達人に訊く
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2021/10/12 20:05

DIY全般で活躍する接着剤・前編/ドゥーパ!資材館【6】

木工作品づくりをはじめ、DIYの全般に活躍する接着剤。今回はホームセンターで入手できる製品を中心に、木工用、多用途、瞬間の各接着剤を紹介する。

 

天然接着剤から高性能な合成接着剤へと進化を続ける接着剤

人類は原始時代から接着剤を利用してきた。はじめの接着剤は自然由来のもので、世界各地、また日本の縄文時代の遺跡からも、矢尻と矢柄の接着に自然のアスファルトを利用したものが発掘されている。日本ではアスファルトは新潟、秋田の日本海沿岸で、自然に地面にしみだしてくる地域があり、古代では重要な特産品として、大和朝廷への献上物となっていた。

こうした天然の接着剤では、国内では天然うるしも古くから使われ、うるしで修理された土器が出土している。日本にウシ、ウマが移入されるにつれニカワの利用が、米の大規模な栽培が広まるにつれデンプン糊が広まっていったと考えられる。接着剤の原料となる動物や米の伝播とともに、接着剤の種類も増えていったのだ。牛乳や海苔からも天然接着剤は作られていた。明治時代にかけてこれらは接着剤の主流として日本文化を支えていく。近代になり天然ゴムやシェラックといった自然由来の接着剤が海外から導入され、昭和のはじめまでには、日本でも合成接着剤が登場。尿素樹脂、メラミン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂などを原料とした接着剤が生まれ、現在に至るまで進歩は留まることがない。現在の接着剤は木工や家庭での使用から、建築、自動車、航空機、造船、ロケット産業まであらゆるもの作りのシーンでなくてはならないものとなっている。

 

木工系

具作りなどの木工をする人にはなじみ深い接着剤。多用途化した製品もある。

 

タイトボンド・オリジナル

50年以上アメリカの木工家に支持され続けるタイトボンド。オリジナルは室内木工用の水性接着剤。乾くと木材自体より強度が出る製法で開発。写真は118mlのボトル

 

タイトボンドⅡ・プレミアム

高い耐水性を持たせ、インテリアはもちろん、屋外に置いて使うエクステリアの家具作りにも使用できる木工用水性接着剤。写真は118mlのボトル

 

タイトボンドⅢ・アルティメット

タイトボンドのシリーズで「究極」を冠された木工用水性接着剤。より強力な接着力と耐水性でインテリア、エクステリア双方の木工に使うことができる。写真は118mlのボトル

 

ボンド 木工用

木工用接着剤の代名詞にもなっている接着剤。酢酸ビニル樹脂を主成分とする水性の接着剤。木、布、紙の接着に使用できる。ボトルの色は黄色。写真は180gのボトル

 

ボンド 木工用速乾

ボンド木工用と並んで人気のある速乾タイプ。酢酸ビニル樹脂の配合が増えている。用途は木工用と同じ。ボトルの色は白。写真は180gのボトル

 

ボンド 木工用多用途

木、革、布、紙同士、または片方が塩ビ、金属に接着できる。使用範囲を広げた水性の速乾性木工接着剤の、多用途タイプ。ボトルの色は薄緑。写真は180gのボトル

 

ボンド 木工用プレミアム

水性の速乾木工用接着剤。細口のノズルを採用しているので、速乾の性質を利用して細かいクラフト作品の製作にも使いやすい。写真は30mlのチューブ

 

ゴリラ ウッドグルー

木材・布・紙の接着に使える木工用強力接着剤。開け閉めがしやすく、詰まりも防いでくれるワンタッチノズルを採用。硬化後は自然な木材色に。写真は118mlボトル

 

多用途系

木、布、紙といった基本的な素材に加えて、金属、陶器、セラミック、タイルなど広範囲に接着できる高性能接着剤。

 

ボンド ウルトラ多用途S・U

ウルトラの名どおり金属、ガラス、コンクリート、石、タイル、陶磁器、発泡スチロール、木、硬質プラスチック、軟質塩ビ、合成ゴム、革、布、フェルト等の接着が可能な速硬化、強力、耐水性のある屋内外で使える接着剤。写真は120mlのチューブ。専用のヘラとノズルが付属する

 

スコッチ 超強力接着剤 プレミアムゴールド スーパー多用途2

金属、プラスチック、軟質塩ビ、合成ゴム、木、革、陶磁器、タイル、シリコーンゴム等の接着が可能な多用途接着剤。写真は20gのチューブ.。薄くて塗りやすいヘラが付属

 

スコッチ 強力接着剤[多用途]

水回りの補修にも使える耐水性多用途。金属、陶器、セラミック、ガラス、タイル、硬質プラスチック、皮革、木、布等の接着が可能。両面に塗るタイプの接着剤。写真は30mlのチューブ

 

ボンド G17

皮革の接着後のねじり、曲げ、引っ張りに強く、レザークラフトの分野では絶大な支持を得るボンドG17。皮革以外に、合成ゴム、金属、硬質プラスチック、木等の接着が可能。両面に塗るタイプの接着剤。写真は50mlチューブ。塗布用のヘラが付属する

 

ボンド Gクリヤー

G17 は接着剤が黄色がかっているが、Gクリヤーは透明なので、より使いやすい。皮革、合成ゴム、布、硬質プラスチック等の接着ができる。写真は50mlチューブ。接着面の両面に塗るのでヘラが付属する

 

ゴリラグルー クリア

紙、布以外のあらゆる素材に使える強力多用途接着剤。接着面は異なる素材でも使え、硬化後はクリアな仕上がりに。耐寒・耐熱(-29~82℃)。内容量51ml

 

接着剤は薄く均等に塗ろう

接着剤によって使い方が違うので、それぞれどんな方法で使うか、説明をよく読んでおく。そのため、接着剤のパッケージや台紙は捨てないでとっておいたほうがいい。接着する材の面はきれいな平面にしておくこと。でこぼこだったりざらついていると、うまく接着できない。荒材の場合は、カンナを掛けるか、サンディングして、きれいな平面を作ってから接着する。接着剤はできるだけ薄く均等に塗るのが原則。接着面には単に接着剤を置くのではなく、指先やハケでならしたり、ヘラが付属しているタイプでは、そのヘラを使って接着剤を薄く均等にならして塗る。

接着剤は容器から適量を取り出したら接着する前に、均等に薄くならす

 

接着剤を塗った材同士は、クランプで均等な力を掛けると、しっかり接着できる

 

水性の接着剤はハケを利用してもきれいにならすことができる

 

ヘラが付属しているタイプの接着剤では、付属のヘラを利用して薄くならす

 

接着する面は互いにきれいな平面に加工しておくこと

 

密着させてはみ出した水性のエマルジョンタイプの接着剤は濡れたウエス等で拭き取ることができる。はみ出した部分に接着剤が残ると塗装が載らないので必要なら研磨する