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ムー
2018/11/11 20:00

【ムー・グルメの錬金術師】色と食欲」の向こう側へ! 寿司が多色化する時代

青い食べ物は食欲を減退させる。昔からよく言われているし、過去、青い米は食欲減退してダイエットになると青く染めた米が売られたり、青いサングラスが売れたりした。理屈にも合っている。青や緑はタンパク質が腐敗した色だ。

レインボーカラーのいなり寿司。これから海外展開を始めるそうだ。

 

赤い色がおいしそうに見えるのは、それが血の色で、血を流して弱っている動物を発見しやすいから、あるいは果実が熟した時の色に赤~黄の暖色系が多いから、とされる。だから緑は葉っぱの色として許容できても、青い食べ物はない、と日本人は思う。

 

色彩研究の長谷井康子らによれば、味覚と色彩の関係には、生理的な感じ方と情緒的な感じ方があるそうだ。たとえばイカ墨パスタ。真っ黒な色は汚れを想像させ、食欲を減退させる。

 

『色彩があらわす食品のおいしさへの影響』(中川裕子、仲尾玲子)では、赤、青、緑、茶、紫、黒の6種類の食用色素を使って、うどん、ごはん、ゼリー、澄まし汁を染め、それぞれどの色の食品を食べたいかをまとめている。

 

それによれば、黒は、ごはん、ゼリー、澄まし汁でもっとも食べたくない色に選ばれている。生理的には受け入れられないわけだ。しかしイカ墨パスタを食べておいしいこと、あるいはイタリアでは普通に食べられているなどの情報が入ることで、イカ墨パスタの黒はおいしい黒へと昇華する。これが情緒的な味の感じ方だ。

 

情緒的な感じ方は文化によって規定されるが、ボーダーレス化が進む現在、他国の情緒に合わせて食の色覚が変わるということが起きている。

 

日本から海外への輸出用食品の展示会で驚いたのは、七色のいなり寿司や寿司のシャリ(冷凍されており、解凍してネタを載せれば寿司というわけだ)が輸出されていたことだ。

 

「欧米の人は小さい頃から青いケーキやお菓子を食べていて、抵抗がない。パーティなんかで華やかな色になれていますから。逆に茶色のいなり寿司はおいしそうに見えない、というか食べ物に見えないらしいんですよ」(メーカー担当者)

 

たしかに欧米、中でもアメリカのお菓子はとんでもない色をしたものが多い。最近はレインボーカラーが流行っているらしく、パンやドーナツが七色に染められ、ケバケバしい。

 

「日本ではまだ人気がないですが、子どもたちは先入観がないですから。お誕生日の時なんかに使っていただいて、カラフルなお寿司にも抵抗なくなるんじゃないかと思います」(同)

 

個人的には「抵抗なくならなくていいです」と思ったが、それは私が保守的なのかもしれない。食品用色素もいろいろあり、国によって規定が違う。昨今の健康ブームから、欧米市場は天然色素しか認めないのではないかと思っていたが、天然色素だから使えないものもあるそうだ。

食用色素で染めた米のおにぎり。青色のおいしくなさそうな感じはすごい。

 

日本発といえば、カニカマが欧米で大人気。カニカマの生産、なんでも世界一はリトアニアだそうである。なぜリトアニア? 最大の消費国は中国。その中国では日本産のカニカマが売れているのだそうだ。

 

「富裕層が高くてもおいしいと日本製に戻っていますね」(同)

 

海外との交流の中で、新しい味覚や感覚が生まれていく。アメリカでドラゴンロールを食べた時のことを思い出した。海苔に酢飯、その上にマンゴー、エビフライを尻尾が出るように巻いて、チリソースを混ぜたマヨネーズをたっぷりとマンゴーソース。おいしいかマズいかといえば、微妙においしい方に傾くのが悔しかった。

 

21世紀の寿司はレインボーでマンゴーで大変なのだ。

寿司のシャリ。これが出てきても動じないのが、21世紀の国際人だ。

 

パーティ仕様。子どもはたしかに喜ぶだろう。

 

文=川口友万

 

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