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2017/6/19 6:00

50代の今こそ絶頂か? 藤井フミヤ・尚之兄弟のユニットF-BLOODが9年ぶりのニューアルバムで始動した背景

6月21日、藤井フミヤさんと藤井尚之さんによる兄弟ユニット「F-BLOOD」が9年ぶりのニューアルバム『POP ‘N’ ROLL』をリリースする。

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『朝だ!生です旅サラダ』(テレビ朝日)のテーマソング『未来列車』や配信限定でリリースされているシングル『孤独のブラックダイヤモンド』などが収録されているが、特に『孤独のブラックダイヤモンド』は初期~中期のチェッカーズを彷彿させる作風。

さらに言えば“POP ‘N’ ROLL”というタイトル自体、藤井兄弟が“ロックンロールの先達”として影響を受けまくったキャロルのジョニー大倉さんが提唱したキーワード。藤井兄弟は今、チェッカーズ時代やそれ以前のアマチュア・ロックンロールバンド時代に思いっきり懐古したいタイミングなのではないだろうか。そう感じさせる仕上がりだ。

 

■このふたりの関係性が続けば、いつかチェッカーズも…

報道によればここ数年、藤井兄弟はお母上が高齢で体調を崩されたり、その影響で実家を解体することになったり、解散以来はじめてチェッカーズの楽曲を演奏したり、不仲と噂される旧メンバー・高杢禎彦さんについてあえて言及したりと、自らのルーツについてなにかと振り返る機会が増えているように思われる。

 

若々しく見える彼らもすでに50代。平均寿命からすると人生の折り返し時点を過ぎている。

 

僕はさまざまなアーティストを分析するなかで、おおよその人がその表現力の絶頂に達するのは40代半ばから50代半ばにかけてだと考えている。石原裕次郎さんや尾崎紀世彦さん、海外の歌手ならばエルヴィス・プレスリーやポール・アンカのように。

 

長きにわたる活動を経て技巧を身につけた人にとって、若い頃の作品は栄光の証であるとともに、未熟さを示す恥ずかしい記録でもある。

 

「あの頃の自分に今の技術があれば!」

 

そう思って多くのアーティストが昔の曲をセルフカバーしたり、バンド再結成をしたがるのだ。藤井兄弟の場合も、いろんな事情があって再結成やチェッカーズのヒット曲をセルフカバーすることはできないので今作のような形で、自らの想いにお茶を濁しているのではないかと思うのだがいかに。

 

ソロ名義ではあるが2003年にも全12曲入りのキャロル・トリビュートアルバム『MY CAROL』をリリースしている藤井フミヤさん。自らのルーツに並々ならぬ思い入れを持つ人物であることは確実だ。

 

そして、そんなフミヤさんにとってロックンロール音楽と同じかそれ以上に重要なルーツこそが弟・尚之さんと言える。逆もまた然り。40年近いミュージシャン生活、芸能生活のなかで他者との関わりで傷ついたり悲しい想いをすることは数え切れないくらいあっただろうふたり。ふと周りを見渡せば、一番に気を許して、くつろいで共同作業できる仲間は“兄弟”だったのだ。

 

この兄弟にはいつまでも仲良く、マイペースにコラボレーションを続けてもらいたい。ふたりさえ上手くまわっていけば、将来のチェッカーズ再結成も夢ではないのかな……と思ったりする。

 

【著者プロフィール】

中将タカノリ

シンガーソングライター、音楽評論家。2005年、加賀テツヤ(ザ・リンド&リンダース)の薦めで芸能活動をスタート。深い文学性と、歌謡曲、アメリカンポップスをフィーチャーした音楽性で独自の世界観を構築している。近年は音楽評論家、タレントとしても活躍の幅を広げる。

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