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2018/10/25 15:15

『からくりサーカス』加藤鳴海役の小山力也インタビュー!作品の魅力やアフレコ現場の雰囲気は?

累計発行部数1500万部を誇る、「少年サンデー」伝説の名作マンガ『からくりサーカス』。2018年10月に満を持してアニメ化した本作で主要人物のひとりである加藤鳴海役を演じるのは声優の小山力也である。

今回は『うしおととら』に続き藤田和日郎氏原作の作品に関わる小山さんにインタビューを敢行。本作の魅力やアフレコ現場の雰囲気などについてたっぷりとお話をうかがった。


小山力也加藤鳴海役の小山力也(写真は先行上映会時のもの)

 

勝と同じ眼をしていた

――小山さんが演じられる加藤鳴海役について、改めて紹介をお願いします。

鳴海は若い! 大きい、そして強い!! そんな感じです。

――単純明快な説明ありがとうございます(笑)。そんなキャラクターを最初に見たときの印象は?

今まで体がごつい役は色々と演じてきましたがそのなかでもやっぱり若いなというのが第一印象でした。なので、演じるうえでも思いっきり若さを出そうと最初は思いました。

――18歳くらいですからね。

そうです。

――ご自身の年齢よりも若い……。

ちょっとだけね!!

――は、はい! 少しだけ若いキャラクターですが、演じるうえで意識している点は?

何かしら意識しようと最初は思っていたのですが、よく考えたらもう大きい体の小学生の役を演じたことがあったんですよね。それに70過ぎて14歳の役を演じる大女優もいらっしゃるのでそれと比べるとなんてことはない、そうやって自分を奮い立たせて自然体で演じるようにしました。

――自然体という点ではご自身も18歳を一度は経験していますもんね。

そうですね。ただ、鳴海は作中の年齢で18歳の真っただ中、自分はそんな気はなくてもしろがねさんみたいなキレイな方が傍にいると緊張しちゃうんですよ。そういうさくらんぼ少年だということは念頭に置いて演じました。


――なるほど。では、ディレクションで言われたことで何か印象に残っていることはありますか?

音響監督の三間さんは昔からよく知っている方だったので、もう俎板の鯉状態でお任せしていました。だた、今回に限らずいつもおっしゃられているのは、一つのセリフを言ったらそこで終わりじゃない、そのあとも物語は続くから「はい、終わり!」とならないように、ということ。とにかく全部が現在進行形で前に前に突き進んでくれと言われました。

――物語は一連の繋がりになっていますからね。

そうです。僕らは滑舌や映像の尺に併せる技術を求められますが、そんなのは後でもよくて。まずはズレようが多少声がひっくり返ろうが正しく役の行動をするように、それが物切れにならないように、例えアフレコでは別の場面に転換するとしても自分のなかでは物語が続いていることを意識するのが重要なんです。セリフを言い終えたという気持ちは声に乗っちゃう、いやらしさが残っちゃいますからね。すべてが続いているということを意識するようにと教えてもらいました。

――アフレコ時は常にキャラクターのことを意識して物語にある種没頭することが重要なんですね。ではそんなアフレコ現場の雰囲気はいかがですか? 年齢も経験もさまざまなキャストさんがいらっしゃいますよね。

年齢の幅は確かにとても広いですね。あとは主人公である才賀勝役の植田千尋さんが最初はなかなか大変そうでしたけどとても勘のいい人で、どんどん鍛えられていっています。見ているこっちが楽しくなりますね。

――植田さんは今回が初めての主役ですね。アフレコ現場でお会いになったときの印象はいかがでしたか?

眼が勝と一緒でした。あどけない表情もするし、血みどろいような顔をするときもあるし、まさに勝ですよ。

――アフレコもだいぶ進んでいるかと思いますが、最初の頃と比べて印象は変わりましたか?

彼女が勝を掴んでいくにしたがってどんどん頼もしくなっていっています。本作のディレクターはクオリティに対して厳しい方で、植田さんは役を掴めていない頃、演じ方に悩んでいる時間が長かったんです。それは彼女が初めての主演だからというだけではないですけども。私も『うしおととら』のときにも何十テイクと重ねましたよ。


――ある程度納得いくまで何度も収録されるんですね。

それでも、彼女は徐々に勝という人物像を掴んでいって、悩む時間が段々と少なくなっていきました。ほかの作品と比べるとまだ収録の時間は長いですが、まどろっこしい待ち時間はどんどんなくなっています。また役的に自分が中心になって現場を動かしていかなければならないということを感じ取ってくれているみたいで。普段は礼儀正しくしていても、いざ演じるとなったらぶっ放すという猛々しさも出てきた気がしますね。非常に頼もしいです。

――本作はそんな植田さんの芝居にも注目ですね。いま植田さんのお話が中心でしたがほかの共演者さんとは現場でどういうお話をされますか?

作品のことについてそんなに深い話はしないんですが……まぁ、もう彼らは背中見ていれば目指す方向性が分かりますので。僕としてはそれに負けないぞと思うだけですね。

――信頼している?

そうですね。掛け合いでも探りあっているのが楽しいです。掛け合いのテンポが速いので言葉が重なることもありますが、それはそれで楽しいから別に問題ありません。やっていてつまらないほうがよくない。段取りで引っかかっただけならいくらでも楽しくできる、そういう信頼はしています。


からくりサーカス先行上映会時の写真(左から小山力也、植田千尋、櫻井孝宏、藤⽥和⽇郎)

 

サーカスに感じるロマンともの悲しさ

――ご自身のことや共演されるキャストさんとの信頼関係についてお話いただき、ありがとうございました。ここまで演技面のことを中心にうかがってきましたが、続いて作品の内容面のことについてうかがっていきます。まず、小山さんが原作マンガを読んだときの感想を教えてください。

それぞれに立場があって、さまざまな意見があって、誰も簡単には引き下がれない。単純にいい人・悪い人という敵味方の戦いではなくて、色々な過去や運命のなかで争うことになる……それが人間らしいといえば人間らしいなと感じました。また、キャラクターたちの人生の機微、さらには何かに影響をされて突き動かされるという心情、そういう想いに心を奪われました。藤田先生のマンガはね、本当にこれだけ細かいことをよく描ききるなといつも感心します。複雑に展開する物語が見事に過不足なくつながる、それが流石だなと思いました。

――藤田先生の作品には『うしおととら』に続き関わることになりました。先生からは何かお言葉をかけられましたか?

『うしおととら』のときもそうだったのですが、先生はご自分の作品を愛するようにアニメも愛してくださっていて、構成にも最初から関わってくださっています。そんな先生からは原作ファンの想いを受け止めつつ、アニメはアニメで新たなものを作ってもらえればいいです、だから自由に暴れてくださいというお言葉をいただきました。同じような言葉を受けて演じていたのが『うしおととら』の「とら」です。もちろん間違いや解釈違いがあったらご指摘いただきますけども、今回も前回も委縮しないで自分が思った通りに羽を伸ばして演じました。

――『うしおととら』『からくりサーカス』どちらも原作マンガは長く続いています。それだけ多くの人に愛されて長く続けられる理由はどこにあると小山さんは感じられますか?

こういう作品を考えた時点でもう描き切らないといけないという情熱……いえ、そんな生易しいものではなく何か執念みたいなものがあったからだと思います。例え世の中がひっくり返ろうとも描き切るぞという意思を先生の作品からは感じますね。それを出版社の方をはじめとする周りの方が理解したからこそ続いたのかなと個人的には思っています。これだけ複雑な話だと、例え読者の方の食いつきが悪くてもなかなか作品を軌道修正はしにくいでしょう。尻切れトンボにはできない作品だからこそ執念で続けられたのだと思います。

――なるほど。『からくりサーカス』は複雑かつ目まぐるしく話が展開します。しかも、最後はそれがひとつにつながっていくので確かに尻切れトンボにはできないですよね。

バラバラになったと思ったら最後には絡みあう、そういう展開になっているのは見どころでもあると思います。

――物語で取り上げている大きな題材のひとつとして、タイトルにもなっている「サーカス」があげられるかと思います。小山さんはサーカスをご覧になったことはありますか?

あります。サーカスは肉体を極限まで鍛えて、チームワークも極限までよくしないと成立しない、しかも、成立させたうえで人を笑顔にしようとします。ただ、人に笑顔になってもらうために、裏では綿密に企画を立てて、仲間同士でしのぎ合っている。さらには身の危険もあって、経済的にもすぐに成功するとは限らないですよね。そういった要素が相まって、ロマンともの悲しさをサーカスからは感じます。簡単にできることじゃないですよ。

――難なくこなしているようで、その裏では人に笑顔になってもらうため相当な努力を積まれている、だからこそ感動も生まれるのだと思います。

僕は以前に中国の雑技団の演技を見たこともあるんです。プロフェッショナルな集団ですが、彼らだってアクロバティックな技を失敗することがあるんですよ。でも、もう一回チャレンジしようとする。再度挑戦したときは笑顔なんですけども、「次は絶対に成功させる」という鬼気迫るような表情なんです。それが更なる感動を呼んでお客さんとの一体感もより大きなものとなっていました。成功したときの拍手もすさまじかったです。僕自身も非常に感動しました。

――小山さんからうかがったサーカスの話はまさにこの作品全体に通じることではないでしょうか。

そうかもしれません。人生の悲喜こもごもや冒険やファンタジー、反対に地獄のような苦しみ、はたまた天国のような楽しさや感動など、色々なことを含めて『からくりサーカス』という名前を先生は付けられたんじゃないかと思います。

――本作では人を笑わせないと発作が起きてしまうという「ゾナハ病」というのも物語のキーとなっています。さまざまなイベントでお客さんを笑顔にする小山さんですが、もし「ゾナハ病」にご自身がかかってしまったらどう受け止めますか?

まず絶対にかかりたくない! 私は健康で、いつまでもおいしいお酒を飲んでいたい(笑)。ただ、笑わせるということはパフォーマーの性で、自分が何かしら爪痕を残そうと思っての行動だと思うんです。だから例え病気にかかっていなくても役者としては人を笑わせられないと死んじゃうのかもしれないですね。笑顔になってもらえないとお金はもらえないでしょうし、仕事ももらえない。自己満足だけでは生きていけないというのがパフォーマーでしょうから、そういうのは役者としてハマる部分かと思います。

――小山さんの役者としての信念のようなものを感じるお言葉、感動しました。ここまで色々とお話いただきありがとうございました。最後に読者の皆様へメッセージをお願いします。

監督・プロデューサーをはじめとするスタッフ、共演者の先輩も後輩も含めて、本当にベストメンバーがそろったなと個人的には思っています。自分が一生懸命に乗っかっていければ間違いないという信頼ができるメンバーが本作でそろいました。そういう場にいられることに感謝をしつつ、あとはひたすら図々しく暴れたいと思います(笑)。

 

小山力也【こやま・りきや】12月18日生まれ。京都府出身。劇団俳優座所属。主な出演は『うしおととら』とら役、『DOUBLE DECKER! ダグ&キリル』トラヴィス・マーフィー役、『名探偵コナン』毛利小五郎役ほか。『24 -TWENTY FOUR-』ジャック・バウアー役をはじめ、数々の吹き替え作品でも活躍する。

 

TVアニメ『からくりサーカス』放送情報
<ストーリー>
「3⼈の出会いが、運命の⻭⾞を動かす―」
⼩学5年⽣の才賀勝は⽗親の事故死によって 莫⼤な遺産を相続したことをきっかけに命を狙われていた。そんな折、⻘年 加藤鳴海は偶然にも勝と出会い、⼿を差し伸べることを決意する。しかし、勝を追ってきたのは⼈間ではなく⾼い戦闘能⼒を持つ⼈形使い達であった。窮地に陥った⼆⼈は突如姿を現した懸⽷傀儡【マリオネット】を操る銀髪の少⼥しろがねに助けられる。
こうして、⽇本で出会ったこの 3 ⼈は 数奇な運命の⻭⾞に巻き込まれていく──

<放送情報>
【TV放送】
2018年10⽉11⽇よりTOKYO MXにて毎週⽊曜22:30~放送中。BS11にて毎週⽊曜24:00から放送中。HTBにて毎週月曜25:55~放送中。
【配信サービス】
Amazon Prime Videoにて⽇本・海外独占配信。
第1話:⽇本では10⽉10⽇(⽔)24:00頃より先⾏配信。

<スタッフ>
原作: 藤⽥ 和⽇郎 (⼩学館 少年サンデーコミックス刊)
監督:⻄村 聡
シリーズ構成:井上 敏樹 / 藤⽥ 和⽇郎
キャラクターデザイン/ 総作画監督:吉松 孝博
メインアニメーター:菅野 利之 / 菅野 芳弘 /平⼭ 貴章
美術監督:清⽔ 友幸
⾊彩設計:堀川 佳典
撮影監督:⿂⼭ 真志
CGI ディレクター:⾼橋 将⼈
編集:神宮司 由美
⾳楽:林 ゆうき
⾳響監督:三間 雅⽂
オープニング・テーマ:BUMP OF CHICKEN 「⽉虹」
アニメーション制作:スタジオヴォルン 製作:ツインエンジン

<キャスト>
才賀 勝:植⽥ 千尋
加藤 鳴海:⼩⼭ ⼒也
才賀 しろがね:林原 めぐみ
阿紫花 英良:櫻井 孝宏
ギイ・クリストフ・レッシュ:佐々⽊ 望
タランダ・リーゼロッテ・橘:⿊沢ともよ
ヴィルマ・ソーン:井上 ⿇⾥奈
仲町 信夫:江川 央⽣
仲町 紀之:岩崎 諒太
仲町 浩男:⽯川 界⼈
才賀 正⼆:⽥中 正彦
才賀 善治:⼤塚 明夫
ルシール・ベルヌイユ:朴 璐美

 

公式サイト
https://karakuri-anime.com/

公式 Twitter
@karakuri_anime

©藤⽥和⽇郎・⼩学館/ツインエンジン