デジタル
スマートフォン
2016/11/29 17:00

iPhone 7 Plusの「ポートレートモード」は風景でも有効だった! プロカメラマンが紅葉撮影でガチンコジャッジ!

iPhone 7 Plusは、そのカメラ性能の高さが魅力のひとつ。広角側28mm相当、望遠側56mm相当という2つのレンズを搭載し、歴代のiPhoneでは最も自由で幅広い撮影が行える。さらに5.5インチの大画面や、防沫防塵対応、RAW記録のサポートなども写真にこだわるユーザーにはうれしい仕様だ。

 

今回はそんなiPhone 7 Plusのデュアルレンズを使って、紅葉撮影に挑戦してみた。いよいよ都内でも見ごろを迎えた紅葉を撮るために、iPhone 7 Plusはどれくらい役立つのか、どんな写真が撮れるのか。実写を見ながらチェックしていこう。

20161127_nagayama_iPhone (1)_R

 

デュアルレンズで紅葉を見栄えよく写す

先ほども少し触れたが、iPhone 7 Plusのカメラ機能で最も注目すべきは広角と望遠の2つのレンズを搭載している点だろう。従来のiPhoneとは違ってデジタルズームではないので、望遠でも高画質を維持できることがありがたい。

20161127_nagayama_iPhone (4)_R
↑35mm判換算で28mm相当の広角レンズと、56mm相当の望遠レンズを搭載。開放値は広角レンズがF1.8で、望遠レンズがF2.8。手ブレ補正は広角レンズのみ対応している

 

では実際に撮影した写真をみていこう。下の写真は、池畔の紅葉を広角レンズで捉えたもの。28mm相当の広い焦点距離によって広範囲を画面に収め、澄んだ青空と対比させることで、紅葉の鮮やかさをいっそう強調した。

20161127_nagayama_iPhone (2)_R
↑28mm相当 ISO20 F1.8 1/3690秒

 

同じ場所にて、レンズを望遠に切り替えて写したのが次の写真だ。赤く染まった部分を画面いっぱいにフレーミングし、燃えるような紅葉の迫力と存在感を際立たせた。

20161127_nagayama_iPhone (3)_R
↑56mm相当 ISO20 F2.8 1/100秒

 

このように、同じシーンでもまったく違った雰囲気で写せることがデュアルレンズの大きなメリットだ。広角側では見た目の印象に近い広々とした写真になり、望遠側では一部分を切り取ることで特定の被写体を目立たせることができる。

 

では、大きなボケを生み出す「ポートレートモード」は有用か?

このデュアルレンズを生かした機能として「ポートレートモード」を搭載していることも、iPhone 7 Plusならではの魅力だ。これは、一眼レフのようなボケのある写真が簡単に撮影できる機能。2つのレンズが被写体の奥行きを識別し、その情報をもとにリアルタイムで画像処理を行うことで背景のみがぼけた写真を作り出せるようになっている。

 

本来は人物撮影に役立つ機能だが、ここでは紅葉にもポートレートモードが使えるかどうか試してみた。下の写真は、1枚目がポートレートモード効果オフ、2枚目がポートレートモード効果オンで撮ったもの。

20161127_nagayama_iPhone (5)_R
↑ポートレートモード効果オフ

 

20161127_nagayama_iPhone (6)_R
↑ポートレートモード効果オン

 

見てのとおり、背景部分を滑らかにぼかすことができた。ポートレートモードでは、被写体までの距離が約40~240cmの範囲に制限されるため、これ以上アップで写せないのは惜しいが、ボケの雰囲気は悪くない。

 

ただ、紅葉と背景の境目の処理については、やや不自然さが残る。人物のようなシンプルな輪郭なら違和感は少ないが、カエデの葉のような尖った輪郭を抽出するのは苦手のようだ。

 

参考までに、同じシーンを一眼レフカメラでも撮ってみた。次の写真は、キヤノン「EOS 6D」に50mmの単焦点レンズを装着して写したもの。絞り値を変えながら複数のカットを撮影したが、ここに掲載したのはボケの度合いが最も近かったF5.6のカットだ。

20161127_nagayama_iPhone (7)_R
↑EOS 6Dで撮影。50mm ISO800 F5.6 1/160秒

 

これ以外にもさまざまなシーンで試してみたが、ボケ量だけを見れば、iPhone 7 Plusのポートレートモードは、おおよそフルサイズ一眼レフの焦点距離50mm前後、絞り値F2.8~F5.6に相当するボケが得られると考えていい。境目に違和感があるなど美しさや自然さでは一眼レフに遠く及ばないが、スマホの画面だけで鑑賞する場合など、写真の表示サイズが小さい用途なら、風景+ポートレートモードが役立つこともあるだろう。なお今回使ったのは、iOS 10.1搭載のポートレートモード(ベータ版)だ。正式版での精度向上に期待したい。

 

通常モードでもボケのある紅葉写真が撮れる

ポートレートモードを使わず、通常モードのままでボケのある紅葉写真を撮ることも可能だ。やり方は簡単。背景までの距離が遠く離れた紅葉を探し、そのひとつにできるだけ近寄ってクローズアップで撮ればいい。ピントを合わせた紅葉から背景までの距離が遠ければ遠いほど、背景のボケ量は増す。下の写真は、広角レンズを使ったが、それでも背景は結構ぼけていることがわかるだろう。

20161127_nagayama_iPhone (8)_R
↑28mm相当 ISO25 F1.8 1/12048秒

 

次の写真は望遠レンズで撮影。焦点距離は長くなるものの、そのかわり開放値がやや暗いため、ボケの度合いは広角レンズと大差ない。とはいえ、それなりにぼけていることが見てとれる。

20161127_nagayama_iPhone (9)_R
↑56mm相当 ISO25 F2.8 1/100秒

 

広角と望遠の切り替えは、純正カメラアプリの場合、画面上のボタンをタップすることで行える。ここで注意したいのは、接写の場合は切り換えボタンを押しても望遠レンズにはならず、自動的に「広角+デジタルズーム」になってしまうこと。望遠レンズよりも広角レンズのほうが最短撮影距離が短いため、このように仕様になっている。

 

同様に、夕方や夜間、屋内など光量が乏しいシーンでも、広角から望遠に切り替えても、望遠レンズにはならず、広角+デジタルズームでの撮影になってしまう。これは、2つのレンズのうち光学手ブレ補正に対応しているのは広角側のみで、望遠側は非対応であるため。つまりブレ防止の配慮である。失敗写真を防ぐための仕様とはいえ、iPhone 7 Plusの特権である望遠レンズが使えなくなるのは残念だし、もったいない……。画質が落ちるデジタルズームなんて使いたくない……。純正カメラアプリの自動切り替えをおせっかいに感じるのは筆者だけではないだろう。

 

そんな人はサードパーティ製のカメラアプリを使うといい。Lightroom mobileやProCam、ProCameraなどのアプリでは、ユーザーによる広角/望遠の確実な切り替えが可能だ。今回の作例では、ProCameraを使用した。

20161127_nagayama_iPhone (10)_R
↑56mm相当 ISO20 F2.8 1/386秒。サードパーティ製アプリを使用すれば、このような光量の乏しい場面でも望遠レンズが使用できる

 

トータルとしては、狙ったイメージどおりに紅葉を撮るためのカメラとして、iPhone 7 Plusは十分役立つ性能があると感じられた。画質の面では、一眼レフやミラーレスカメラに比べて数段劣るが、そもそもセンサーサイズが数10倍も違うので、これは仕方がない。

 

だが画質で劣る代わりに、気軽さと携帯性のよさで大きく勝る。撮影目的で紅葉スポットに出掛けるなら、もちろん本格カメラを持って行くべきだが、ちょっとした散歩がてらに紅葉を見に行くのならiPhone 7 Plusをお勧めできる。天候や時間帯を問わず、軽いフィットワークで紅葉撮影を楽しめるだろう。

20161127_nagayama_iPhone (12)_R
↑28mm相当 ISO20 F1.8 1/381秒

 

20161127_nagayama_iPhone (13)_R
↑28mm相当 ISO160 F1.8 1/160秒