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2016/11/27 14:00

祝・イエモン紅白出場! 吉井和哉率いるオヤジ4人が放つ、50にしてなお衰えぬ男の色気のワケ

90年代、日本を席巻したグラムロックバンド、THE YELLOW MONKEY(イエモン)が解散以来空白の15年を経て、再集結しました。「再集結ライブ」と称された全国アリーナツアーはソールドアウト。皮切りとなった国立代々木競技場第一体育館でのファーストライブはネットやパブリックヴィジョンでも生中継され、最年長53歳から49歳までのアラフィフオヤジたち4人が、かつてと同じ削ぎ落とされた体のシルエットでステージに現れて音を放った瞬間、日本中のファンが「おかえりーーーーー!!」と泣き出したという逸話つきです。

画像出典:THE YELLOW MONKEY | ザ・イエロー・モンキー オフィシャルサイトより
画像出典:THE YELLOW MONKEY | ザ・イエロー・モンキー オフィシャルサイトより

 

いま30代、40代の読者には、90年代をイエモンと過ごしたという方も多いのでは。吉井和哉が歌い上げる、妖しくうねるような、どこかロックの中に歌謡曲を想起させる切ないメロディーと歌詞に、当時「生かされた」「生かしてもらった」ファンもたくさんいるでしょう。一曲一曲に、まざまざと思い出す光景や人や思いや匂いがあるでしょう。

 

ただ、彼らはあの頃のまま帰ってきたのではありませんでした。活動の空白は15年に及び、当時ファンが身悶えするようなセクシーさを放つ30代だった彼らは、人生のあれこれを十分に経てアラフィフの家庭持ちミュージシャンとなり、ファンの前に立ったのです。

 

■「みんなが元気なうちにやらなきゃと思った」

全国アリーナツアーは、全25公演。妖しく激しいステージングや会場全体が揺れるアンセム的な楽曲を歌い上げるのを得意とするイエモンにとって、ライブは一回一回が「一期一会」的な重要性を持ち、激しく消耗します。50歳の彼らにとって、アリーナ規模の大きなライブを、全国を転々として「ぶちかまし続ける」のは、決して容易ではありません。

 

しかも、久しぶりの4人での活動は、本人たちに空白期間の長さをあらためて思い出させるものでもあったとか。リハーサルでは「入り」のタイミングを逃し、コードを忘れ、歌詞も飛ぶ。体力は明らかに落ち、維持や調整のための努力が欠かせない。ヘビースモーカーだった全員がタバコをやめたのだとか。「その辺との戦いですね」、ボーカルの吉井和哉はドキュメンタリー番組『情熱大陸』で語りました。「みんな元気なうちにやらなきゃな、って」

 

吉井和哉がイエモンの再結成を心に決めたのは、2013年のザ・ローリング・ストーンズ結成50周年のライブを見たときだったのそう。「ストーンズのステージ上に、金で買えないような黄金の塊みたいなものが見えたような気がしたの。その人たちが演奏するだけで、こんなに人々が集まって熱狂してるのを見て、バンドって宝だな」(『イエモン、再集結を決意させたローリング・ストーンズの存在』

 

■その色気は「自分たちが一番得意なことをいま再びやれている」自信から立ち昇る

「日本一の色気を持つ大人バンド」との呼び名で、イエモンのカムバックを喜ぶかつてのファンたち。「あらためてカッコいい」「以前よりいや増すセクシーさ」と、彼らの50歳にして放たれる色気に驚く人も少なくありません。確かに解散前もねっとりとした色気が身上でしたが、いま彼らが纏う色気とはもっと穏やかで、余裕があって、しかもグレードアップした別物。その色気は、どこから来るのでしょう?

 

先ほど引用した記事では、こうも書かれています。

”吉井は、ストーンズを見た時に世界で平均年齢70歳以上の4人がこれ以上輝けるものが、他にスポーツでも何かあるのかというと、バンドしかないと感じたという。”

 

彼らは、再び自分たちが輝けるものを取り戻したのです。かつて頂点を極めたからこそ、その「感じ」は体と心が覚えている。挫折や葛藤はもちろんあったけれど、解散から15年の時間が経過する間に、4人のメンバー全員に準備がととのっていたのでしょう。自分たちが一番得意で一番気持ちいことを、もう一度あの時の仲間に持ちかけて、全員が快く受け入れる絶妙のタイミングを、全員がちょうど掴んだのです。

 

いまの4人は、まるで仲良しの中学生男子のよう。いまさらカッコつけるでも背伸びするでもなく、エロで頭がいっぱい、音楽で頭がいっぱい、といった感じで、それが「アラフィフの余裕」なのでしょう。

 

最近、私は思うのです。40代や50代で、見た瞬間に「かっ……こいい……!(過呼吸)」「わーなんだこの色気! やばい、一度因数分解のことを考えて落ち着くんだ」なんて思わされる男女は、確実に自分たちの最も得意なことを最も得意な形でやれている人たち。その状況にあること、その状況を手にしていること、両方の自信から立ち昇るのが、周りの人を酔わせるような色気なのですよね。背伸びなんかね、もうしなくていいんですよ、いまさら。そのイエモンが、年末の紅白に出場を決めました。

 

NHKとしては20年来の思いをようやく結実、といったところですが、それもつまるところ「もうカッコつけない」「いまが一番楽しい」「好きなことをやらせてもらえる、多くの人に届けられる巡り合わせに感謝する」という成熟した彼らのスタンスゆえなのかも。年末ロックフェスのCOUNT DOWN JAPANに出演しているため、紅白へは幕張メッセからの中継出演となるかもしれないそうですが、彼らがのびのびとプレイする様子が日本中のお茶の間に届き、日本にもこんなカッコいい中年バンドが存在し得るのだと知らしめて欲しいですね。

 

やっぱりねぇ、悔しいけれど、熟した男はとにかくカッコいいですよ。それにしてもあの吉井和哉が夫だなんて、眞鍋かをりは幸せ者よ! きぃ!

 

【著者プロフィール】

河崎 環

1973年京都生まれ神奈川育ち。慶應義塾大学総合政策学部卒。予備校・学習塾での指導経験を経て、教育・子育て、政治経済、時事問題、女性活躍、デザインなど多岐に渡る分野でのコラム執筆歴16年。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。ウェブ連載中から大人の女たちを泣かせた大人気エッセイ本『女子の生き様は顔に出る』(プレジデント社)は、11月30日発売。同じ40代の男性論客たちを向こうに回す著書刊行トークイベント(12月15日@下北沢)のお知らせはこちら

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