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ムー
2018/11/4 20:00

【ムーUMA情報!】恐竜の生き残りか? 各地で恐れられるご当地モンスターたち

UMA(Unidentified Mysterious Animalの頭字語。未確認動物の意)という専門用語は、UFOになぞらえた造語とはいうものの、あくまでも知る人ぞ知る和製英語である。

1960年代に撮影された、ベッシーのもっとも有名な写真。

 

UMAの調査研究を専門とする欧米の未確認動物学の分野では、今ではクリプティッド(cryptid)と呼ぶが、この用語が誕生したのは1983年なので(米動物学者J・E・ウォールによる)、和製英語のUMAが生まれた1976年よりは、誕生が7年遅かったことになる(裏事情を打ち明ければ、当時東京で発行されていた某SF同人誌の定例会の席上、動物研究家の實吉達郎氏から新著のタイトルを決めかねていると相談され、拙筆・南山がいささかアルコールも手伝って、無責任にも即興で考案したのが始まりだ。後年、本誌「ムー」連載の志水一夫編『超常現象用語事典』でその経緯が明かされた)。

 

ちなみにクリプトゾオロジー(cryptozoology)という専門用語そのものは、未知の動物を捜して世界を渉猟した斯界のパイオニア、イギリスの探検家・動物学者アイヴァン・サンダーソンが遅くとも1959年までに初めて用いたと、同僚のベルギー人動物学者ベルナール・ユーヴェルマン博士が敬意とともに言及している。

 

UMAあるいはクリプティッド、と聞いてこの分野に関心の深いだれもがすぐ思い浮かべるのは、もちろん古くはイギリスのネッシーや海洋のシーサーペント、あるいはヒマラヤのイエティや北米のビッグフット/サスカッチであり、近年ならコンゴのモケーレ・ムベンベや中南米のチュパカブラといった定番的な怪物たちだろう。

 

だが、地球というこの惑星世界はまさしく想像以上に広大で、その懐深くにはまだまだ、一般的にはほとんど知られていない、知名度の低いUMAたちがたくさん棲息しているのだ。

 

ただし、知られていないとはいっても、そのUMAが出没するという地元の住民には当然よく知られ、親しまれていると同時に正体が不明なだけに、その多くはひどく恐れられてもいる。

 

世間一般にはほとんど知られていないが、少なくとも地元でだけはだれでも知っている、そんなUMAたちを、ここでは便宜的に“ご当地UMA”とひとくくりに呼ぶことにしよう。

 

首長竜か!? エリー湖のベッシー

そんな“ご当地UMA”の筆頭としてまず取り上げるのは、英国スコットランドはネス湖の怪獣ネッシーに倣って命名されたのが見え見えの“ベッシー”または“サウスベイ・ベッシー”である。

 

大西洋を挟んでイギリスとは反対側、北米大陸のカナダとアメリカの国境にまたがる5大湖のひとつ、エリー湖に棲息するとされる湖沼怪獣で、地元の住民による目撃事件の最初の記録は、1793年にまで遡る。

 

湖畔の都市サンダスキーの北方で、帆船フェリシティ号の持ち主で船長の男性がカモ猟の最中に、「頭がヘビ状で太さ30センチはある長い首をもたげ、ボーリングピンみたいな丸っぽい体形で、全長十数メートルはありそうな灰色がかった巨大な怪物」が、湖面を静かに進んでいくのを目撃したと報告。

 

それ以後、ベッシーの目撃事件は数世紀にわたって間欠的に記録されつづけ、とりわけここ30年ほどは、本家のネッシーとは真逆に目撃頻度が増加傾向にある。これは恐らくエリー湖周辺の人口の増加と湖面の利用頻度が高くなりつつある結果と見ていいだろう。

 

目撃例の中には、怪物が湖岸に這い上がって苦しげにのたうっていたので恐れをなして逃げたが、後刻恐る恐る現場に引き返してみると、跡形もなく姿が消えていたというのもある。

ベッシーが棲息するというエリー湖。

 

ただし、ベッシーという愛称がついたのは1991年になってからで、当時の地元の博物学専門紙「クリーチャー・クロニクル」の編集記者が、第2次世界大戦後世界的に有名になったネッシーになぞらえて造語した、比較的最近の愛称だ。

 

目撃された怪物たちの体形からみて、中生代の海洋で繁栄したプレシオサウルス(首長竜)の生き残りという可能性が、未確認動物学/UMA学者の間ではいちばん有力視されている。

 

ただし、生物学的な厳密性を期すなら、プレシオサウルスは大型の水棲爬虫類で“恐竜”類ではないことは、科学マインドをお持ちの本誌愛読者のみなさんなら、とうにご承知だろう。

 

もし仮にネッシーやベッシーが文字どおり本物の恐竜なら、類似した体形のアパトサウルスやアトラントサウルスあたりの小型近縁種と考えなければならないが、可能性としてはプレシオサウルスの類よりは低いだろう。

 

アパトサウルス類は陸棲動物で水棲ではないし、食性ももっぱら植物食で、雑食性ですらなさそうだ。だが、プレシオサウルスは水中で魚類を捕食するれっきとした肉食動物だ。

 

だからこそ原住民に恐れられるご当地UMAは“人喰い恐竜”と呼ばれているのである。

「ムー」2018年11月号 特集「世界の『知られざるUMA』ファイル」より抜粋)

 

文=南山宏

 

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