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2019/5/5 18:00

【G-SHOCKクロニクル4】2010年代のG-SHOCK―最新カルチャーと融合してG-SHOCKの勢いが世界へ拡大

1983年、“腕時計は貴重品”という常識を覆し、“壊れない”腕時計を具現化したのが初代G-SHOCKです。その初期角形デザインは5600系に受け継がれ、ELバックライト、タフソーラー、標準電波受信機能、さらにはマルチバンド6、スマホリンクへと、ほぼ同じサイズながら高密度実装技術の向上によって多機能化を果たしてきました。

 

ここでは、数回に分けてそんなG-SHOCKの歴史を振り返ります。今回は2010年代、様々な進化を経たG-SHOCKの現在進行形の姿に迫ります。

 

80万円のG-SHOCKが完売する新たな市場価値

得意のデジタル分野で培った強みを、圧倒的に市場規模の大きいアナログ分野で発揮すべく、2008年からバーゼルワールドに復帰したカシオの戦略は、着実に成果を出していました。バーゼル限定として毎年のように発表したMR-Gのハイエンドモデルは、50万円〜80万円台と、従来モデルとは桁違いの高額プライスでも、市場では極めて高い評価を得ました。

 

一方、2009年から始まった「SHOCK THE WORLD TOUR」が、世界の主要都市で開催され、G-SHOCKを愛するビッグアーティストがこぞって参加。ヨーロッパ、そして特に米国で勢いを増しました。その中核を、5600系が再び担っています。

 

偉大なるレガシーの継続と次世代スタンダードの育成

2012年に製品化されたスマホリンクをはじめ、その後も構造、機能、素材など、あらゆる面でカシオ技術陣の挑戦は続きました。2017年にはG-SHOCK出荷1億個を突破し、1983年から続く「偉大なるレガシー」の存在感をあらためて発揮。その一方で、次世代のスタンダードと目されるマスターオブGやG-STEELのラインナップなどが充実し、36年目の進化も期待させます。

 

今後、どう進もうと、初代モデルの“オールマイティ・タフ”という基本コンセプトは継承されるでしょう。それが1983年に時計界に革命を起こした、G-SHOCKのアイデンティティなのだから。

 

【G-SHOCK史/2010年代】最新カルチャーと融合してG-SHOCKの勢いが世界へ拡大

 

その1/2010年

GW-S5600-1JF

カーボンファイバーインサートバンドを採用したクールなデザインが光ります。裏ブタやサイドボタン、尾錠などに軽量なチタンを採用することで、G-SHOCKで初めて総重量が50gを下回り、47gを記録。

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「カーボンファイバーインサートバンド」

カーボン繊維を樹脂に封入した強靭で切れにくいハイテクバンド

航空機やロケットにも使われる、引張耐久力に優れるカーボンファイバーを樹脂にインサートすることで、切れにくい強靭なバンドを開発しました。GW-S5600-1JFの場合、バネ棒や尾錠の周辺、遊環にまでカーボンをインサートしています。しかも、透明な樹脂を使用しているため、封入したカーボンファイバーが外から見えます。デザイン的にも画期的な技術です。

↑クリア樹脂による表面処理によって、カーボンファイバーの凸凹感まで視覚的に生かしました

 

その2/2010年

GXW-56-1AJF

あらゆる(X=extra)方向からの衝撃(Gravity)に耐える新シリーズ。2層ウレタンベゼルとインナープロテクターにより、耐衝撃性を向上。横53.6×縦55.5㎜の角型で歴代最大サイズを誇ります。

↑米軍で公式採用品となるにはミルスペックという調達企画に合格する必要があります。GXW-56とGX-56は、そのテストに合格

 

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「インナープロテクター+2層ウレタンベゼル」

初期角型フォルムの約2倍の体積で獲得した全方位タフネス

全方位タフネスを目指したGXシリーズはケースやボタン、バンド接続部を柔らかい樹脂で覆い、その外側に硬い樹脂をかぶせる2層構造のウレタンベゼルを新開発。ボタンの操作性を損なうことなく耐衝撃性を向上させました。断面が蛇腹状になるよう成型した樹脂製インナープロテクターを搭載し、その4か所に新素材のアルファゲル(※)を採用しています。

※:アルファゲル:シリコーンを主原料とする、軟らかいゲル状素材

↑モジュールを覆うウレタン製インナープロテクターがGXシリーズの特徴。3・6・9・12時位置にアルファゲル(※)を配して、衝撃吸収力を強化しています

 

その3/2012年

GW-M5610-1JF

初代G-SHOCKのデザインを継承するスクエアフェイスの5600シリーズが、ついにマルチバンド6を搭載して登場。タフネスをコンセプトに飽くなき進化を続けた最新型です。まさにG-SHOCKの偉大なレガシーです。

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「5600で初めてのマルチバンド6」

10万年に1秒しか誤差が出ない標準電波の世界全局に対応

2008年のマルチバンド5から4年、初期角型デザインの5600シリーズが待望のマルチバンド6を搭載しました。これで日本2局、中国、アメリカ、イギリス、ドイツの標準電波を受信し、時刻を自動修正してくれるのです。ちなみに標準時刻電波は、誤差が10万年に1秒という原子時計が基準。テレビなどの時報も、この標準時刻をもとにしています。

 

その4/2013年

GW-5000B-1JR

初代DW-5000が最新技術で復活。電波を通しづらいフルメタルケースと、重厚なスクリューバックを採用しながら、マルチバンド6を搭載。裏ブタやボタン、尾錠にはDLC加工を施しています。

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「スマホリンク」

スマートフォンの音楽もG-SHOCKでコントロール

2012年、近距離無線技術BluetoothⓇ V4.0に対応したG-SHOCKが登場。翌年には時計とスマホをつないで双方向操作を可能にする新たな通信機能の搭載により、ミュージックコントロールや時間設定など、ユーザビリティがバージョンアップ。電話着信やメール受信を時計が知らせる機能の他、携帯電話検索、リンク切れ警告、自動時刻修正など最先端技術を駆使した多彩な機能と耐衝撃構造の両立を完成させました。

<2018-2019 現行コレクション>

GMW-B5000-1JF

5万4000円

初代角型のデザインを保ちながら、タフソーラー+標準電波&Bluetoothの2way受信に対応したメタルケースモデル。樹脂バンドとの組み合わせに35年の時代を感じます。

 

GMW-B5000GD-9JF

7万3440円

ゴールドIPを施したフルメタルG-SHOCKのゴージャス版。随所に配したヘアライン仕上げが、メタルの質感を際立たせます。裏ブタには耐摩耗性を高めるDLCコーディングを採用しました。

 

GW-M5610-1JF

2万1600円

2012年にマルチバンド6を初搭載したモデルが、そのまま現行コレクションとして継続。ホームタイムを受信可能な都市に設定すると、都市に合わせた標準電波を受信します。

 

GW-5000-1JF

4万1040円

初期角型初の電波ソーラーとなったGW-5600をベースにマルチバンド6搭載。メタルケースとスクリューバックにDLC加工を施して耐摩耗性を強化しました。ソフトウレタンバンドが快適です。

 

DW-5600E-1JF

1万1880円

1996年に初めてELバックライトを搭載した基本機能を受け継ぐ、ロングセラー。タフソーラーも電波受信機能も搭載せず、頑なに耐衝撃構造を守り続けるベーシックモデルです。

 

G-5600E-1JF

1万5120円

1987年に登場した初代DW-5600のクラシックなカラーを採用。機能的にも電波受信を搭載せず、タフソーラーに絞ったシンプルな構成です。2009年から続く伝統のスタイルを継承します。