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2017/6/9 17:00

年収100万円で家賃2万5000円の寮暮らし…… 『クロ現』で紹介されたアニメ業界のブラックぶりに「好きでも続けられないよ」の声

世界に誇る日本の文化でありながら、労働環境が厳しいことで問題視されているアニメ業界。6月7日に放送された『クローズアップ現代+』ではその実態を深掘りし、視聴者から「ブラックなんて言葉が生ぬるく感じるくらい過酷だな」「これじゃアニメ業界衰退してしまうのでは!?」と反響が上がっている。

出典画像:『クローズアップ現代+』公式サイトより。
出典画像:『クローズアップ現代+』公式サイトより

 

お金が回らない構造に視聴者も「不憫すぎる」

番組では、アニメ業界全体の市場規模は年々増加し、『君の名は。』や『この世界の片隅に』などのヒット作が相次いだ昨年の産業市場は過去最高の2兆円に達する見込みだと紹介。その一方で、制作会社の売り上げは2000億円前後と横ばい状態。下請けをしているアニメーターたちに利益が回っていないと伝えられた。

 

こういった現状はアニメ業界の“利益構造”によるものだという。アニメが作られるときは、テレビ局や映画会社で作られる製作委員会が制作会社に仕事を依頼し、さらに下請け会社に仕事が回り、アニメーターたちが作業を行うという形になっている。アニメの利益の大部分は、グッズの売り上げのようなアニメの二次利用によって生まれるが、この利益は製作委員会に出資した企業のものになる。制作会社は製作委員会に出資しない限り、どれだけ作品がヒットしても利益がほとんど還元されないのだ。

 

制作会社に利益が回らず4社に1社は赤字という現状に、ネット上では「絶対下請けの人が儲からない仕組みが出来上がってるじゃないですか」「必死で働いているアニメーターが不憫すぎるでしょ」など、同情の声が続々と上がっていた。

 

アルバイト代を含めて年収100万円……アニメーターの壮絶な生活

番組ではアニメ業界で働く人たちにも取材していたのだが、あるアニメーターは年収がアルバイト代を含めて約100万円しかなく、NPOが運営する家賃2万5000円の寮で暮らしているという。「好きでこの仕事をやっているのは間違いない」と語る一方で、「アニメーターで結婚できてる人は上位2割。何かを諦めなければいけない」とコメント。これには「アニメーターやろうと思ったら色んな事が犠牲になるんだね…」「好きでもなかなか続けられないよこれは!」と視聴者も驚きを隠せなかった様子。

 

また、アニメ業界の長時間労働も問題となっており、1日の平均労働時間は11時間、休日は月に4日程度だという。番組が取材したある男性は、かつてアニメーターのスケジュールなどを管理する制作進行を行っていたのだが、当時は月の残業時間が100時間超え。結局、半年で医師からうつ病と診断され辞職することに。インタビューに対して男性は「どんどん(人が)辞めていく。このままいっても緩やかな破滅しかない」と業界の将来を案じていた。

 

番組では、ある制作会社が手書きの作業を減らし、デジタルで絵を動かすシステムを利用して仕事の効率化を図っていると紹介したが、視聴者の中には「効率化もいいけど、業界の構造自体を変えないと賃金アップには繋がらなそう」「このままじゃアニメが廃れてしまう」と危機感を感じている人も少なくない。

 

今年2月には、若手アニメーターの支援団体であるNPO法人「若年層のアニメ制作者を応援する会」がアニメーターの生活実態を調査。36%の人たちが実家暮らしをしており、家族に生活を支えられながら仕事をしている事が判明した。また、実家を離れて暮らす人たちのうち38%は実家から仕送りを受けながら生活しており、多くのアニメーターは自立が困難なことが浮き彫りとなった。

 

複雑な問題を抱えているアニメ業界。番組に出演していた専門家は、打開策として“AIを使った仕事の効率化”や、テレビ局などが“制作費をアップすること”などをあげていたが、SNSなどでは「実現するとは思えない」と疑問の声が上がっているのが現実だ。

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