達人に訊く
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2022/7/20 17:17

バリエーション豊かな電動工具「サンダー」の基本を徹底解説・後編/DIY工具使いこなし術(7)

日本では、あまり注目される工具ではないけれど、欧米ではカンナに代わる研磨道具として活躍する工具。

モデルのバリエーションも多く、研磨の種類に合わせていろいろ使い分けることも可能だ。

サンディングすれば作品の質が一気に上質になるぞ!

*電動サンダーの基本とオービタルサンダーの使い方を解説した前編はコチラ

 

電動サンダー4種。手前はデルタサンダー、中右からオービタルサンダー、ランダムサンダー、後ろがベルトサンダー

 

小さな角までカバーできるオービタルの発展型・デルタサンダー

名前の通りサンディングディスクがデルタ(三角州)型になっているサンダー。サンディングディスクの動きはオービタルサンダーと同じだが、サンディングディスクがデルタ型になっているために、写真のように作品の角部まできっちりと研磨することができる。

研磨力はオービタルサンダーと同様におだやかなので、広く木工一般から、複雑な構造の作品まで、利用することができる。

ただし、専用のサンディングパッドを使うことになるので、サンディングパッドを交換するごとに専用のサンディングパッドを購入することになる。

 

回転研磨でよりパワーアップ!・ランダムサンダー

ランダムサンダー(ランダムアクションサンダー)は、オービタル振動する研磨面が回転することによって、よりパワフルに研磨できるようにデザインされている。研磨面全体が回転するために、ランダムサンダーの研磨面はすべて円形になっている。基本的な運動にもうひとつの運動を加えてパワーアップするというのは、インパクトドライバーの考え方と同じだ。

オービタル振動しながら回転して研磨するため、研磨した粉の排出性もよく、目詰まりしにくいので研磨力も大きい。中ぐらいの番手のサンディングディスクをつければ、塗装のはがしも平滑にできるし、粗目のサンディングディスクをつければ、少々の材を削り取ることもできる。

パワーの必要なエクステリアの木工作品の仕上げ研磨や塗装はがしには最適なモデルだが、サンディングディスクが専用品となり、少し価格が張るのと、円形のディスクのため、入り組んだ部分が研磨しにくいというのが、ネックといえる。

 

ランダムサンダーの作動パターン

 

作品の段差をランダムサンダーで解消する

作品ができあがったら、端のほうに1mm程度の段差ができていたというとき、ノコギリの刃が段差に掛かれば、切り取れるが、刃がはずれてうまく切れないときに、ランダムサンダーのサンディングディスクを粗目に交換して研磨すれば、きれいに段差を解消できる。

 

大きな研磨で威力を発揮・ベルトサンダー

ベルト駆動でロール状のサンディングベルトを、キャタピラのように回して研磨するサンダー。手持ちで使うサンダーとしては大きなモデルで、作業中はしっかり保持しておかないと、力のない女性などだと、サンダーに引っ張られてしまう。また、ベルト面を上にして、作業台に固定して据え置き式として使うこともできる。

ベルトサンダーはパワーがあるので、研磨だけでなく、砥ぎ減らしのような、削る作業もできる。付属の定規を取り付けて、材の角度を一定にして研磨すれば、手押しカンナをかけたような、平面出しや角度出しの加工もできる。木工では、ベルト面を上にして固定して使われることが多い。

 

ベルトサンダーのベルトの流れ

 

力の強いベルトサンダーは両手でしっかり保持する

 

ベルトサンダーを作業台に固定して使う

ベルトサンダーは、ほとんどのモデルがベルト面を上にして作業台などに固定できる金具が付属している。研磨する材を手でもって作業するほうがやりやすい場合などに便利だ。

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写真◎冨士井明史/取材協力◎白井 糺、ブラック&デッカー、ボッシュ、リョービ

*掲載データは2012年2月時のものです。