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ムー
2017/12/16 20:00

【ムー神秘の宴】現代の魔女が催すハロウィンの宴(前編)

2017年10月31日。この日、渋谷のハロウィンの騒ぎから少し離れた青山で、魔女の叶ここさん主催の「魔女とハロウィンの宴」が行われた。

 

私は、そのイベントの参加者である。叶ここさんとは、以前から、妻を通じ交流を持たせていただいていたが、「魔女」としての彼女と対面するのは初めてであった。

 

あの場で体験した奇跡、できごとは、いまだ私の脳内で行き場を探して彷徨っている。

 

宴の当日。引力により月に2度だけ訪れる若潮の日。一部の漁師の世界では、若潮の日は『豊漁(魚が大量に釣れること) 』になると言われ、その日にスケジュールを合わせることもあるそうだ。

 

奇しくも、若潮の宵。魔女の引力によって、私たちは、この場所へ赴いた。

 

Museum1999 Leau a la bouche(ロアラブッシュ)である。

ロアラブッシュ。
ロアラブッシュ。

 

青山の中に佇むアンティークな西洋館は、閑静な青山の中で、ことさら異色異彩のオーラを放っていた。

 

扉を開き、広々とした吹き抜けから、突然、別次元を演出したかの様な暗がりの階段を降りる。

 

ロアラブッシュの地下にあるダイニングBAR【Jardin d’Erte(ジャルダンデルテ)】が、此度の儀式の場である。魔女による原点回帰のハロウィンの宴が催されるのだ。

 

会場では、女司祭である魔女、叶ここさんが待ち構えていた。

 

叶ここさんは、スペイン人魔術師の祖父とマガガリと呼ばれるフィリピン人の祈祷師の祖母を持つ、魔術師家系の魔女だという。

魔女の叶ここさん。
魔女の叶ここさん。

 

会場の奥には、祭壇と供物を捧げる場所があり、参加者はひとつ、ふたつの果物や木の実を持ち寄り、祭壇に供えていく。儀式に使うのであろう。燭台や天秤、分厚い書物、水晶……そして、鞘に収められた数種の剣が置かれていた。

祭壇に捧げられた果物。
祭壇に捧げられた果物。

 

一般的なハロウィンといえば、アニメやゲームキャラのコスプレした人が、ピザやシュークリームを食べる程度のイメージだろう。

 

しかし、この日、ここで行われるのは、真のハロウィン(サーウィン)なのだ。

 

魔女の宴

アイルランドの伝統料理 コルカノン。
アイルランドの伝統料理 コルカノン。

 

ヨーロッパのハロウィンでは重要な意味を占めるりんご、ナッツ、レーズンやいも類が食材としてふんだんに使われた料理や、コルカノンなどの伝統的なハロウィン料理を囲みながら、まずは和やかな雰囲気の宴が始まった。

 

しばらくすると、魔女がカードをひとセット、用意した。そこから一枚のカードを引くように、指示される。シーリングワックスにより封をされた意味深なカードだ。

会場で配布されたカード。
会場で配布されたカード。

 

「???」

 

疑問を持ちながらも、次々に登場するハロウィンの伝統料理の宴は続く。いつしか、すっかりカードのことは忘れていた。

 

よくよく考えてみれば、この日私たち参加者は、すべて魔女の思い通りに思い、動いていたのかもしれない。後の儀式で鍵を握るカードは、儀式の直前ではなく、宴の序盤で配られたのだが、この後、このカードを選ぶことが決まっていたかのよう偶然が重なるのだから。

 

ここで、今回の主役のひとつであるハロウィン(サーウィン)の伝統料理について補足しておく。

 

ハロウィンの起源は古代ケルトの季節のお祭りである『サーウィン』。

 

夏が終わり、冬が訪れるこの日をケルト民族は新年とした。秋の豊穣を祝い、太陽の弱まる季節であるが故に火を祀るそうだ。また、この日は季節の変わり目ということもあり、死者がこの世に現れると信じられていた。日本のお盆のように先祖への感謝を祈る日でもあるという。

 

ハロウィンの伝統料理に多くの種のスパイスが使われているのには、『魔を祓う』意味があるという。保存食や体を温めるなど、冬の季節に備える効果もあるようだ。

リンゴとスパイスのデザート タルト・タタン。
リンゴとスパイスのデザート タルト・タタン。

 

ヨーロッパではハロウィンの時期になると。リンゴを使った料理が多くなる。リンゴは魔を祓う食べ物だと信じられているそうだ。魔術や占いに使われることや、ギリシャなどで古来より死者の食べ物と信じられていることなども、起因しているという。

占いに使われるバーンブラック。
占いに使われるバーンブラック。

 

今回の宴では、スウィーツのひとつにバーンブラックという、スパイスとレーズンの入ったパウンドケーキがあった。

 

これもハロウィンの伝統で、中にコインが入っていると金運に恵まれる、布が入っていると貧乏になる、といった占いに使われていたそうだ。今回は、魔女の計らいで、『豊穣』の証であるナッツが数名の参加者に入っていた。

 

他にも、参加者には『魔女の媚薬サングリア』が配られた。これは、カルダモン、コリアンダー、スターアニス、グローブ、ローリエ、シナモン、そして、愛の魔術でよく使われるというリンゴとオレンジを漬け込んで作られたもの。さらに、叶ここさん考案の媚薬として、他にも秘密のスパイスが用いられているとのことだ。

 

口に含むと、体の芯から温かくなるのを感じる。

 

提供される料理・飲み物・場所・時間。すべてが、真の魔女のおもてなしなのだろう……。

 

そして、時刻は、22時45分を迎えた。

 

ついに儀式の時が訪れる。

 

後編へ続く

 

文=松本祐介

写真=住谷勇幸

 

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