デジタル
2022/11/17 18:15

8K画質の文化財に圧巻! NHK×東京国立博物館の取り組みが面白い「PBI TOKYO 2022」

世界の公共メディアのトップが一堂に会する国際会議PBI(国際公共放送会議)が11月16日より3日間の日程で開催されています。日本での開催は2009年の京都大会以来13年ぶりとなり、26の国と地域の31機関から59人が参加予定とのこと。

 

今年は世界初の公共放送であるイギリス・BBCが放送を開始してからちょうど100年となる節目の年であり、日本のNHKも3年後の2025年にラジオ放送開始から100年を迎えます。

 

初日となる16日には上野の東京国立博物館で開会式が開催され、PBI事務局長のDavid Jordan氏やNHK会長の前田晃伸氏が開会の挨拶を行いました。

↑開会式であいさつを述べるNHKの前田会長

 

前田会長は、今回のテーマである「“Public” Matters: 100 Years and Beyond (いま、なぜ“公共”か:これまでの100年、そしてこれから)」を挙げ、メディア環境が大きく変化するなか、公共メディアの役割や在り方について、今大会で議論されることを願うとコメント。

 

このほか、会場となった東京国立博物館の藤原 誠館長や、同館の学芸研究部調査研究課長の松嶋雅人氏が登壇し、東京国立博物館とNHKが共同で取り組んでいる文化財のデジタルアーカイブ化プロジェクトの様子が紹介されました。

 

8Kの超精細画質で撮影された文化財は、東京国立博物館創立150年記念 特別企画「未来の博物館」にて展示中。超大型のスクリーンに映し出された国宝「観音菩薩立像(救世観音)」や、マイクロLEDモニターで鮮やかに表示された国宝「洛中洛外図屏風(舟木本)」を、開会式に参加した世界各地のメディア関係者が興味深そうに見学していました。こうした最新技術を活用した文化財のデジタルアーカイブ化も、公共放送局に求められる社会活動の一環といえるでしょう。

↑8K映像と3DCGを駆使して映し出される国宝「観音菩薩立像(救世観音)」を見学する参加者

 

【展示内容詳細】

最初に登場する「観音菩薩立像(救世観音)」は、観音開きのように配置された3つの巨大スクリーンに、奈良・法隆寺の秘仏、国宝 観音菩薩立像 救世観音の金色に輝く姿を超精細な映像で投写したもの。技研とJVCケンウッドが共同開発した世界に1台しかない8Kレーザープロジェクタを用い、中央の大画面には8K解像度で、両脇の小画面には4K解像度で映し出しています。その大きさは中央大画面が幅800cm×高さ450cm、両脇の小画面がそれぞれ220インチ相当と、かなりの大迫力。映画館のスクリーンのような巨大な画面に、8Kの超精細な映像で映し出された観音菩薩像は一見の価値ありです。

↑観音菩薩立像(救世観音)  (C)NHK/東京国立博物館

 

400年前の京都の街並みを描いた大パノラマ図 国宝「洛中洛外図屛風(舟木本)」は、超高精細 LEDモニターを144枚並べて作った幅960cm×高さ270cmの大画面が目を惹く展示です。こちらは料理研究家の土井善晴さんやタレントの伊集院光さんなど、6人のナビゲーターによるトーク形式で紹介してくれるので、楽しみながら作品が生まれた当時の歴史や文化を学ぶことができます。

↑洛中洛外図屏風(舟木本)  (C)NHK/東京国立博物館

 

このほか、デジタル・ハンズオン・ギャラリーと称し、3つの重要文化財「遮光器土偶」「樫鳥糸肩赤威胴丸」「能面 小面」〈天下一河内〉(いずれも東京国立博物館所蔵)のうち1つを選び、手元のコントローラーで拡大・縮小したり、コンテンツ内のミッションをクリアしながら文化財をじっくり鑑賞できる展示も。小さなお子さんでも楽しみながら文化財に親しむことができます。

↑デジタル化された国宝の3DCGを自由に動かすことができる体験コーナーも

 

この特別企画「未来の博物館」は12月11日まで展示されていますので、東京国立博物館を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

↑特別企画「未来の博物館」は12月11日まで展示中

 

画像提供:NHK/東京国立博物館