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2016/11/7 13:27

ガラパゴスは過去の話!? 海外で人気のお手軽価格スマホが日本市場に続々上陸する理由とは?

スマートフォンの普及も先進国ではほぼ1巡し、新製品は買い替え需要を狙ったものが増えている。2年前にはハイスペックだった製品も、現在発売中のミドルクラスのお手頃価格のスマートフォンと性能の差はあまり無い。各メーカーは競ってハイスペック製品の開発を進めているが、スマートフォンを使うユーザー側からすると、SNSでのコミュニケーションやお店検索、地図を使ったナビゲーションなど、日々の使い道はここ数年変わってないのが実情だ。

 

そこで各メーカーが注力しているのが、4~5万円程度で買えるミッドレンジクラスの製品である。ハイエンド製品は一度買うと数年は買い替えてもらえない。特に最近では2年契約で高性能スマートフォンを購入した消費者が、契約満期後もそのスマートフォンを使い続けるケースが増えている。それに対してミッドレンジモデルであれば、値ごろ感ある価格と相まって新製品を投入するたびに消費者の目を惹きつけることができる。

 

サムスンを猛追する中国メーカー

とはいえ価格が安いだけでは、消費者はブランド力の高い大手メーカーの製品を選ぶだろう。例えば中国の新興メーカーで一時は破竹の勢いで販売数を伸ばしていったシャオミの特徴は「高性能、低価格」だったが、今やどのメーカーも類似の製品を出しており、あえてシャオミを選ぶ理由は無くなっている。「Galaxy Note 7」が発火問題で販売中止に追い込まれたサムスンも、Galaxy AシリーズやGalaxy Eシリーズと言ったお手頃価格のモデルを多数ラインナップに用意しており、新興メーカーと互角の競争を演じている。

↑セルフィーにフォーカスして急成長したVivo
↑セルフィーにフォーカスして急成長したVivo

 

このシャオミの失速の代わりに伸びているのがファーウェイやオッポ(OPPO)、ビボ(Vivo)などの中国勢だ。特にOPPOとVivoはフロント側に1600万画素のカメラを搭載する「セルフィースマホ」として東南アジアを中心に勢力を拡大している。OPPOの「R9s」は2799元(約4万2600円)、Vivoの「X7」は2499元(約3万8000円)。どちらもやはり4万円前後の価格である。両製品ともに外観は大手メーカーのハイエンドモデル相応で、CPUはそれらの製品がクアルコムのハイエンドチップ、Snapdragon 800番台を採用しているのに対し、同600番台のミッドレンジ品を採用するなどして価格を押さえている。

 

OPPOやVivo以外のメーカーも「価格プラスアルファ」でユーザーに訴える製品を次々と出してきている。ソニーモバイルが9月に発表した「Xperia X Compact」も、同社がこれまで出してきた「ハイエンド端末の小型版」ではなく、「ミッドレンジなのに高性能カメラを搭載」という、従来品とは位置づけを大きく異にする製品として登場した。そもそも小型サイズの端末に高速なCPUを搭載したところで、その能力は持て余してしまう。Xperia X CompactはSnapdragon 650をCPUに採用、海外向けは防水機能を省いているが、449ユーロ(約5万1000円)で買えるXperiaとありヨーロッパを中心に注目を集めている。

↑こちらは今や海外メーカーの中で最も勢いのあるOPPO
↑こちらは今や海外メーカーの中で最も勢いのあるOPPO

 

日本市場にも海外スマホ普及の波

これら海外メーカーのミッドレンジモデルは、日本市場にはこれまで無縁のものだった。通信キャリアがSIMロックをかけ、iPhoneを低価格で販売する日本では、ハイエンドスマートフォンを低価格で買うことができたからだ。しかしその反面毎月の通信費は高くなっており、端末の割引分が実際のところは通信費に上乗せられていた。だがここ数年で低価格な通信料金をアピールするMVNOキャリアが台頭すると、スマートフォン代金と通信費が明確に分離され、スマートフォンの単体価格に敏感になる消費者が少しずつ増えている。

 

MVNOキャリアはドコモやKDDI、ソフトバンクのように多額の端末割引補助を提供できない。そのためコストパフォーマンスに優れたSIMフリーのスマートフォンをメーカーから導入して販売している。MVNOがスタートした初期のころは、いわゆる「安かろう悪かろう」レベルの製品もいくつか見られたが、最近のSIMフリースマートフォンは品質も性能もよく、メインで利用するにも問題ないものが多い。

↑もはや「格安スマホ」とは呼べないだけの品質と性能を誇るASUSのZenFone 3
↑もはや「格安スマホ」とは呼べないだけの品質と性能を誇るASUSの「ZenFone 3」

 

海外メーカーが最近力を入れているミッドレンジクラスの製品は、そんな「適度に安く、性能も高い」スマートフォンを求める日本のユーザーニーズにちょうどマッチしているのだ。折しも2016年10月中旬にはアルカテル(TCL)とZTEが日本で新製品発表会を開催。どちらのメーカーからも特徴を持ったミッドレンジクラスのスマートフォンが発表された。

 

5万円以下でも個性的なミッドクラスのスマホが続々登場

アルカテルの「IDOL 4」は購入時に本体が入っているケースがVRグラスになるというアイディア商品だ。スマートフォン本体の横にはショートカットキーを備え、しかも本体を180度回転させ上下を反転させてもそのまま使うことができる。またもう1機種発表された「SHINE LITE」はわずか2万1800円(税抜き)価格ながらも高級感あるメタリックボディーに、セルフィーに便利なテンプレート機能を搭載している。

↑2万円台という低価格ながらも、質感とセルフィーをアピールするSHINE LITE
↑2万円台という低価格ながらも、質感とセルフィーをアピールする「SHINE LITE」

 

このテンプレート機能はカメラを起動すると腕を組んだり足をクロスした図柄が表示され、それに合わせてポーズを取ると見栄えのいいセルフィーが撮れるとういもの。フロントカメラは500万画素と一般的だが、LEDライトを備え室内でもきれいな撮影が出来る。ついついセルフィーを撮ってそれをSNSで自慢したくなる、そんな工夫が隠されているのだ。

 

またZTEはハイエンドスマートフォン「AXON 7」に加え、ミッドレンジクラスとなる「AXON 7 mini」を発表した。どちらもドルビーATOMSやハイレゾ音源専用チップを搭載する「音」に特化したモデルである。高音質で臨場感あふれるサウンドを上位モデルだけではなく、3万9800円(税抜き)というAXON 7 miniでも体験できるのは、同社が海外で展開しているミッドレンジモデル強化戦略のおかげだろう。スマートフォンの音楽再生に不満を抱いているユーザーは、AXON 7 miniで同じ音楽を聴き比べてみると驚くはずだ。

↑AXON 7 miniは音楽用の専用チップを搭載、ミッドレンジながらも贅沢なモデルだ
↑「AXON 7 mini」は音楽用の専用チップを搭載、ミッドレンジながらも贅沢なモデルだ

 

日本ではここのところ毎月のようにMVNOキャリアが新しい料金プランを出しており、料金の低価格化がどんどん進んでいる。そして数か月おきにMVNOキャリアを乗り換えるように、スマートフォンも年に何度も買い替えることも、ミッドレンジクラスの製品ならば可能になる。

↑海外にはセルフィーに特化のスマホメーカーも。Meituのミッドレンジスマホはフロントに2100万画素カメラを搭載する
↑海外にはセルフィーに特化のスマホメーカーも。Meituのミッドレンジスマホはフロントに2100万画素カメラを搭載する

 

まるでファッションのようにスマートフォンも買い替える、そんな時代が日本でもやってくるかもしれないのだ。これからも海外で続々と登場するであろう魅力的なミッドレンジスマートフォン、次はどのモデルが日本にやってくるのか注目したい。