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2018/11/19 15:15

アニメ映画『GODZILLA 星を喰う者』が公開中!「アニゴジ」で瀬下寛之監督が伝えたかったこととは!?

ゴジラ映画史上初の3DCGアニメーション映画となる『GODZILLA』(通称:アニゴジ)。「アニゴジ」は二万年もの間、地球に君臨し続けてきた<ゴジラ>と絶滅の縁に追い詰められながらもそれに抗う「人類」の物語で、全三部作で描かれる。2017年11月に第一章『GODZILLA 怪獣惑星』、2018年5月に第二章『決戦機動増殖都市』が公開され、2018年11月9日より完結編となる第三章『GODZILLA 星を喰う者』が公開となった。

今回は静野孔文氏とともに本作で監督を務めた瀬下寛之氏にインタビュー。「アニゴジ」で伝えたかったこと、そしていまの満足度などについて赤裸々にお話いただいた。

 

 

――最終章にて「アニゴジ」が完結しました。いまの率直なお気持ちをお聞かせください。

企画段階からおよそ4年余りもかかったので、僕も静野監督も、脚本を担当された虚淵(玄)さんも、完成そのものに感無量です。ただ個人的には終わる事への寂しさも感じています。「アニゴジ」は映画以外にも、とてつもなく濃い内容の前日譚小説が2巻出ていて、スピンオフや後日談が相当量作れるほどに世界観が膨らみました。実際、僕の脳内妄想では勝手に色々な物語を考えてます(笑)。そのくらい愛着が湧いた作品になりました。

――完結したものの、まだまだやりたいことはいっぱいある?

たくさんあります。

――では結末までは当初から思い描いていた通りのものになった?

骨格に関してはストーリーの原案時点から変わっていませんが、肉付けの部分は紆余曲折しました。三部作を振り返ると、結果的に良い・悪いという意味ではなく、物語の選択肢がまだあったように感じています。今でも静野さんと「こういう方向性もあるよね」という話をよくするんですよ。

――例えばどのような選択肢があったと思っていますか?

本作は、主人公のハルオに、常にカメラが付いていくという大方針で構成しています。ただ、実にさまざまなキャラクターが登場し、それぞれの思惑・思想が複雑に入り組む話でもありますので、キャラクターの登場頻度や構成についてはずっと悩みました。もちろん今のバランスになった事には明確な理由がありますが、選択肢は無数にあったと思います。

――なるほど。今回はゴジラVSギドラの戦いが描かれていますが、一方でハルオとメトフィエスの対峙についても色濃く描かれています。この二人が敵対することも原案通りでしたか?

構想通りではあります。ただ、「敵対」という言葉が妥当なのかは難しいところです。今回は人間、フツア、エクシフ、ビルサルドという4つの人型種族が出てきて、そのすべての種族に悪は存在しません。むしろ純粋な正義があり、誠意を尽くしていて、ゴジラをどうすべきかみんなが真剣に考えてます。本作は悪や敵という存在をはっきりとは明示していない物語だといえます。メトフィエスもハルオへの深い愛情をもって、誠実に行動しただけですから。

――第一章・第二章でもその節はありました。

そうですね。全編通じてメトフィエスのハルオに対する愛情は一貫していると思います。また、ハルオへの愛情をもって誠意ある行動をしたのはメトフィエスだけではありません。第二章でのビルサルドたちもそうです。

――どの視点からでもハルオが核にいるんですね。

まさに主人公ですから。ある種、古典的な英雄像だと思います。ただ、ハルオは狂気と英雄の狭間にいつもいて、少しでもずれると狂気が強調されてしまう危うい存在です。だから演出上の扱い方も大変でした。今では、ハルオが一番好きなキャラクター、放っておけない存在になりました。

――手のかかる子ほど……。

そうですね(笑)。ハルオに関しては前回のインタビューでもお話しましたが、演じていらっしゃる宮野真守さんのお芝居に助けられました。狂気と英雄の狭間にいる存在を最終章まで貫き通せたのは宮野さんのおかげです。その他のキャラクターに関しても、声優陣のお芝居によって肉付けしたケースが多々あります。本作は声優さんのお芝居によって支えられました。

――中でも肉付けしたと思うキャラクターは?

予想以上の存在感になったのは杉田智和さんが演じられている好奇心旺盛な環境生物学者のマーティンです。主役を食うギリギリまで登場してくれています。大活躍ですよ。

――それほどまでに!

最終章では特に重要人物です。またマーティンの台頭によって彼の部下も重要な役割を担う存在として浮上していきました。

――マーティンはメトフィエスのようにハルオに対して愛情を持っている?

ガルグやベルべ、メトフィエスのようにハルオに対して個人的な愛情を持っているキャラクターではないですね。ガルグもメトフィエスも実はとても個人的な感情でハルオに接していますが、マーティンは実に客観的にハルオと接しています。そういう意味で、マーティンは本作で語り部として物語全体のバランスを調整する役割を担ったキャラクターでした。

――俯瞰して状況を見る立場?

そうですね。また、「アニゴジ」の複雑な世界観と観客の間に立ってくれたのもマーティンだったと思います。

――ここまでキャラクターのことを中心にうかがってきましたが、ギドラが登場するのも最終章のポイントだと思います。ギドラのデザインのアイデアはどのように出されましたか?

オリジナルのギドラの印象を残しながらも、どこまで大胆にデザインできるのか?「アニゴジ」独自の世界観の中でどのような存在にすべきか?などを意識しつつ、高次元怪獣で実体がない存在はどうか、という話になりました。

――ゴジラとギドラの戦いは見どころのひとつですよね。

そうですね。ただ、「アニゴジ」はハルオの運命や意思をドラマの主軸に置いています。ゴジラとギドラの戦いもハルオの内的な葛藤の象徴といっても過言ではありません。だからゴジラとギドラの戦いが盛り上がり過ぎて、ハルオの存在が食われてしまう事を極力避けました。

――終盤のハルオの行動を理解できない人もいる。

いらっしゃるでしょうね。本作を観終わったとき、絶句し、モヤモヤとした感情が残り続ける方が。「ハルオ…どうして…」と、棘が心に刺さってしばらく取れないかもしれません。僕や静野さんが原案を読んだ時点に感じた印象も同じなんです。

――そうなんですか!

そうですね。実際、論理的に言えばビルサルドやエクシフの考え方や行動のほうが正しくはあるんです。「ゴジラを倒す」という事においてはです。二章で、あのままゴジラを倒していたほうがよかったのかもしれない、とたまに思います(笑)。

――ガルグの言うことを聞いておけばゴジラを倒せたかもしれませんからね。

第二章でのガルグの演説、よく聞けば、いいこと言ってます。あの場面はそう思ってもらえるように意図しました。ただ、人間ってやっぱりどこまでいっても感情で動く生き物なんですね。感情が人生を決めているといっても過言ではありません。特にハルオは高い知能がありますが、すごく感情的なキャラクターです。だからこそ葛藤が劇的です。

――なるほど。

ハルオの葛藤は意外と身近にある気がします。ゴジラに対する憎しみってハルオの内側から生まれたものなのか、どうか?です。例えば「おいしいケーキ」はインターネットでのランキングが上だったから、そう思っただけかもしれない。ハルオはゴジラと「戦いたい」のではなく、あの時、空港で落とした花の御守りを拾いたかっただけなのかもしれません。つまりは両親に会いたかっただけかも、と。

――物語の核心に迫る部分までお話いただきありがとうございます。最後に「アニゴジ」を通じてズバリ伝えたかったテーマを教えてください。

一言でいうのは難しいですが、ハルオがミアナに対して尋ねる「憎いか? ゴジラのことが…」と、それに対するミアナの答えが、とても大事な事かと。

 

 

≪作品概要≫
『GODZILLA 星を喰う者』
全国公開中

■スタッフ
監督/静野孔文・瀬下寛之
ストーリー原案・脚本/虚淵玄(ニトロプラス)
製作/東宝
制作/ポリゴン・ピクチュアズ
配給/東宝映像事業部

 

マイナ役・上田麗奈さんのインタビュー記事はこちら→
https://cho-animedia.jp/movie/65528/

 

映画公式サイト
godzilla-anime.com

映画公式twitter
@GODZILLA_ANIME

 

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