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ムー
2018/6/10 20:00

【ムー昭和オカルト回顧録】ウルトラマンからスノーデンへ!忍び寄る「地底」世界

数年前、元CIA及びNSA職員のエドワード・スノーデンが「地底には地底人が棲息し、高度な文明を築いているっ!」と驚愕のリーク(?)をした、といったネタがメディアで話題になったとき、「あ、なんだか懐かしいな」と思った人は多いのではないだろうか?

月刊「ムー」1979年11月号より。オカルト史における各種「地球空洞説」を俯瞰する好企画。太古の神話から科学的見地に立つ各説までを網羅して紹介。

 

僕もこの話を聞いたときに、最初に感じたのは自分の子ども時代への甘酸っぱい「郷愁」だった。

 

そう、思えば僕ら世代の子ども時代は、「地底人」が今よりもずっと元気だったのだ。

 

いや、現在の地底人の元気がなくなっているかどうかは知らないし、そもそも存在しているかどうかも僕には知る由もないのだが、少なくとも小学校の低学年くらいまでは、仲間内でよく「地底人」のことが話題にのぼっていた。

 

70年代のこどもオカルトの世界で、特に「地底人ブーム」といったものが単独で成立したことはなかったと思うが、ネタとしてはひとつの定番であり、多くの怪奇系児童書で「地球空洞説」及び「地底世界・地底人実在説」といったものが解説されていた。

 

特撮ドラマやアニメで悪役が「地底人」に設定されるパターンはやたらと多かったし、僕たちが日常生活を送る地面の奥底にもうひとつの世界があり、そこでは別種の生命体が蠢いている……というイメージは、当時の僕らにとってはそれなりにリアリティのあるものだったと思う。

 

忘れられないのは、幼少時に再放送で何度も見せられた『ウルトラマン』の第22話「地上破壊工作」だ。このエピソードには地上世界の征服を目論む「地底人」の工作員が登場する。外見は人間そっくりで、サングラスをかけたブロンドの美女……。

 

このブロンド美女がサングラスをはずす瞬間の場面は、「ヒェ~ッ!」と叫んでしまうほど怖かった。両目がないのだ。闇のなかに生息する深海魚のように、目が退化しているという設定なのである。

 

今見れば落語に出てくる「のっぺらぼう」と同じ古典的なオチだし、特殊メイクも単に「目に肌色の粘土を貼り付けた外国人」というレベルなのだが、実相寺昭雄監督のひたすら不安を煽る静かな演出が効果的だった。

 

あの「地底人」の顔が顕になる瞬間は、再放送で見なおすたびに「見てはいけないものを見てしまった!」という気分になったものだ。

 

町内にも「地底人」がいた!

そういえば当時、僕らが暮らす街にも〝地底人〟が生息していた。もちろん直接会ったことはないのだが、近所の子どもたちの間では「ここに地底人が住んでいる」ということになっている場所が存在していたのだ。

 

通学路の途中に広大な敷地を持つ某生命保険会社があり、僕らはよくそこに忍び込んで遊んでいた。社屋の庭は手付かずの森のような状態になっていて、渋谷区のど真ん中であるにもかかわらず、カブトムシやクワガタが捕れる夢のような遊び場だった。

 

その敷地の一番はずれに崖のようになっている場所があって、そこを降りていくと木々で隠されるようにして、子どもがかがんでやっと通れるくらいの小さな穴が空いていた。

 

内部に入ると、ウネウネと妙に入り組んだ構造を持った洞窟というか、トンネルになっている。奥は真っ暗なので、行き止まりなのか、どこかへ続いているのかはわからない。

 

子ども時代の僕らはずいぶん無謀なことをやらかしたものだが、あのトンネルを最後まで探索した子はいなかった。「あの穴は地底人の世界に通じている。入ったら出られない」と言い合っていたのだ。

 

もちろん半分は冗談なのだが、「穴の入り口のところに鳩の死骸があった」とか、「穴のなかに子どもの靴が片方だけ落ちていた」とか、「奥からヒソヒソと話す声が聞こえた」とかいった噂を聞くたびに、「笑いごとではないっ!」という気分になって青ざめたものだ。僕はひとりのときは絶対にあの穴へは近づかなかった。

 

大人になって考えてみると、あれは戦時に防空壕として掘られたものだったのではないかと思う。

 

また、嘘か本当かは知らないが、あの広大な土地はかつてお寺の敷地だったという話を聞いたことがある。確かに敷地内には、妙な具合に残された石垣や、企業の庭には不釣り合いな古びた石灯籠や石像などが点在していた。夕暮れ近くになると少し無気味だったのだが、このままアレコレ思い出していくと心霊方面のネタにどんどんそれていってしまいそうなので、話をもとに戻す。

 

子ども時代の僕らがどうしてあれほどまでに「地底人」にリアリティを感じることができたのか、今思えば不思議だが、それは要するに当時の「怪奇系児童書」で日常的に「地底人」の話題を読んでいたということなのだろう。

 

では、どうして当時の昭和こどもオカルト関連メディが盛んに「地底人」ネタを取り上げていたのか?

 

大きなブームにはならなかったにせよ、1970年前後あたりに、子ども文化において「地底人」ネタのプチ盛りあがりのきっかけがあったはずだ。

 

次回は、そのあたりを考察してみよう。果たして現在、「地底人」に興味を持つ読者がどのくらい存在するのかという不安はあるものの、とにかく昭和こどもオカルトにおける「地底人」、及び「地底世界」ネタの扱われ方の系譜を回顧してみたい。

月刊「ムー」1982年5月号より。「メキシコの農夫が地底人と出会い、地底の文明から得た錬金術的知識を応用して“巨大野菜”を栽培している!」というスクープ記事。「地底人」ネタのなかでもかなり風変わりなトピックだ。

 

初見健一「昭和こどもオカルト回顧録」
◆第6回 謎のオカルトグッズ「ミステリーファインダー」
◆第5回 東村山水道局の「ダウジング事件」
◆第4回 僕らのオカルト感性を覚醒させた「ダウジング」
◆第3回 70年代こどもオカルトの源流
◆第2回 消えてしまった僕らの四次元2
◆第1回 消えてしまった僕らの四次元1

 

関連リンク
初見健一「東京レトロスペクティブ」

 

文=初見健一

 

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