エンタメ
2016/7/16 10:00

“カワイイ”のは日本だけ!? LINEがヨーロッパで受け入れられない4つの理由

昨今、東京証券取引所とニューヨーク証券取引所上場が話題となっているLINEは、可愛らしいキャラクタースタンプが人気を博すとともに、大切な収入源になっているとされています。ところが、ある記事によると、まさにその“かわいさ”がネックとなって欧州進出に苦戦を強いられているとのこと。(参照記事:LINE海外展開、日本で受ける「かわいい」は無力)日本の“かわいい”文化は本当に欧州進出の障壁となるのでしょうか? 他の懸念事項とともに考察していきたいと思います。

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■「可愛さ=幼さ」を敬遠するヨーロッパ

確かにヨーロッパに住んでいると、こちらの人々は可愛いらしいものにはあまり興味を示さない傾向が見て取れます。例えば、ハートやリボンモチーフのあしらわれた文房具にアクセサリー、ピンク系の財布や鞄にリップスティック、キラキラのラメやラインストーンで飾り立てられた手鏡やネイル等々。これら日本女性を虜にするようなガーリーなグッズの数々も、ヨーロッパに持ち込んだら見向きもされなかった…という話はよく聞くこと。というのも、ヨーロッパでは成熟した大人であることが善しとされているため、幼さと表裏一体である“可愛いもの”はとかく敬遠されがちであるからなのです。

 

■キャラクター物への免疫度と価値観の差

手塚治虫の登場以来、アニメやマンガ文化が牽引してきたともいえる日本。イラスト入りの自衛官募集ポスターや各都道府県公式のゆるキャラの存在、ハローキティやスヌーピーの付いた銀行の預金通帳とクレジットカード、果てには年配のビジネスマンでさえ着用しているキャラクターもののスマホケース。日本社会の隅々まで浸透しているキャラクター文化ですが、これはヨーロッパからすれば少し異様な風景。

 

こちらではキャラクターグッズを使用するのは一般的に小学生までと考える人が多く、成人してもそのような持ち物を保持していれば、周りに大人として対等に扱ってもらえない可能性も生じかねません。加えて、広告などに2次元のキャラクターものを用いると、日本では「可愛い」「仄々する」といった好意的反応が期待されますが、ヨーロッパでは「撮影をする予算がなく、絵を描いて済ませたのだろう」「安上り」「子供騙し」とのネガティブな印象が前面に出てしまう様子。

 

■コストコンシャスで機能性に重きを置く気質

欧州人は吝嗇が多いとの噂も少しずつ広まっているようですが、彼らがこまごまとした出費にシビアであるのは事実。例えば広々とした住まいやインテリア調度には多額の出費を惜しみませんが、洗練されたデザインの日用品や小物類、お土産品など、なくても困らないものに対しては財布の紐が固くなるように思われます。携帯電話にしても、有料着信音や有料ゲームをダウンロードしている人の割合は日本に比べて劣る印象。この現象はヨーロッパ内でも特に質実剛健として知られるゲルマン圏において顕著であり、暮らしにおける必需品以外にはあまり不必要な出費を歓迎しない堅実な気質が見て取れます。

 

■スタンプの必然性がないローコンテクスト文化

日本人は相手の気持ちを非常に忖度するとともに、言外の意思疎通にも長けた国民性。そして、感情表現も直接的というよりは曖昧さを残したものが少なくありません。しかしヨーロッパは多民族によって成り立つため、発言が比較的ストレートなローコンテクスト文化であり、日本人のように行間を読みこむ必然性もそう多くはありません。つまり、LINEにおいて固い文章を和らげて見せたり、心情ニュアンスを絶妙にフォローしてくれるスタンプは、ハイコンテクスト文化の日本でこそ有り難がれらるものの、ヨーロッパでは必ずしも不可欠な存在ではないと言えるでしょう。

 

ここまで4つの懸念ポイントを挙げたように、LINEの欧州進出はシビアな状況にも見えます。とはいえ、ヨーロッパで人気のWhat’s Appやフェイスブック・メッセンジャーでは、返信代わりに絵文字を用いる人が少なくないのも事実。つまり、ヨーロピアンの心を掴むようなクールな見た目で、便利なシチュエーションに対応できるスタンプを各現地語で制作し、尚且つ無料で大量にばら撒けば、ヨーロッパでLINEが広まる可能性も無きにしも非ずなのではないでしょうか。いずれにせよ、個人的には日本初のアプリがうまくローカライズし、ヨーロッパ市場を席巻してくれることを心待ちにしています!

 

【著者プロフィール】

ライジンガー 真樹

All About「オーストリア」ガイド、ダイアモンド社 地球の歩き方「ウィーン特派員」。 ウィーン移住をきっかけに、オーストリアの歴史・文化・グルメなどの魅力を日本の人々にも伝えたいと願い、CA乗務の傍ら旅行の知識吸収に努め、日本人観光客の現地ガイドやコーディネーター、通訳としての仕事を開始。現在はモード業界に在籍しつつ、初心者向けの王道旅行プランをはじめ、隠れ家的存在やローカルに人気のディープスポットまで、幅広いオーストリアの紹介に勤しむ。 かつて客室乗務員としてオン・オフ問わずがむしゃらにこなした豊富な旅行経験から、旅行者の視点でオーストリアの魅力をくまなく紹介します。