達人に訊く
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2022/1/11 18:18

高所作業のための道具とその使い方・前編/超実践的DIY道具ラボ(17)

家屋のメンテナンスを手がけていると、屋根や煙突の掃除、2階ベランダや外壁上部の補修、植木の剪定など、高所での作業が必要になることがある。そこで今回は高所で作業するための基本的な道具のバリエーションを見ていきたい。

 

安全を確保するための服装選びの2大ポイント

1、足の動きを制限しないズボンを履く

ハシゴや踏み台の上からバランスを崩して転倒すると、床の上で転んだときよりもケガをする確率は高くなる。高い場所での作業では作業のしやすさとともに、安全対策を講じておくのが大切だ。そのため服装は動きやすいものを身に着けるようにしよう。

ホームセンターで売られている作業着は価格が手ごろで、動きやすい機能を備えているのでおすすめだ。登山用のズボンやトビ職が履く下が広がったズボンも足さばきが楽で動きやすい。反対にジーンズはヒザが上がりづらく、高所作業には向いていない。

 

屋根に上がり、薪ストーブの煙突掃除をしている様子。傾斜がついているうえに手すりもないので特に注意が必要だ

 

屋根上の作業ではこのような無理な体勢をとることもあるため、動きやすい服装が必要となる

 

2、屋根上作業では頭と足元にも気を配る

屋根に乗る場合、もっとも重要なアイテムとなるのが作業靴だ。屈んだり中腰になることが多いので、滑りにくく脚の甲の部分がよく曲がるものを選ぶと、傾斜でもバランスが取りやすくなり踏ん張りもきく。トビ職の地下足袋もこうした作業に向いたアイテムといえる。また、滑る危険を回避するには、雨の日や現場が濡れている間は作業しない判断も大切だ。

 

傾斜のある屋根では屈んだり、ひざをつく姿勢をとることが多いので、よく曲がる靴の選択は重要だ

 

靴底が硬い靴は高所作業ではなるべく使わないようにし、写真のように靴底がよく曲がり滑りにくい材質の靴を履こう

 

ヘルメットもいざというときに頭を守ってくれるので、屋根に上がるなら確実に着用したい。購入する際は用途に墜落時保護用の表示のあるものを選ぼう。着用時は、ヘルメット内のサイズ調節ベルトやあごひもを締め、確実に頭にフィットさせることを意識しておきたい。

 

高所作業に使うヘルメットは必ず墜落時保護用の表示のあるものを選択する。これは透明バイザーがついたタイプで目の保護にも役立つ

 

脚立やハシゴのバリエーションを知っておこう

一般的な脚立は、2面のハシゴがAの字に開いて自立するタイプのことを指す。ホームセンターでは電球の交換など手軽に使えるコンパクトな1段モデルから、2m程度の高さのものまで購入できる。脚立は原則的に4本脚で自立した状態で使う道具なので、2面を平らに開いてハシゴのようにした使い方はしないようにしたい。

 

一般的なアルミ製脚立。ハシゴのついた2面を写真のように開いて自立させる。使用時はストッパーを正しくかけておくことが重要

 

片手で楽に開閉できるワンタッチバーが特徴の「脚軽~ASHIGARU~」という製品。軽くて持ち運びしやすいのが人気

 

足場板を広く取った折りたたみ脚立の小型タイプ

 

上部に持ち運びに便利なハンドルがついた小型タイプの脚立

 

なお、脚立には洗車用脚立と呼ばれるタイプもある。台形に開くため作業者が乗る足場が広く、足元の踏ん張りが利きやすい。横幅があり動ける範囲が広がるため、より安全に高所作業が行なえるだろう。ただし、あまりにも高さがあると前後に倒れる可能性があるので、そこまで高いモデルは販売されていないのが現状だ。

 

洗車脚立として販売されている幅広タイプの脚立。足場板が広いので上に立って作業することができる

 

ハシゴは、単純な固定式のものが一般的だが、ハシゴ部分をスライド式に延長して使えるタイプもある。外国製ではハシゴを1段ずつ伸び縮みできるモデルもある。

 

3脚タイプの脚立。植木職人がよく使っている

 

鉄パイプ製の脚立。いまはあまり使われていないタイプだ

 

1段ずつ伸縮できるハシゴ。長く使えてコンパクトに収納できる便利なタイプ

*掲載データは2017年6月時のものです。