デジタル
2021/3/2 19:15

次世代ITトレンドをこまかーくチェック! 家庭用ロボット、ローラブルスマホ、ミニLEDなど未来を拓く技術を知る

メーカーが技術をアピールする見本市で発表された製品は、すぐに消費者が購入できるわけではない。しかし、将来的な技術トレンドを知るためには有用な指標となるーー。本稿では、1月に完全オンラインで開催された「CES 2021」を改めて振り返り、各メーカーが発表したユニークな製品やコンセプトから、今年から来年にかけてのITトレンドを探りたい。

 

【トレンド1】順当進化を進めるPC、ユニークなゲーミング製品も目立った

CES 2021では、数多くのノートPCが発表されたが、多くの人の目にとまったのはNECがプロトタイプとして発表した「LAVIE MINI」だろう。コンバーチブルタイプのノートPCでありながら、左右端にコントローラーを接続できるほか、専用ドックに接続することで、「TV Gaming Style」としても利用できる。サイズは8型であり、ポータブルゲーム機市場を意識したようなゲーミングPCだ。

 

この手の製品は、例えば20年に中国のOne-Netbook Technologyが「OneGx1/OneGx1 Pro」を発表していることからもわかるように、これまで全く存在しなかったジャンルでは決してない。しかし、NECのように名の知れたメーカーが挑戦するという点でも、ガジェットの1ジャンルとして興味深い。ちなみに、ノートPCに関しては、昨年のトレンドの延長として、5G対応製品が続々と発表されている点にも引き続き注目だ。例えば、「Lenovo IdeaPad 5G」や「HP Elite Dragonfly G2」などがこれに該当する。

 

【トレンド2】スマートグラスの進化が目立つ、一般普及もいよいよか?

レノボが発表したスマートグラスーー「ThinkReality A3」は、可能性を感じる製品だった。単にARの映像を表示できるだけでなく、ノートPCの画面拡張が行える仮想モニター表示に活用できる点で、幅広いビジネスユースでの活躍が期待できる。PCに接続できる製品と、モトローラ製のスマホに接続できる製品の2種類が展開されるが、先述のような理由で、筆者としては特に前者に注目したい。

↑ThinkReality A3の公式サイトに表示される仮想画面拡張のイメージ

 

スマートグラス繋がりでは、パナソニックが開発中のHDR対応なVRグラスも引き続き話題だ。2020年のCESでも4K超/HDR対応のVRグラスとして参考展示された製品だったが、今年も5KのマイクロOLEDパネルなどを追加するなどの改良が加えられたうえで展示された。PC接続時には、SteamVRタイトルも利用できるといい、先述のレノボの製品と比べると、よりエンターテインメント分野での活躍が期待される。

 

【トレンド3】ディスプレイトレンドはLEDの応用に注目

「マイクロLED」とは、極小のLEDを並べてディスプレイを構成する技術を指して使われる言葉だ(有機ELディスプレイに近いイメージである)。ただし、高いコストがかかってしまうので、まだまだPCやテレビなどのディスプレイに使われるのは現実的ではない。

 

似た用語として、「ミニLED」というものもあり、トレンドとしてはこちらを抑えておきたい。ミニLEDは、液晶ディスプレイのバックライトに極小のLEDを使用する方式の一つで、マイクロLEDの方向性とはやや異なる。従来からもLEDをバックライトにするディスプレイは存在するが、ミニLEDはそれをより数を多く配置し、精密に制御を行うという方向性で進化したもの。消費電力や熱を抑える面でメリットがあるとされる。こちらはPCなどのディスプレイへの搭載も期待されている部分があり、TCLやLGエレクトロニクスなど、こうした技術をアピールする姿が印象深い。

 

【トレンド4】スマホは「ローラブル」…巻き取り式が出てきそう

スマートフォンのディスプレイとしては、「巻き取り式」の発表が目立った。例えばLGエレクトロニクスが「LG Rollable」のコンセプト動画を披露しており、TCLもコンセプトモデルを披露している。特に前者については21年中の発売も仄めかされており、「フォルダブル」に次ぐトレンドとして注目度を高めた。

↑CESの基調講演動画でちらっと登場した「LG Rollable」

 

ちなみに、「ローラブル」なディスプレイを採用した製品としては、2019年のCESでLGが披露した巻き取り式のテレビなどもすでに広く知られる存在だ。また、2020年11月にはOPPOもスマホのコンセプトモデルとして「OPPO X 2021」を発表しているなど、順当な流れを追って展開されており、近い将来の製品化も現実的に思える。

 

【トレンド5】スマートウォッチはWearOSのLTE対応をチェック

スマートウォッチ市場では、フォッシルがLTE対応の製品「ジェネレーション 5 LTE」を発表したことが重要だ。同社はWearOSを搭載する数多くのブランドのスマートウォッチをOEMとして製造していることもあり、今後ファッションブランドが展開するWearOS製品の中からも、LTE対応製品が増えてくる可能性があると言える。

↑「Gen 5 LTE」は米国向けで今春発売(https://www.fossil.com/en-us/smartwatches/generations/gen-5-lte/)

 

従来はスマートウォッチ単体でのモバイル通信といえば、Apple Watchの独壇場のような部分もあったが、もしWearOS勢の対応が進むと考えると、モバイル通信目当てでも製品の選び方が広がるかも知れない。

 

【トレンド6】ソニーはドローンブランドを発表

2020年のCESではコンセプトカーを発表して驚かせたソニーだが、今年はドローンブランドを発表した。ブランド名を「Airpeak」とし、同社の一眼カメラ「α」シリーズを搭載したうえで、高精細な空撮を可能にするとアピールした。スマホもそうだが、最近のソニーはプロフェッショナル分野での展開にますます注力している印象だ。

↑ソニーのドローンブランド「Airpeak」

 

ちなみに、アメリカと日本で、ソニーと共にドローンを創り上げていくプロフェッショナルサポーターが募集されている。興味がある方はチェックしてみると良い。

 

【トレンド7】家事手伝いをするロボットは可能なのか?

家庭用ロボットには「手」がつきだすかも知れないーー。サムスンがコンセプトモデルを発表した「Bot Handy」の紹介動画では、そんな様子が描かれていた。具体的には、AIが物体を認識したうえで、ロボットアームでそれを掴んで移動させる様子が紹介された。皿を食洗機にセットしたり、ワインをボトルから注ぐなど、近未来な家事手伝いの様子にはロマンを感じた。

 

ただし、製品化として実現可能なのかどうかは、過去に発表されたロボットにまだ製品化されてないものが多いことを考慮しても、未知数な部分が多そうだ。これから短期、中期と様々なプロダクトと技術が世の中を変えていくことを感じられたCES 2021。今後の動向に期待していきたい。