ファッション
2021/3/3 17:30

ノースフェイス再考。古着のプロがハーフドームロゴに改めて熱視線を注ぐ理由とは。

ここ何年も街を席巻し続けている〈THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)〉。あのハーフドームロゴを街中で見ない日はありません。その氾濫っぷりを目の当たりにすると、「ノースは今避けたほうがいいのかな…」と思ってしまう方もいるのでは?

 

そんな中、「そもそもノースを嫌いな人なんていない」と言い切るのは、instantbootleg storeの坂本一さん。果たしてその言葉の真意とは? 3月からも着られる春アウターの具体例を交えながら、改めてその魅力を電話取材で聞いてみました!


坂本一さん(instantbootleg store)

キャリアのスタートは「Levi’s」。その後、原宿「BerBerJin」にて8年余り古着業界に携わりバイイングを経験。セレクトショップ「FAN」を経て、2020年に自身のwebショップ「instantbootleg store」を立ち上げる。いま着たいと思える古着をユニークな語り口で提案してくれる頼れる存在。

みんな一度はあのロゴを「かっこいい」と思ったはず

―お店のページを拝見すると、改めて〈ザ・ノース・フェイス〉を推しているようです。何かきっかけがあったんでしょうか?

 

「今だからこそ、あえてノースに挑みたいと思ったんです。渋谷に行くと、黒いマスクをしたお兄さんたちがノースのバルトロライトをよく着ていますよね。別に彼らがどうこうという訳じゃなく、そこまで行き渡ってしまうと、ちょっと着づらくなっちゃうのってあるじゃないですか。でもそれを抜きにすると、ノースを嫌いな人って潜在的にはいないと思うんです」

 

―ノースを嫌いな人なんていない…。どういうことでしょうか?

 

「ここ何年かの中で、誰しもが『あのロゴかっこいい』って一瞬でも思ったはずなんですよ。買う買わないは別にしてね。ただ、あまりに広まっちゃったので、買う機会を逃した人はいるだろうなあと。それはもったいないなって」

―まずは色眼鏡なしで、もう一度見てみようと。

 

「まさにそういうこと。今はたまたま流行ってしまったけど、好きなら着ればいいんです。流行りが収まったあともね。僕にとっては〈リーバイス〉や〈アーペーセー〉と同じような感覚のブランド。世の中の流行りと関係なく着られる。それは現行、古着のノースどちらにも言えることです」

ユニフォームとしてのマウンテンライト

―なるほど。ただ、古着の被りにくさというのは現行のアイテムにはない魅力です。ユニークな古着を揃えるinstantbootlegさんの中でも、おすすめのモデルはありますか?

 

「それで言うなら、マウンテンライトジャケットですね。めちゃくちゃかっこいいエピソードがある一着です。なんであの〈シュプリーム〉が2000年代からずっとコラボしてるかの説明にもなるかなと」

Mt.Light JKT “Mango” by THE NORTH FACE(¥47,080)

 

―それは気になります。どんなエピソードがあるのでしょう?

 

「実はこれ、ニューヨークのグラフィティカルチャーのシーンにいる奴らにとっては、ユニフォーム的な一着なんです。当時はマウンテンガイドというモデルもあって、それは500〜600ドルくらいしたのかな。要はシェルジャケットの上位機種ですね。でもスプレー缶を持って落書きしているやつらには高すぎて買えないと。その次に廉価版として、このマウンテンライトが出てきたんです。『light = 軽い、安い』のダブルミーニングだと思うんですけど。価格も300ドルくらい」

 

―マウンテンライトって軽いだけの意味だと思ってました。廉価版だったんですね。その値段なら彼らも何とか買えたと?

 

「いや、彼らは量販店とか百貨店でこれを万引きしていたんです。で、売りさばいて金にすると。上位機種のマウンテンガイドより価格帯が下がったことによって、本格的なアウトドアショップ以外でも取り扱い店舗が増えたので、格段に万引きしやすくなったという背景があるんです(笑)」

 

―それはまたずいぶん悪いエピソードですね(笑)

 

「あとは胸のポケットが深いので、縦長のスプレー缶を入れておくのにちょうどよかったんですよね。フードをバサッと被れば、顔も見えづらい。なので、売りさばくだけでなく、彼ら自身もこれを着ていた。そういうカルチャーと密接に繋がっているモデルだから、〈シュプリーム〉もチョイスするんです」

〈シュプリーム〉が2016年にリリースしていたマウンテンライトの元ネタカラー。マンゴーカラーはオリジナルでは珍しいそう。

 

―そういったカルチャーとリンクする一着でもあるんですね。ウェア単体としての魅力はいかがですか?

 

「胸じゃなく、袖にロゴがあるところがいいですよね。実はノースのロゴって年代が古ければ古いほど目立たない場所に入ってるんですよ。70年代の茶タグと呼ばれる時期は服の表にロゴが出てこない。92〜93年くらいになると、先ほどのマウンテンガイドやマウンテンライトだったり、袖にロゴが付き始めるんですよ。ストリートで認知されたことによって、その後はどんどん目立つところに配置されるようになっていきます」

袖のハーフドームロゴの下部には刺繍のGORE-TEXタグも並ぶ。古着のノースを探す際はハーフドームロゴの位置に注目するのも面白そうだ。

いま面白いのはスキーウェア

―他にはスキーウェアのラインもかなりセレクトされているようです。

 

「スキーのラインはめっちゃ集めましたね。僕なりに厳選して、グッドカラーで状態がいいモデルに絞りました。このジャケットの色使いとかやばくないですか?まあかっこいいけど売れないんだよなあ(笑)もう少ししたらこの辺も浸透してくるだろうだけど」

THE NORTH FACE SKI “LIME”(¥38,280 → ¥30,624)※現在20%OFF中

―いや、確かにかっこいいです。デザイナーブランドとのコラボでありそう。ノースのスキーラインはどういう点が魅力なんでしょうか?

 

「まず、圧倒的に手間がかかってるんですよね。これ、今自分で作ろうって企画しても、絶対工場に嫌がられますよ。素材が細かく切り替えられていたりするし、パターンも複雑。なので、技術力が高い日本の工場で作られている個体もあります。この一着もそうです。『ノースだけど日本製』というのも面白いですよね」

数種類の生地が使われ、ディテールワークも凝っている。製造時期がバブル期と重なるため、贅沢な仕様でオーバースペックなものを作っていたようだ。
背面の配色も秀逸。ハーフドームロゴは前面だけでなく、フード裏にも配置している。

 

―そもそも、スキーラインは古着でよく出てくるものなんですか?

 

「スキーライン自体はすごいレアな訳じゃないけど、同じ個体はほぼ出てこないですね。よく見かける色も赤×黄とか。でも、それだとレスキューとかで使っていたような雰囲気が強くて、ちょっと街では着づらい。黒系統もほぼ見かけないですね。アウターは絶対黒系がいいっていう方は、他にこんなモデルもおすすめですよ」

スキーウェアの傍流。「モーグル」というレアピース

Twister JKT by THE NORTH FACE(¥41,580 → ¥33,264)※現在20%OFF中

 

―このカラーリング、めちゃくちゃかっこいいです

 

「これは激レアだと思います。よく見ると、身頃はダークネイビーで袖はブラック。イエローのアクセントも洒落てますよね」

 

―モーグルの文字が付いたロゴもいいですね。モーグル専用ウェアも当時作られていたんですか?

 

「忘れちゃいけないのが98年の長野オリンピック。モーグルがすごい盛り上がりましたよね。タグの雰囲気から察するに、その前後の数年間だけ作られていたラインなんじゃないかと見ています。考えてみれば、モーグルって跳んだり回ったりする激しい競技だから、素人は結局あまり手を出せなかった。競技人口がそれほど増えなかったので、ウェアの製造も短命に終わってしまったのかなと」

“MOGUL”の文字を冠した、スペシャル感のあるロゴにそそられる。左右両袖に配置。

 

―そう言われるとますます気になります。

 

「あと、従来のスキーラインとの違いは生地感ですね。先ほどのスキーラインより柔らかい肌触りでストレッチ性も若干ある。激しい競技なので、より動きやすさを重視したのかもしれません。なので、今街着として取り入れる時も使いやすいと思います」

 

―確かにこれはクローゼットにあればすぐ活躍してくれそうです。

 

「実はスキーのラインもモーグルも春アウターとして提案しているんです。雪山で着るアウターというより、若干保温性があるシェルジャケットというニュアンスのほうが近いので。今時期だったら、Tシャツ、スウェットの上に羽織ってちょうどいい感じです。暖かい日中だったら下はカットソーでもいいかも。3月、4月もまだまだ出番がありますよ」

instantbootleg store
web:https://instant-bootleg.com/
instagram:@hajime0722

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