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2016/7/16 14:00

「女性0円」はむしろ損!? 相席居酒屋で男が女のルックスを全否定する理不尽

出会いの場としての「相席居酒屋」はすっかり市民権を得たようで、東京では繁華街を歩くと、頻繁に相席◯◯の看板を見かけます。相席居酒屋や相席できるお店のポータルサイト「相席ナビ」に登録されている飲食店も、東京では245店。都市部ほど多く、地方では1ケタ、2ケタの店舗しかないところがほとんどですが、なぜか熊本は106店も登録されていて興味深いです。

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女性向けニュースサイトにもよく「相席居酒屋行ってきました!」的体験レポが掲載されていますが、そこで“出会い”につながった記事は、ついぞ見かけない気がします。「話が盛り上がって楽しかった」という程度はあるのですが、「彼氏・彼女ができました!」というレポは読んだことがない……。恋人を見つけたという成功体験はとても個人的なものでヘタするとただの自慢話になるけれど、失敗談はある種の教訓を得られるものとして、公共性があると判断されているのでしょうか。

 

■「モンスターに会った男」の相席居酒屋体験記

そんななか、「相席居酒屋」でモンスターに遭遇した男性の体験談が話題になっています。

 

片方は身長170センチぐらいの筋骨隆々とした体型の、顔も女子と思えないレベルのオーク系女子。もう片方はガリガリで細身、目が大きくて鼻が高いゴブリン系女子という、魔物の群れだったんです…ここはモンスターハウスですか? と店員に聞きたくなりましたよ。

 

しかも魔物の群れは私たちに目もくれずにハイボールとからあげやポテトを注文し、たいした会話もせずにガツガツと餌をむさぼり始めて…。もうこの時点でビーストテイマーにジョブチェンジした気分ですよ。

 

相席居酒屋デビューまでの、期待値が高いがゆえのハイテンション状態に超クールな冷水を浴びせられたわけですね。モンスターに遭遇しただの、つまみがクソマズイだの、行間から恨みがビシビシ伝わってきます。おそらくは自身もルックスに恵まれず、コミュニケーション力もなく、恋愛経験もない(生まれて一回も彼女ができたことがなく、小学校以来女子と会話したことすらないそう)ことを棚に上げて、言いたい放題です。

 

人が人を罵るとき、特にルックスを貶めるとき、なぜこうも急に表現力がアップするのでしょう。この彼が前にしたのが超絶美人だったとき、語彙を尽くしてその美貌を称えることができるのかどうかは、甚だ疑問です。悪口だけ活き活きと表現できる人って悲しいですね。

 

■ルックスで人を全否定する悪意

「人を見かけで判断するなんて」というキレイ事をいうつもりはありません。厚生労働省による「結婚と出産に関する全国調査 独身者調査の結果概要」によると、独身男女が「結婚相手の条件として考慮・重視するポイント」において、男性で「容姿を重視する」派は22.9%、「容姿を考慮する」派は59.5%。合わせると8割が女性の容姿を無視できないものとしています。一方、女性は、「容姿を重視する」派が15.6%、「容姿を考慮する」派は61.5%。合わせて7.7割……あまり変わらないですね。

 

相席居酒屋=結婚相手探しではありませんし、この「重視する/考慮する」も「超のつく美人/美男じゃなきゃイヤだ」という意味ではないですが、やはり出会いの場においてルックスは重要なのだとわかります。たしかに、好みの人と出会えるのは単純にうれしいことでもあります。

 

しかし、好みのルックスを求めるのと、先述の記事のように人の外見でもってその人の人格まで否定してモンスター呼ばわりするのは、別問題。それは、ルッキズムであり差別です。「好みの女性と出会えるかも!」と勇んで行った相席居酒屋で「思ってたんと違う……」となったのは、彼の問題です。何ら責任のないはずの女性たちに八つ当たりしているだけです。

 

■「女性0円」は、女性にとってお得ではない

ルッキズムに遭遇するのは、たいへん不愉快です。人を品定めすること自体が上品な行為とはいえませんし、それに対しては、私の容姿は私自身のものであって、あなたのためのものではない、と毅然とした態度で臨みたいところですが、何しろ相席居酒屋というところは、男性が多くを払い、女性はそれと比べると圧倒的にお安いお値段(0円のところも多い)という料金システムのところがほとんどです。これでは立場に優劣ができるのは当然のこと。「お金を出しているほうに選ぶ権利がある」「品定めできる」という構図になります。

 

ある女性の相席居酒屋体験記事では、「キャバ嬢になった気持ちで、相手を必死で盛り上げた」とレポートされていました。日本では男女間の賃金格差が大きく、男性の平均賃金水準を10としたとき、女性のそれは7程度なので、「男性が多く払う」システムも一理あるのですが、それでも、上から品定めされることなく、男女関わらずその場に居合わせで面々による共同作業によって場が盛り上がる……という相席居酒屋であれば、女性にとっても男性と同額払うメリットはあるのではないでしょうか。男女共同参画的相席居酒屋のほうが、絶対に楽しいはず!

 

【著者プロフィール】

三浦ゆえ

フリー編集&ライター。富山県出身。複数の出版社に勤務し、2009年にフリーに転身。女性の性と生をテーマに編集、執筆活動を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』シリーズをはじめ、『失職女子。~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで~』『私、いつまで産めますか?~卵子のプロと考えるウミドキと凍結保存~』(WAVE出版)などの編集協力を担当。著書に『セックスペディアー平成女子性欲事典ー』(文藝春秋)がある。

三浦ゆえのtwitter:https://twitter.com/MiuraYue

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