作りたいもので探す
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2022/4/21 17:17

塗装で家具を蘇らせる(2)/アンティークワックスをスチールウールで塗装する

使い込んだり、年月を経ることで家具は徐々に劣化していく。一番顕著に表れるのは塗装部分だ。一番目立つ部分でもあるので、再塗装は家具を蘇らせるには効果的だ。

ちょっと飽きた家具は再塗装でイメージチェンジ!

古ぼけても愛着のある家具を塗装で再生しよう。

今回の記事ではふたつの家具をモデルにして水性多用途塗料を使う方法と、ワックスを使う方法で実際にリペインティングしている。

*CASE1 水性多用途塗料を重ね塗りするエイジング塗装のやり方はコチラ

 

CASE2 アンティークワックスをスチールウールで塗装する

Before。ワックスで塗装する曲げ木のチェア。二ス仕上げだがひどく劣化している

 

After

 

下地調整の手順例

  1. 水で濡らして固く絞ったウエスで全体の汚れを落とす。
  2. 研磨カスを受ける下敷きを敷いた上に載せる。
  3. 1回目の研磨。80番のサンディングパッドで材のとげ、キズなどを落とす。
  4. 研磨カスをぬぐい落とす。
  5. 2回目の研磨。120番のサンディングパッドで、全体を平滑にしていく。
  6. 研磨カスをぬぐい落とす。
  7. 3回目の研磨。180番のサンディングパッドで、全体がサラサラになるように研磨する。
  8. 全体を水拭きして、木部に残った繊維を毛羽立たせる。
  9. 乾いたウエスで空拭きする。
  10. 4回目の研磨。320番のサンディングパッドで、毛羽立ちを取り去り、よりサラサラに研磨する。

 

丸棒や曲面のある家具を研磨するケース

ワックスを使った塗装の場合も、やはり大切なのは下地調整になる。とくにワックスは仕上がり後に木地が透けて見えるので、できるだけなめらかに下地調整することが大切だ。

再塗装する椅子は、ワックスを塗る前に段階的に研磨して、ガサガサを取り去りサラサラの面へと下地調整する。

この作例の研磨で注意する点は骨組みの材が丸棒なので、研磨面が平面のサンディングブロックや電動サンダーでは、十分に研磨することができないところだ。そこで柔軟な素材をベースにした、スリーエムのサンドブラスターと呼ばれるサンディングパッドを使用して研磨した。

水に浸し固く絞ったウエスで汚れを拭き取ったら、80番のサンディングパッドから研磨を始め、研磨し終わったら、研磨カスをよくはき落とし120番、180番と番手を細かくしながら研磨していく。180番のサンディングパッドを使った研磨が終わったら全体を水拭きし、乾いたウエスで水気を拭き取ってから、320番のサンディングパッドで最後の研磨をする。水拭きすることで、微細な木の繊維が毛羽立ち、これを研磨することで最終的になめらかな面になるのだ。

スリーエムのサンドブラスターから必要な番手を選ぶ。これは320番

 

<ワックス塗装のサンディング例>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

ワックス塗装の手順例

  1. スチールウールにワックスを取り、研磨するように下地調整の済んだ面にすり込む。塗り残しのないように注意する。
  2. DIY用のペーパータオルやウエスで、ワックス面を拭きならす。
  3. 塗装面がなじんだら、状態を観察し、必要なら手順1と2の工程を繰り返す。
  4. 色つきワックスを使った場合は、色つきワックスがなじんだらクリアのワックスを塗って色移りを防いでおく。
  5. (おまけ)たまに乾いたウエスなどで空拭きしてやるとツヤを保てる。

 

スチールウールでワックスを塗装する

今回使用したワックスは、自然素材で作られたターナー色彩のアンティークワックス。ミツロウを主原料として、オイルは植物油、溶剤には口紅などに配合されるイソパラフィンを使用した安全性の高いワックスだ。

ワックスは、木材に浸透し木部を保護着色する塗装の仲間だ。今回はアメリカの家具作家が基本的なワックスがけの方法として用いている、スチールウールを使ってワックスをすり込むように塗る方法を紹介する。

スチールウールはスーパーなどで洗浄用に売られている極細で洗剤が含まれないタイプを使用する。インターネットで探すとワックス塗装用スチールウールもあるはずだ。

スチールウールを使ったワックス塗装はいたって簡単。適量のワックスをスチールウールですくい取り、きれいに下地調整された面に、木目に沿ってすり込むように塗ればいい。そして目で見てこれで十分となるまで塗装を繰り返す。あまり厚く塗ることはできない。無理に厚塗りすると、できあがってもワックスが乾燥せず、ベタベタになってしまうので注意する。しかしベタベタにしてしまっても、ウエスなどでぬぐい取れば簡単に修正できる。素手だとワックスで手が汚れるので、必ずゴムやプラスチックの手袋をして作業したい。ワックス塗装が済んだら、写真のようにウエス状のペーパーなどでよく磨いてやればいい。よく拭くほどにツヤが出てくる。

色つきのワックスの場合、塗布したワックスに衣服などが触れて汚してしまう可能性があるので、好みの色で塗装後、数日してワックスが硬化したのを見計らって、クリア色のワックスを全体に塗り、ごく薄い透明な被膜を作ってやると安心だ。この工程を加えるとツヤを増すこともできる。

 

使用したのはターナー色彩の新製品「アンティークワックス」。容量120g(1平米当たり20~30g)、カラー全8色(クリア、ホワイト、チーク、ラスティックパイン、チューダーオーク、ダークオーク、ジャコビーン、ウォルナット)

 

ワックスを塗るために使うのはスチールウール。スーパーなどでスチールウールたわしとして売られているものから洗剤分の配合されていない極細タイプを選ぶ

 

ワックスのついたスチールウールは素手でさわると手が汚れるので、写真のようなプラスチックやゴムの手袋は必須だ

 

<ワックス塗装の手順例>

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*掲載データは2015年12月時のものです。