ファッション
2018/9/28 17:00

なぜいま東京に?大阪老舗セレクトショップ・ZABOUの東京出店に迫る

1997年6月、大阪は南船場にオープンしたZABOU。「紳士をつくる」をメインコンセプトに、米国・英国ブランドからデッドストックまで幅広いセレクトを行うショップ。

そんな老舗セレクトショップがおよそ20年の時を経て、2018年4月に東京は渋谷・神南に出店した。そのことを嗅ぎつけたファンからは、SNSを介して「待ってました」や「やっとですね」といったコメントが寄せられ、東京出店を祝福する姿も記憶が見られた。

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20年以上もお店を続けていれば、おのずとファンはついてくると軽視されそうだが、ここまでファンに愛されているお店はそう見つからない。そしてなにより、お店を20年続けることじたい難しいことだ。そこには小さな変化とそれに応じた努力を重ねているに違いない。

なぜZABOUはここまでファンに愛され続けているのか。そして、なぜいま東京出店をしたのか。大阪ZABOU誕生の経緯から、オーナーの谷川さんに聞いてきた。

古着が原点だった

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オーナー・谷川 明良さん
48歳。A型。店頭でお客さんとお話させていただくことが何よりも大好きなおっさん。生涯現役を貫く所存。

 

—まずは、大阪ZABOUができた経緯から教えてください。

元々は某セレクトショップさんでアルバイトしていたときの仲間と一緒にショップやろうぜって話をしていたんですけど、その夢は叶わず。それで、その仲間のひとりが原宿の某有名古着屋さんのアメリカ出張所に住み込みで働くことになって、一度遊びに行ったんですよ。まぁそれが衝撃的で。

—なにが衝撃的だったんでしょうか?

そこの社長さんが朝サーフィンして、お昼から夕方頃は古着の仕事をして、夜はバーベキューみたいな生活をしていて、それがとにかく衝撃的だったんです。それで俺もこういう生活したいなと思って。沸々とやりたいと思ったことを、ちょっとずつ実行に移していったのがスタートですね。

—そこからどのようにしてZABOUが始まったのでしょうか?

最初はもう資本も何もないので、古着屋の友達にTシャツやら何やらを5,600枚貰ったんですよね。そのついでにこういうところで買えばいいよっとかを教えてもらって。当時はナイキのスニーカーが大ブームやったので、アウトレットに行こかっていって、スニーカー調べて買ってみたいな。まぁお店はいきなり持てなかったんで、当時はフリーマーケットで。最初はほんま右も左もわからないので、苦労しつつでしたね。

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ZABOU大阪・店内

—古着が原点だったんですね。そこから今現在の南船場にショップに置いたのは?

最初は僕の住んでいたところから近い、目抜き通りで人通りもすごい天王寺にしようと思っていたんですね。ほぼそこに借りる段取りもついていたんですけど、最後の面接で具合が悪かったのか、ちょっと落とされちゃってね(笑)。それで「次は船場やろ」っていう話になって、人通りはまばらやったんですけど、行ってみたらけっこう雰囲気がよかったんですよね。それでなんとなくここがいいなと。

—直観的な何かが働いた感じですね。当時の南船場はどんな感じだったんですか?

当時は通りによって区分されていたんですね。ここはクスリ屋さんの通りとか、ここは車屋さんの通りみたいに。それで僕たちの通りはマンションメーカーさんが多いところだったんですね。そこでは小売りなんてしないだろうっていうところだったんですけど、エビスジーンズの山根さんがすでに南船場で店をやっていたんです。もちろん、山根さん以外にも飽き足りないほどのアメリカ村の人たちとか、ヨーロッパ村にも間尺じゃないなって人たちが船場に集まってきて、かっこいいことをやり始めてたところやったんで、僕たちもそこに参入した感じ。まだ先分からないけど、いいかもねって。

—お店を開いた当初はもちろんお客さんゼロからだったと思うのですが、だんだんとお客さんが増えてきたなと感じ始めたのはいつ頃からだったんですか?

当時は、南船場が脚光を浴びていたんですね。うちのお隣のレディースのお店さんがすごく有名で、人がひっきりなしに来る店やったんですよ。そっちが火ついたものだから、僕たちのところにも、ちょっとだけ覗いてくださるみたいな。最初はおこぼれちょうだいしたみたいな感じだった。そこから、新しいもの好きとか好奇心のある連中がちょこちょこきてくださるようになって増えてきた感じですね。

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あとは、当時「MEETS」っていう雑誌が関西にはあって、そこの編集部の方たちがすごく可愛がってくださった人でして。「ちょっとモデルになってくれへん」って言われて、その雑誌のモデルとして何回か使っていただいて。その影響で僕のお店にいろんな方が、足を運んでくださるようになったりとかして。

—いまみたいにネットやSNSが発展していない分、知名度を広げていくのは大変だったと思います。

雑誌は神でしたよ。あとは口コミ力かな。来て下さるお客さんにもただただお願いして、「お友達紹介してください」みたいなね。人づて人づてをどんどんやりました。

—古着からスタートして、お店を開きました。そして、現在のように新品を取り扱う形になったきっかけは何だったのでしょうか?

当時はヨーロッパの流れが来ていたんで、アメリカ国内だけでなく、ヨーロッパにもけっこう足を運んだんですね。それで、掘れば掘るほど深みにハマっていく反面、僕たちが追い求めていた古着がだんだんと枯渇してきたんですね。元々、靴だけは新品を仕入れていたのですが、それでも先行きがちょっと明るくないなっていう感じだったので、思い切ってやってみようと。アメリカで新品の服を買っていたら、それがことのほか反応良かったので、だんだんと新品の比率が増えてきて、最終的には古着は今はほぼ扱っていない状況ですね。

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イイ人が増えれば犯罪が減る、小さな社会貢献はしないと

—ZABOUさんのコンセプトである「紳士をつくる」は、それこそ古着を扱っていたときにはなかったものだと思うのですが、どのタイミングでなぜこのコンセプトを立てたのでしょうか?

やっぱりなにかミッションを掲げないといけないなと思いましたね。何もなしにただ万遍なくやっても、どうしても初心を忘れてしまうので、自分がなりたい将来的な映像みたいなものを反映させた。「やっぱ将来はかっこいいおっちゃんになりたいよな」っていうのがあるんで。

—古着を取り扱っているときから、このコンセプトは掲げていたんですね。

まぁぼんやりはしてましたね。でも食うのが必死だったんですね。なかなかそこまでは。

—一般認識としてある紳士と、ZABOUが捉える紳士とでは違いがあるように思います。

そうですね。服を通じて、いい気分になってもらいたいっていうのがありますよね。着るものをしっかり着ていたら、人からも認めてもらえますし、結局は第一印象がすごく大事なんでね。衣食足りて礼節を知るじゃないけど、そういうところからの発想ですね。でっかいこと言いすぎると、やっぱりイイ人が増えると犯罪も少なくなると思うんですよね。会社やっていると、小さい社会貢献をやっていかないといけないと思っているんで。

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“ZABOUの魅力のひとつが、メディア化されたこのブログ。読者の知りたい情報を端的にまとめた内容は、編集部視点から見ても、とにかくタメになる。時代に合わせ、惜しむことなく小さな変化をし続けた結晶だ”

—そういう意味での「紳士をつくる」。ブログといい、気取らないスタイルといい、ZABOUさんは他のショップの在り方と違うなと思います。

あまり他者を意識せずに、思うがままにやっています。僕自身、他のサイトを見ないんで、余計そうかもしんないですね。スタッフにいろいろ見ておけよなんて言ってますけどね(笑)。でも、どこのお店さんもそうだとは思うんですけど、僕たちのような小さなお店に求められるものは、コミュニケーションだと思うんですよね。お目当てのものを買いにくるだけの方もいらっしゃるんですけど、やっぱり醍醐味はそこの店員と話をすることだと思うんです。

—何時間もいれるお店っていうのですね。

そうそう。そういう方が減ったんでね、できるだけ残したいな思っている。いうならば、それしか売るもんがないんでね(笑)。

憧れの人の背中をずっと追い続けている

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—東京に進出した理由はやっぱり東京のファンに応えるためだったんですかね?

東京のファンというよりかは、大阪にお住まいだった方が東京とか関東方面にいらっしゃっていて、そのまま転勤になっちゃったとか、帰省のたびに帰ってこられるとかあって。その人の周辺の人たちを巻き込んで、来店してくれる。それと時代の流れですよね。インターネットが爆発的に普及して、僕たちもホームページを持つことで、段々拡がっていったとか。ネットショップのお客さんとかやっぱり来て下さるようになったとか。

—では、東京に出店の大きな要因は何だったのでしょうか?

冒頭で話した有名な原宿の古着屋の店員さんが、最初にやっていたお店が大阪ではなく、東京だったんですね。「なんで東京なんですか」って聞いたんですけど、「それはなんでもやるんやったら東京やで」って言うて、その発想が新鮮だった。その人の背中をずっと追い続けているっていう感じやったし。いまは雲の上の存在になってしまっているけどね。

—なぜ渋谷にお店を構えようと思ったのでしょうか?

実は元々中目黒でやりたいと思っていたんです。でもやるんだったらリゾルトは残したいと思っていたんですけど、バッティングの問題でNG。それで場所難民になっていたところに、ここがポッとみつかったんですよね。ここを見つけた時はとんとん拍子で進んで。今回内装を手掛けていただいたレアジェムさんにもいろいろアドバイスをいただいたりとかして。

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—内装にこだわったところはありますか?

オールおまかせでいったんですよ。強いていうならば、「僕たちはアメリカのものや英国のものを置いてます」とお伝えしましたね。そしたら、その匂いのする感じの内装に。大阪と同じ匂いにしようみたいなのも別に考えてなかったですね。

—多くを語らずというスタイルですね。

そうですね。ただまぁ常に変えていかないといけないなと思ってますから。「変わらないために変わり続ける」という言葉のように僕たちは服屋なんで、飽きたら変えていかなきゃなっていうのは正直ありますね。

—その時代に合わせて、もしかしたらセレクトブランドも変わってしまうかもしれないと。

うん、もしかしたら揚げドーナツ屋になってるかもしれないよね(笑)。

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反応の良さに感動しています

—東京にお店を構えてある程度月日が経ちましたが、東京と大阪の違いは感じますか。例えば、来る人に焦点を当てるといかがでしょうか?

東京に来てこちらの人たちの反応の良さにすごく感動はしています。首都ということもあって、みなさんのポテンシャルみたいなのが高いと思うんですよね。お客さんにお声がけさせてもらったら、必ずいいお返事してもらえるというか、買わないにしても、「ありがとうございます」とか「そうなんだ」とか、すごく反応がいいなと。

—街としてはどうでしょうか?渋谷と南船場。

人の数が違いますね。心斎橋もさすがには多いんですけど、こっちの比じゃないですね。渋谷はパワーと活気があります。

—セレクトブランドの違いはあるんですか?

今は大阪と東京で同じラインナップでやらせて貰っています。大阪のほうが物量でいうと倍ぐらいあるので、全部持ってこれないのでそこからセレクトしていますね。

—セレクトのセレクトですね。

関西系のブランドをもっと持ってきたかったんですけど、いまのところ反応がないので少しずつ時間かけて。やっぱりメジャーなブランドで、安心感のあるものを求める方が今のところは多いと思いますので。

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—メジャーなブランドでお店を知ってもらいつつ、その一環で関西のブランドを知ってもらうと。

まぁその前に僕たちのことをやっぱり知ってもらう必要がありますよね。誰だかわからないやつからいくら言われてもダメ。まずは「何年やってんの」とかそういうところから入っていかないといけない気がしますね。

—ブランドを知らなくても、スタッフの提案でお客さんを説得・納得させることが大事ですね。

そう。今は接客業じゃなくて、説得業になってますからね。

—お客さんの年齢層はどうですか?やっぱりサラリーマンが多いですかね。

そんなこともないですね。元々幅広い年齢層を取り込みたいっていう風に思っていますし、そこはこだわらずにやってますね。でも大阪は30~40代が多いんですけど、こちらはスタートしたばかりなので、幅広い年齢層の方に来ていただけてます。それに、スタッフが今のところ20代に任せているんで、その子らがお客さんを作っていく感じになっているので、これからどのようなお客さんが来られるかはまだ分からないですね。

—10代の方が来てるんですね。

嬉しい傾向ですよね。僕らの世代では意味なく大学をさぼってウロウロして、日がなくここでしゃべって帰るみたいなのがたくさんいたんですけどね。そういう方が減ってきているんで、この傾向は本当に嬉しいです。

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それで彼らが親父になって、ずっと来店してくれるのが僕らにとっては財産なんですよね。今来てくださっている10代の子たちが、若いスタッフと親しくなってここで30年、40年が経ったときに親父になって子供を連れて、また来るみたいなストーリーをここでも築いていきたいなと思いますね。

—最後に、ZABOUの今後を教えてください。

イイ人をたくさん作って社会をよくしていけるようにする。あと僕たちはスタッフが増えてきているので、彼らが結婚して家買って、毎日楽しく、働けるような環境作りもしていかなくちゃいけない。CSといってお客さんを喜ばせるのはもちろんですけど、ESといってスタッフも喜ばせていかないといけないのでね。そのためにお金を稼ぎ続けるっていうのが大事で、それもせっかくなら楽しく稼ぎ続けることが大事。この仕事を選んでもらったんやから、「おもしろおかしくやっていこうぜ」っていうのは今後も変わらずやっていこうと思います。

—最後と言いましたが、なにかお客さんに一言を。

同じ趣味やから、お互いに楽しみたいですね。それは変わらないかな。服着て、テンション上がるように一緒になりましょうっていうか。気分よかったら、かわいいおねぇちゃん寄ってくるから(笑)。

でも、うちはたくさんある中の選択肢のひとつなんでね。今日どこいく?服買いに行く!ってなったときに5本の指に入るお店になりたいよねって。別に一番初めに言ってもらわなくていいんですよね。「でもあそこ気になるからやっぱいきたい」と思われる店になりたいですね。


ZABOU OSAKA
住所:〒542-0081 大阪市中央区南船場4-14-3 第2飯沼ビル 2F
営業時間:12:00 – 20:00
Tel:06-6251-9991

ZABOU TOKYO
住所:〒150-0041 東京都渋谷区神南1丁目5番2号 川村ビル 2F
営業時間:12:00 – 20:00
Tel:03-3461-7773
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