ファッション
2019/3/12 22:15

表参道のセレクトショップ「VA-VA CLOTHING&VARIETY」の話

表参道駅を背に南下し、横道に一本入ったところにセレクトショップ VA-VA CLOTHING&VARIETY(以下、VA-VA) がある。

DSC_4859

VA-VAは、一般的なセレクトショップとは違う形をなしている。それはアパレルのみならず陶器類も扱っていること、取り揃えるものがすべてmade in Japanのアイテムであること、そして自身のブランド〈VA-VA〉を展開していることだ。なかなかこの三拍子を揃えたお店に出くわすことは、ないだろう。

DSC_4835

DSC_4762

DSC_4757

店内は、言わずもがなアイテムが綺麗に陳列されている。ただひとつ違和感を覚えるのが、什器だ。偏見かもしれないが、陶器が置かれているお店は、たいていオーガニックな雰囲気をウリにしている。だから店内を見渡したときに、シルバーやグレーが視界の多くを占めるのが、ほんと不思議な感覚だ。

「実験室とかラボっぽい雰囲気を残しているんです。うちは陶器とかもやっているし、棚もフローリングも木の雰囲気がしっくりくると思うんですけど、ナチュラルとかオーガニックとか女性っぽいほっこりし過ぎる感じが嫌だった。だから少し無機質でインダストリアルな感じを取り入れ、ほっこりしたテイストにちょっと男っぽいテイストをプラスしました。

オープン当初はもっとケミカルな雰囲気を演出していたんです。いまシューズの箱が置いてあるところに、蛍光ピンクとかイエローとかブルーの薬剤が入ったポリタンクを並べていました」と、語るのが店主兼〈VA-VA〉のデザイナーを務める馬場さん。落ち着いた性格でありながら、キテレツな側面も兼ねているのが実に面白い。

では、本筋に立ち返り、なぜ馬場さんはVA-VA CLOTHING&VARIETYを開いたのか、聞いてきた。


VA-VAを開いた理由は?

もともとは販売員あがりなので、自分で直接お客様に売る方が性に合っているのかなというのがあって。それでどうこう考えていたときに、東日本大震災が起きたんですね。今後どうしようかなって考えて、どうせだったら自分のやりたいことをやろうかなっていうのがきっかけですね。

震災で日本全土が元気なくなっちゃったじゃないですか。そのうえ、工賃の関係などで縫製工場が中国などのアジアに移り、国内の工場が縮小や閉鎖しているという現状を聞きました。いい技術があってもなかなか生き残れない状況なんだなと。そんな人たちに手を差し伸べるといったら言い過ぎかもしれないですけど、少しでも力になれればいいなと思って、うちのブランド〈VA-VA〉の洋服を作ってもらったり、日本のブランドを取り扱おうと決めました。

DSC_4789
店主の馬場さんは、熊本出身の九州男児。大阪の服飾専門学校を卒業後、上京資金を貯めるべく地元に戻り、一年後上京。4年間原宿のセレクトショップで勤めた後、飲食店でのアルバイトを経て、2012年にVA-VAを開く、という経歴の持ち主。

服飾学校を卒業後、セレクトショップに勤めました。その後、なぜ飲食の道に?

高校生のときに洋服屋さんにあこがれて服飾系の専門学校に通ったんですね。卒業後に実際にショップで働いてみて新しい洋服を作ってセールして、という早いサイクルに段々と疑問を抱いてきました。そのときカフェブームがあったり、洋服屋とカフェが併設しているお店が流行っていたりして。だから衣食住みたいなことをやりたいと思い、飲食のほうに。

では、ゆくゆくはカフェも併設する方向ですか?

実際に洋服屋をやってみて、衣食住はやりたいと思うけど、カフェを併設するとかバーをやるとかはちょっと想像がつかないというか、ちょっと違うかなと。実際に、カフェの中に洋服や雑貨を販売しているお店で働いていたこともあるけど、なかなか難しいと思いましたね。

あとは、料理をつくる人、コーヒーを出す人、販売の接客をする人とある程度の人数も必要と考えたとき、やっぱり難しい。だから衣食住の「衣」は洋服、「食」はカフェじゃなく、器系だったら「食」の提案ができるなと。「住」はこういう器を使い、こういう服を着て、自分の好きなものに囲まれた暮らしという、「衣食住」が提案できるかなと思いました。

DSC_4802

DSC_4804

DSC_4807

表参道を選んだのはなぜ?

僕自身ネームバリューがないので、都心から離れて人がいないところよりかは、多少人通りがあるほうがいいと思って。あと、友達が周りにカフェをやっていたり、美容室で働いていたりして、ちょっと馴染みもあったので。

それでここの物件を見たときに「あ、ここだな」と思ったんですね。角地で陽の光も入るしサイズ感もいいし、窓が多くて解放感もあるので狭いけどそんな狭く見えない。おまけに表参道なのに静か。やっぱり迷いながら、探しに来る感じのほうがいいんじゃないのかなと思って。

グーグルマップをあてにするぐらいがいい、と。アドベンチャーみたいな。

そうそう、「見つけた」みたいな感覚があると、なんかうれしいじゃないですか。

DSC_4853

その目印となるのがこの扉になるわけですけど、すごい独特ですね。

扉は作ったんです。

作ったんですか!?これまた、なぜこの作りに。

外観は全部コンクリートで、無機質だったんです。もともとは黒枠に編みのガラスという普通の扉で、お店の顔にしてはちょっと目立たない。最初につけたかったのは、スーパーの精肉のところのあのビラビラの扉だったんですけど(笑)。

え、あのスイング式みたいなやつですか?(笑)

そうそう。でも、それだとうまいことハマらないし、無理だと思って。内装の人と相談して、バスみたいな扉とかいろいろ提案してもらったんですけど、もう作った方が早いなと。黄色にしたのは、僕の好み。でも内装の人はちょっと困惑してましたね。はじめは黄色じゃなくてシルバーで、見た目はめちゃくちゃかっこよかったんですけど、ちょっと男っぽくなりすぎるなと。

それでいまの形に。

作っている途中で100%完成じゃなくてもいいやと思って。やりながら変わることもいっぱいあるから。

お客さんと一緒にお店も変わっていくと。

DSC_4755

DSC_4747

アパレルと陶器はどんな基準で選んでいるんですか?

日本のブランドさんがメインですね。洋服・アパレル雑貨は東京と大阪、福岡、熊本、仙台とか。器は基本、九州と沖縄。器自体は僕が実際に実家で使っていたものとか、地元でよく見ていたものをセレクトしてますね。

ブランドの〈VA-VA〉も幅広く展開していますよね。

もとはシャツブランドとしてスタートしたのですが、シャツに合わせるパンツだったり、シャツの上に着れるパーカーだったりもあると、いいんじゃないのかなと思い、幅広く展開するようになりました。長く着られて、飽きのこない定番品を意識しています。

器は馬場さんの地元からピックアップしていると。

今あるのは、小代焼ふもと窯という僕の地元・熊本のもの。小学生のときに社会科見学にいったり実家にあったりと、馴染みがあったので。せっかくだったら、使っていた地元のものを紹介するほうがいいかなと思いました。

門外漢なので、教えてほしいのですが、その土地土地で○○焼きというのがあると思うんですが、けっこう違うものなんですか?

違いますね。うちでやっているのは小代焼ふもと窯と大分の小鹿田焼、鹿児島の龍門司焼、あと沖縄の志陶房など。地元で小代焼というと藁白釉(わらじろゆう)や海鼠釉(なまこゆう)などが定番ですがスリップウェア(※)も人気です。小代焼だったら、小代山という山から取れる小代山粘土を使っていて、その土地の土質によってまるで違います。

器もこういう昔ながらの民芸品から、作家さんがつくる作家ものもあるし、プロダクト的なものとかたくさんあるので、それぞれみなさんの生活にあった好みのものを選んでほしい。ただ僕は民芸よりのものの方が好きなので、こういったものをセレクトしてお店に並べています。

※スリップウェア・・・生乾きの陶器に泥漿土(でいしょうつち)という化粧土をかけ、さらに上からスポイトで白い化粧土を細かく垂らして筆を入れたり、櫛状の道具だったりで引っ掻き模様などを描く技法

DSC_4776

DSC_4793

陶器をおすすめするときは、どのような接客をされているんですか?

お客さんが何を欲しいのか、どういうのを探しているのか、その人の家族構成とか、どういうご飯を作っているのかを聞きます。

家族構成、ですか?

そこが一番大事かな。これだと5寸皿(画像左上)っていうサイズだけど、取り皿として使うのが便利。7寸皿(画像手前)は一人分のパスタとかカレーとかにちょうどいい。

「最近彼氏と住み始めたから、お皿を揃えたい」っていうんだったら、取り皿を。もしくは、二人分のおかずを盛る用に大きい皿を提案してあげる。そのひとの生活にあった提案をしてあげることを心がけています。あとは実際に、料理の写真を見せますね。

DSC_4811

自分でこういうのを作ってますよ、こういう風に使ってるよ、というのを見せると。

飲食店で働いていたこともあって料理を作るのは好きな方なので、自分で作った時のご飯の写真を見せたりします。これは友人が作ってくれた時の料理の写真ですね。遊びに行くといつもごはんを作ってくれるんです。うちの店で買ってくれた器に盛り付けてくれるので写真を撮りました。

これは説得力を感じますね。僕自身、もうほしいですもん(笑)。

やっぱり見せた方がわかりやすいですし。想像が膨らみますよね。

DSC_4860

VA-VAの店名の由来は?

店名の由来は、僕のあだ名が「ばーば」だったので(笑)。

やはり。そのまま採用したんですね(笑)。

〈VA-VA〉でブランドをやっていたので、店名は別のほうがいいのかなってはじめは思ったんですけど、友達がなんか覚えづらいから、一緒でいいんじゃないって。でもVA-VAだけだったら、一目でなに売ってるのかわからないし、美容室かもしれない。だから、語尾にCLOTHING&VARIETYをつけた。洋服といろんなものっていうのでいいんじゃないって。

はじめは抵抗がありましたけどね。いまは気に入ってます。でも、自己紹介とか名刺を渡すときは未だに恥ずかしいですね。「VA-VAの馬場です」って、「バ」しか言ってないみたいなね。

でも、キャッチ―じゃないですか(笑)。

あとは、英語で”va-va-voom(ババブーン)”っていう言葉があるんですよ。「わぉ」とか「かっこいい」みたいな意味だったと思うんですけど。昔、アンリ(元サッカー選手)がルノーのCMで、それを言っていたんですよ。だからちょうどいいなって。こじつけですけど(笑)。

お洒落にいうとそんな意味合いも含んでる、と。VA-VAの今後の展望は?

わりとうちのお客さんは海外の方も多いので、もっと日本だけじゃなくて、海外の人たちにも知っていただければ。「日本にはもっといいものがありますよ」って。大した力じゃないけど、広げられたらいいなと思います。

SNSも力入れないとですよね。でも、VA-VAさんのインスタの雰囲気いいですよね。あのスナップ。きっかけは何だったんですか。

たまたま来た先輩が店前のベンチでビールを飲んでいたんですよ。それがいい雰囲気だったので、向かいから写真を撮ったのがきっかけ。それでこれいいかもと思って、まずは友達を、いまはいろんなお客さんを撮らせてもらっています。実際にそれを見てきた人もいるんですよ。

VA-VA instaVA-VAのInstagramより

勝手な親近感を抱いてます。

以前、海外のお客様を撮らせてもらって、ある日「友達があれに載っていたから来たんだよ」って、その友人が来店してきたことがありました。海外の女性が来て、その翌年にその女性のお母さんが来たりとかも。

SNS恐るべしですね。

数年ぶりに来てくれる人もいれば、年に1回ぐらい来る人もいて、店の前でスナップを撮ってると覚えてるんです。それで仲良くなって連絡をくれたり、海外から通販してくれたりしますね。それこそ、自国に帰って友達に紹介していただけたり。昔よりSNSの影響力が強くなったのを感じますね。昔は雑誌を見て、ここ行きたい、あそこ行きたいだったから。

体験してきた人の話が一番質の高い情報だったりしますからね。

行って失敗したくないというのが、みんなあると思うんで。

スナップやります?

え?ちゃんと身なり整えてから出直してきます。

(笑)

DSC_4842

VA-VA CLOTHING&VARIETY

DSC_4839

住所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-45-6 1F
営業時間:12:00 – 20:00
定休日:火曜日

ショップページへ

TAG
SHARE ON