のエアバッグが膨らみ、使用者が目を覚ますことなく、頭の位置が調整され、いびきを止めるという仕組みです。いびきに悩む人だけでなく、同じベッドや部屋で寝る家族の安眠も守ってくれるアイテムです。

↑ 右にある白いボックスにはマイクが搭載され、利用者のいびきを感知する仕組み

 

この製品の初代モデルは昨年のCES 2019に出展され、日本でも購入できるそうです(Amazonでは4万4000円)。今回出展されていたのは第2世代モデルで、枕と接続する機器が改良されたとのこと。初代モデルでは、使用時にボタンを押して設定する必要があったのが、プラグインだけですぐに使えるようになったそう。さらに、ワイヤレス充電の機能が追加され、睡眠時にスマートフォンを充電できるという利便性も追加されていました。

↑ ワイヤレス充電に対応したことも第2世代モデルの利点

 

第2世代モデルは、2020年2月16日まで「INDIEGOGO」でクラウドファンディングが募られていました。価格は420ドルで、早期特典で30%オフの294ドルで買えるようです。

 

睡眠時無呼吸症候群を感知するスマートウォッチ「ScanWatch」

一見、ファッショナブルなアナログ腕時計に見えて、実は多彩なアクティブトラッカー機能を備えたスマートウォッチをリリースしているWithings。CES 2020で初披露したのは、不整脈のリスクと睡眠時無呼吸症候群を感知する最新機種「ScanWatch」。

↑ Withingsのスマートウォッチは、一見フツーのアナログ時計に見えて、様々な情報を表示するディスプレイも備えたハイブリッドウォッチだ

 

心電計は循環器専門医と一緒に開発した本格的なもので、ベゼルの左右に指をあてて計測する仕組み。測定結果はディスプレイ部に表示されるほか、ペアリングしたスマホのアプリにも記録され、詳細な情報を確認できるとのこと。

↑ 計測結果はスマホアプリで管理でき、担当医と情報を共有できる

 

睡眠時無呼吸症候群を感知する機能は、スマートフォンでは世界初。時計の裏面に搭載されたSpO2(酸素飽和度)センサーによって、血中の酸素飽和度の推移を計測し、異常値を検出するとわかる仕組み。なお、睡眠トラッカーの機能もあり、睡眠の質の分析したり、目覚めやすいタイミングにバイブで起こしてくれる機能も備えています。

↑ 背面に各種センサーを搭載している

 

販売予定価格は、38mmモデルが250ドルで、42mmモデルが300ドル。医療機器としての認可が必要なこともあり、日本での発売は未定。不整脈、睡眠時無呼吸症候群ともに、自分では気づかずに放置しておくと、非常に危険です。こうした機能を搭載するスマートウォッチやリストバンド型の活動量計が増えていくことを期待したいものです。

 

肥満予防はもちろん、転倒リスクも予測するスマートベルト「WELT PRO」

ウェアラブルといえば、時計や眼鏡をイメージする人が多いでしょうが、もっと手軽に身につけられるものがあります。それは、ベルトです。

 

スマートベルト「WELT」は、一般的なベルトと同じように、腰に巻いて締めるだけ。ベルトに内蔵されたセンサーがウエストのサイズ、座っていた時間、歩いた歩数などを測定し、消費カロリーなどがわかるというアイテム。計測結果はスマホアプリで管理でき、ダイエットや健康増進に生かせるわけです。

↑ パッと見は、ごくフツーのベルト。さまざまな材質・デザインが容易されている

 

↑ ベルトに内蔵されてセンサーが取得したデータは、スマホアプリで確認できる

 

CES 2020に出展された最新モデル「WELT PRO」には、新たに転倒リスクを予測する機能も追加されていました。ユーザーの歩行パターンを分析して、未来に発生するであろう転倒のリスクを予測してくれるという仕組み。

 

なお、この「WELT」は、そもそのは韓国・サムスン電子の社内ベンチャーが開発したもので、現在は、サムソン電子から独立した企業として、開発・製造を続けています。「WELT PRO」は日本では5月以降に発売予定で、2月5日〜18日に高島屋 日本橋店にて先行発売されるそうです。予定販売価格は3万9800円前後とのこと。

 

個人に最適化した負荷でトレーニングできる「ヒガトレック」

CESには、多くのベンチャー企業・スタートアップ企業が出展する「Eureka Park」という会場があります。その中の「Japan TECH」というエリアで、注目を集めていたのが「Higatrek(ヒガトレック)」というトレーニング機器。出展していたのは、All You Need Is(オールユーニードイズ)という日本の会社です。

 

スポーツジムに行くと、ウエイトトレーニングを頑張っている人がいますよね。筆者が通っているティップネスでもそうですが、本気で筋肉を付けようとしている人が、重いプレートを取り付けてバーベルを持ち上げています。本気度が低い人には敷居が高いエリアです。

 

「ヒガトレック」はウエイトのプレートを取り付けることなく、電子制御によって負荷を調整し、その人の目的に合ったトレーニングを行えるマシンです。ちなみに「ヒガトレック」の名称は、同社のCEOで、パーソナルトレーナーでもある比嘉一雄氏の名前に因んだもの。比嘉氏によると、ウエイトトレーニングを行う際、バーベルを持ち上げる時の重さと、下げる時の重さは変えるのが効率的なのだそう。「ヒガトレック」では、それを実現し、最も効率のよい方法でトレーニングが行えるそうです。

↑ CEOの比嘉一雄氏が使い方をデモンストレーション。来場者も試すことができた

 

↑ 左右に柱のライトが操作をサポート。うっかり手を離してもバーベルが落ちてくることはなく、安全性にも配慮されている

 

プレートをつけないので、周囲の人からはどれくらいの重さでトレーニングをしているかがわからないことも利点。トレーニングのデータを蓄積し、スマホアプリで確認できることも特徴。本気の筋力トレーニングだけでなく、ダイエット、リハビリなどにも生かせるとのこと。ただし、自分で買うのは大変そうなので、スポーツジムなどでの導入が増えることを期待しましょう。

 

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